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外為マーケットコラム

ユーロ・ドル急落、NYダウ最高値更新でドル・円の下値堅い


 5月5日の週のドル・円相場は7日に1ドル=101.40円まで下落し、支持線の1ドル=101.30円に接近する場面があったが、下値は堅く、1ドル=101.80円台で9日の取引を終えた。5日以降、25日移動平均線が通る水準を割り込んで推移し、14日間の相対力指数(RSI)は4月30日に強気と弱気の分岐点の50を割り込んでおり、複数のテクニカル指標が弱気を示唆している。ただニューヨークダウは8日に1万6,622.95ドルまで上昇し、史上最高値をわずかに更新し、9日は小幅続伸で引け、終値ベースで史上最高値を更新した。ニューヨークダウは、なお先高観が強く、ドル資産に対する投資意欲は強いとみる。ユーロ・ドルが8日に急落し、9日には4月8日以来の安値をつけたことで、ドル資産に資金が流れやすい環境に変化しつつある。

 ウクライナ情勢は親ロシア派勢力が11日に東部ドネツク、ルガンスクの二州で独立への賛否を問う住民選挙を実施し、89%が独立に賛成したと発表された。しかし欧米やウクライナ暫定政権は「住民投票は法的効力を持たない」として認めておらず、ウクライナ軍、親ロシア勢力の緊張が続いており、リスク回避の動きから株安、ドル安になる可能性はある。

 ドル・円は1ドル=101.30円の支持線割れとなっても、1ドル=101円前後では国内輸入業者からのドル買い意欲が喚起され、1ドル=100円台後半では底堅い展開を予想。抵抗線は25日移動平均線が通る1ドル=102.10円、2日の高値1ドル=103.01円。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=100.80円〜102.90円。

【イエレンFRB議長が米経済は成長との認識示しNYダウが市場最高値更新】
 7日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が上下両院の経済合同委員会 で経済見通しについて証言を行った。同氏は第1四半期の米景気鈍化は一時的なものとし、米経済が着実に成長しているとの認識を示した。同時に米住宅市場の減速はリスクになる恐れもあると述べた。「第2四半期の米経済全体は確かな成長路線へと戻るであろう。量的緩和縮小は米労働市場の改善続く限り継続する」との見解を示した。利上げについては「開始の具体的な時期はない」とした。この日のニューヨークダウは朝方に1万6,312.66ドルまで下落し、1週間ぶりの安値をつけ、押し目を形成したが、イエレン氏が米経済成長見通しを示したこと、ロシアのプーチン大統領がウクライナ危機解決へ全力尽くす用意があると述べたことなどを好感し1万6522.94ドルまで急反発した。8、9日も買い優勢となり、史上最高値圏で推移した。ニューヨークダウは9日現在、月足が4カ月連続の陽線となり、長期上昇波動を形成している。第2四半期も経済指標、企業業績が好調を維持すれば、1万6,500ドル台後半を目指し、ドルの支援材料になりそうだ。

【ユーロ・ドルは急落、ECBドラギ総裁の追加金融緩和の可能性示唆で】
 ユーロ・ドルは急落。8日に欧州中央銀行(ECB)理事会での金融政策決定待ちのムードが広がるなか、市場の予想通り政策金利が0.25%に据え置かれ、追加緩和が見送られたことや、ドラギECB総裁が景気回復継続に自信を示したことなどもあり、序盤に1ユーロ=1.3993ドルまで上昇し、2011年10月以来の高値をつけた。しかし1ユーロ=1.40ドルの節目を抜けなかったことや、ドラギ総裁がユーロ景気の下振れリスクから6月にも追加緩和に踏み切る可能性を示唆したことから利食い売りが殺到し、1ユーロ=1.3743ドルまで急落し、4月8日以来の安値をつけ、乱高下した。約2年半ぶりの高値をつけた後、急落となり、週足は3週間ぶりに陰線引けとなった。今週は15日に14年第1四半期のユーロ域内とドイツの国内総生産(GDP)の発表がある。週前半は自律反発の可能性があるが、週後半はGDPの数字に影響されよう。

【円の買い戻し進み、大口投機家の売り越しは6万枚以下に減少か】
 米商品先物取引委員会(CFTC)が5月9日に発表した同月7日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は4月29日現在の7万0,352枚から6万0,728枚に急減した。6日に1ドル=101.47円まで円高、ドル安が進み、円の買い戻しが増えたもよう。7日以降も円の買い戻しが優勢となり、9日現在、売り越し幅は6万枚以下になっているとみられる。1ドル=101.30円割れとなると、円の買い戻しが膨らみ、一時的に1ドル=101円割れの可能性があるとみる。

 シカゴ・ユーロ市場では大口投機家の買い越し幅は4月29日現在の2万5,734枚から今月6日現在、3万2,551枚まで増加した。8日の序盤まで買い越しが続いたが、8日の中盤から一転して利食い売りの動きが強まった。8日の取組高が前日比7,033枚減の27万0,775枚となり、大口投機家の買い越し幅は2万8,000〜2万9,000枚前後まで急減した可能性が高いとみる。1ユーロ=1.37ドル割れとなれば、さらに利食い売りの動きが強まろう。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

12日 米4月財政収支
13日 豪3月住宅ローン許可件数
    豪第1四半期住宅価格指数
    中国4月小売売上高、中国4月鉱工業生産指数
    独5月ZEW景況感指数
    米4月小売売上高
14日 NZ第1四半期小売売上高
    独4月消費者物価指数
    英4月雇用統計
    ユーロ圏3月鉱工業生産指数
    英中銀四半期インフレ報告
    米4月生産者物価指数
15日 日本第1四半期国内総生産(GDP)1次続報
    独第1四半期国内総生産(GDP)速報値
    ユーロ圏4月消費者物価指数改定値
    ユーロ圏第1四半期域内総生産(GDP)速報値
    カナダ3月製造業出荷
    米5月NY連銀製造業景気指数、米4月消費者物価指数
    米新規失業保険申請件数
    米3月対米証券投資
    米4月鉱工業生産・設備稼働率
    米5月フィラデルフィア連銀景況指数
16日 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演
    日本3月鉱工業生産指数
    ユーロ圏3月貿易収支
    米4月住宅着工・許可件数
    米5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値



2014年5月12日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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