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外為マーケットコラム

ボラティリティ高く、もう一波乱の可能性


 6月第1週目のドル・円相場は月替わり早々の3日に1ドル=100円の節目を割り込むとドル安・円高の流れが加速した。前週の当欄で98.60円までのドル安・円高が進む可能性があるとの見解を示したが、6日に98.60円を割り込むと円の買い戻しが進み、7日には94.96円まで下落した。100円の節目、98.60円の支持線を次々と割り込み予想以上のドル安・円高となった。

 5月の米ADP雇用統計が発表された5日から値動きが激しくなっており、米労働省から5月の雇用統計が発表された7日は3円近い値動き幅を示すなど稀に見る高い変動率(ボラティリティ)を示した。特に6、7日の値動きが激しかったが、乱高下の背景は以下の通りである。

 6日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が「ユーロ圏域内経済は控え目なペースながら年内に回復」とユーロ経済の回復見通しに言及したことでユーロ高・ドル安となり、ドルは主要通貨に対し下落し、ドル・円は1ドル=95円台後半に下落した。

 7日には米労働省発表の雇用統計で失業率が前月の7.5%から7.6%に上昇し、4カ月ぶりに悪化したことを受け、発表直後に94.96円まで急落した。しかし非農業部門の雇用者数が前月比17万5,000人増となり、事前予想の16万3,000人増を上回ったことがドル買い材料となり、97.81円まで急反騰し、97.40円台で取引を終える波乱の展開であった。

【98.60円、100円、100.80円が抵抗線】
 予想以上にドル安・円高が進んだが、95円の節目から2.5円以上離れ、当面のドルの押し目底を確認したとみるが、ボラティリティが高く、もう一波乱あるかもしれない。先週、支持線とみていた98.60円水準に近い98.30円水準(10日午前10時現在)に5日間移動平均線が通っている。10日の東京時間の午前8時過ぎに98.46円まで上昇したが、先週までの支持線98.60円が逆に抵抗線になり、97円台後半に反落した。目先は98.60円が抵抗線とみる。その次の抵抗線が100円の節目、25日移動平均線が通る100.80円水準と予想する。

【米出口戦略は夏場の雇用情勢次第か】
 米量的緩和政策の出口戦略が為替市場の最大の関心事である。米連邦準備制度理事会(FRB)は、4カ月連続で非農業部門の就業者数が前月比20万人超の雇用増加となることが量的緩和の変更の目安としているとみられる。5月の増加数は同17万5,000人にとどまり、早期の量的緩和の縮小、打ち切りにはまだ力不足との見方が多い。消費が盛り上がる夏場に雇用がどれだけ拡大するかが今後の出口戦略を決める要因になろう。

【値動き荒い展開を継続】
 今週は週後半に5月の小売売上高など米経済指標が相次いで発表となる。ユーロ・ドル主導の展開だが、ドル・円もボラティリティが高く、投機の対象になり、96〜99円のレンジを中心に荒い値動きを継続する可能性がある。円サイドの材料としては11日発表の日銀金融政策、発表後のドル・円、日経平均株価の動きが注目される。

 【CMEで投機家は円を途転買いの動き】
 米商品先物取引委員会が今月7日に発表した建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の今月4日現在でのシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は82,744枚となり、5月28日現在の99,769枚から急減した。5日からの円の急騰で一段と売り越し幅は減少したとみられる。シカゴ・円の取組高は4日現在の219,135枚から6日は222,800枚まで増加しており、円を途転買いした投機家もいるとみられる。まだ投機家は売り越しとみるが、7日の取引で3円近い乱高下となり、週足は長大陰線を引き3週連続の陰線引けでまだドルは修正安局面が終了したとは言えないチャートである。 

今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。
11日 豪4月住宅ローン許可件数
    日銀金融政策発表
    英4月鉱工業生産指数、英4月製造業生産指数
12日 日本4月機械受注高
    独5月消費者物価指数
    英5月雇用統計
    ユーロ圏4月鉱工業生産指数
    米5月財政収支
13日 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
    豪5月雇用統計
    米5月小売売上高、米新規失業保険申請件数
14日 ユーロ圏5月消費者物価指数
    米5月生産者物価指数、米第1四半期経常収支
    米5月鉱工業生産・設備稼働率
    米6月ミシガン大学消費者信頼感指数



2013年6月10日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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