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外為マーケットコラム

バーナンキFRB議長の議会証言に注目


 7月第2週のドル・円相場は下値堅く推移した。8日に1ドル=101.55円に上昇したが、10日に100円割れとなった。10日に先月18、19日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公開された後、米連邦準備制度理事会(FRB)バーナンキ議長が講演の質疑応答で、現在の7.6%の失業率では雇用の健全性を過大評価し過ぎだと述べ、インフレや雇用から緩和的な政策が必要だと指摘した。この発言を受け、一気にドル売りが強まる展開となり、ドル・円は11日の東京時間の午前7時台に98.21円まで下落した。その後は98円台半ば〜99円台半ばのレンジでもみあって第2週の取引を終えた。週明けの15日には100.50円水準に上昇し堅調ムードである。

 米量的緩和の出口戦略は、年内縮小どころか9月に縮小されるとの予報も聞かれたことで、ドル高進行要因になったが、バーナンキ発言でドル高に歯止めがかかった。100円割れとなったとはいえ、25日移動平均線(16日、東京時間午前11時現在、98.35円)が支持線になっており、ドル安・円高に向けて反転し始めたと考えるには時期尚早である。  今週はバーナンキ議長が17日に下院金融委員会で、18日には上院銀行委員会で半期に一度の議会証言を行う。議会証言によって今後の量的緩和に対する出口戦略の見方が変わる可能性があり、注目される。予想レンジは1ドル=98円前後から102円と広いレンジにしたい。

【夏場の米雇用情勢見極め出口戦略を決定か】
 米経済指標は景気回復を示す数字が目立ち、量的緩和の出口戦略が現実的なものとなっていたが、バーナンキ発言により量的緩和の早期縮小観測がやや後退した。量的緩和の縮小の一つの目安として、米雇用統計で非農業部門の雇用者数の増加が3カ月連続で前月比20万人となることが条件とみられていた。5、6月とも20万人に近い数字ではあるが超えていない。雇用が増える夏場の雇用情勢を見極めてから、縮小時期かを決めるのではないか。

【中国経済の成長鈍化でドル資産に資金向かいやすい】
 新興国から投資資金が流出し、ドル資産に資金が向かいやすい環境だが中国の経済成長の鈍化が懸念材料だ。

 10日に発表された中国の貿易収支は271億3,000万米ドルの黒字となった。前月の204億3,000万米ドルの黒字から大幅に増えたが、大方の事前予想278億米ドルの黒字を下回った。輸出が前年比3.1%減少となり、事前予想の同3.7%増より弱気の数字となった。1年5カ月ぶりにマイナスとなり、同国の製造業に不安が強まった。輸入も同0.7%の減少となり、内需の不振が裏付けられた。15日に発表された中国の第2四半期の国内総生産(GDP)が前年同期比+7.5%になり、2四半期連続で前期を下回っており、中国の景気減速感が鮮明となっている。今後も中国景気の鈍化を示す経済指標の発表が続けばドル資産に資金は向かいやすくなる。

【ユーロ・ドルも急反発】
 ユーロ・ドルは9日に4月4日以来の安値となる1ユーロ=1.2753ドルまで下落した。しかしバーナンキ発言を受け、10日の東京時間の早朝から急反発となり、11日には1.3206ドルまで反発し、6月21日以来の高値をつけた。12日以降は上げ一服ムードだが、1.30ドル水準で下値は堅い。欧州と米国の景況感の差からはドル買い有利。17、18日のバーナンキFRB議長の議会証言後に新たなトレンドが見られる可能性が高いとみる。

【CMEでファンドの円買い戻し進めば98円前後のドル安・円高も】
 米商品先物取引委員会(CFTC)が12日に発表した9日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は6月25日現在の61,462枚から 80,305 枚まで拡大した。ただし10日から買い戻しが増えたとみられ、12日現在、75,000枚前後に減少した可能性が高い。17,18日のバーナンキFRB議長の議会証言後にドル安・円高が進み、ファンドの円の買い戻しが進めば、一時的に98円前後までドル安・円高が進む可能性はある。

今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。
16日 英6月生産者物価指数、英6月消費者物価指数、英6月小売物価指数
    ユーロ圏6月消費者物価指数、ユーロ圏5月貿易収支
    独7月ZEW景況感指数
    米6月消費者物価指数
    米5月対米証券投資
    米6月鉱工業生産・設備稼働率
17日 豪5月ウェストパック先行指数
    日銀金融政策決定会合議事録
    英金融政策委員会(MPC)議事録
    英6月雇用統計
    米6月住宅着工件数・建設許可件数
    カナダ銀行(BOC)政策金利
    米地区連銀経済報告(ベージュブック)
    バーナンキFRB議長議会証言(下院)
18日 ユーロ圏5月経常収支
    英6月小売売上高指数
    米新規失業保険申請件数
    米7月フィラデルフィア連銀景況指数
    米6月景気先行指数
    バーナンキFRB議長議会証言(上院)
19日 日本5月景気動向指数
    独6月生産者物価指数



2013年7月16日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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