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外為マーケットコラム

リスク容認ムード強まれば101.55円接近の円安も


 9月第1週のドル・円相場は2日に1日に中国物流購買連合会が発表した8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が景気回復を示す数字となったことや、日経平均株価が堅調な値動きとなったことでリスク選好の動きが強まり、99円の節目を突破し、レンジ相場を上抜いた。3日には8月の米ISM製造業景気指数が55.7で予想外の上昇となったことで99.86円まで上昇した。5日の欧州時間が始まる日本時間の午後5時前に100円の節目を試し、約1カ月半ぶりの高値をつけた。しかし6日に米労働省から発表された8月の米雇用統計で非農業部門の就業者数が前月比16万9,000人の増加にとどまり、事前予想の18万人を下回り、米量的緩和政策の早期縮小観測が後退したことでドル安となり、対円では1ドル=98.52円まで急落した。終盤も反発力は弱く、99.11円で取引を終えた。100円の取引は長く続かず、先週、予想したレンジの上限の100.50円に届く前に反落となったが、週足は2週間ぶりに陽線引けとなった。25日移動平均線を5日連続で上回って推移し、上昇基調を維持している。

【FOMC前で米量的緩和の早期縮小の思惑が交錯か】
 週明け9日は2020年夏季五輪の開催都市が東京に決定したことを受け、日本株の上昇の期待を受け、リスクオンの動きで朝方に1ドル=100円の節目を試すドル高・円安となった。直近の高値100.20円更新が近いとみるが、100.20円を突破し、リスク容認ムードが強まれば7月8日の高値101.55円に接近する可能性もあろう。17、18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催が予定されており、米量的緩和の早期縮小があるか否かの思惑が引き続き交錯しそうだ。予想レンジは98.50〜101.50円。

 9月第2週は前半に中国の経済統計の発表が続く。8日に8月の貿易統計が発表され、285億2,000万米ドルの黒字となり、大方の事前予想の200億米ドルの黒字を上回った。10日発表の同国の経済統計で景気回復を示す数字が出るかが注目される。

【米雇用統計は予想ほど強気の数字出ず、米量的緩和早期縮小観測は後退】
 5日に発表された8月の米ADP雇用統計は就業者数が前月比17万6,000人増にとどまり、事前予想の18万人増を下回った。ただし、この日に発表された8月31日までの週の米週間新規失業保険申請件数は32万3,000件で事前予想の33万件を下回り、8月の米ISM非製造業景況指数が58.6となり、事前予想の55.0を上回ったこともあり、雇用情勢が予想より回復していないことは、さほどドル売りの材料にならなかった。

 6日に米労働省から発表された雇用統計で8月の非農業部門の就業者数が事前ほど伸びなかったことに加え、7月の非農業部門の就業者数が同10万4,000人増と、速報値の同16万2,000人増から大幅に下方修正されたことも、米量的緩和政策の早期縮小観測が後退する要因になった。

 シリア情勢に関してはオバマ米大統領が10日にシリア問題に関して国民向け演説する予定であることを明らかにしており、シリアへの軍事攻撃への理解を国民に求めるとみられる。8日にはケリー米国務長官、シリア攻撃に関して10カ国以上が準備していると言明 するなどシリアへの軍事介入が近いことを感じさせる。10日に米下院軍事委員会の公聴会が開かれる。

【ユーロ・ドルは支持線割れなら約2カ月ぶりの安値水準に】
 5日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催され政策金利は0.50%に据え置かれた。その後のドラギ総裁の記者会見では、短期金利の上昇に警戒感を示しており、景気回復を支援するために必要であれば追加利下げや流動性供給を行う用意があると述べた。ユーロ圏の経済指標も景気回復傾向を示す数字が増えている。ユーロ・ドルは追加利下げ観測で下落基調となり、1ユーロ=1.3100ドルの節目に接近した。7月9日の安値1ユーロ=1.2753ドルから先月8日の高値1.3452ドルまでの上げ幅0.0699ドルに対し、半値押しにあたる1.3100ドル水準まで下落している。1.3100ドルが支持線だが、この支持線割れとなると、約2カ月ぶりの安値水準となる1.3000〜1.2800ドルのレンジまで下落する可能性がある。

【CMEの円の売り越しが大幅増】
 米商品先物取引委員会(CFTC)が9月6日に発表した9月3日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は79,761枚となり、8月27日現在の78,353枚から増加し、8月6日以来、約1カ月ぶりの高水準な売り越しなった。直近で最大の売り越しとなったのは7月23日の87,496枚で、まだ売り越しの余地はある。9日に再度1ドル=100円の節目を試しており、円売りが進みやすい。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。
10日 中国8月鉱工業生産指数、中国8月小売売上高
11日 独8月消費者物価指数
    英8月雇用統計
12日 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
    日本7月機械受注高
    豪8月雇用統計
    ユーロ圏7月鉱工業生産指数
    米新規失業保険申請件数
    米8月財政収支
13日 日本7月鉱工業生産指数
    ユーロ圏7月貿易収支
    米8月生産者物価指数、米8月小売売上高
    米9月ミシガン大学消費者信頼感指数



2013年9月9日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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