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外為マーケットコラム

NYダウが調整色を濃くすればリスク回避から1ドル=101円割れも


 5月12日の週のドル・円相場は15日に1ドル=101.26円まで下落し、支持線の1ドル=101.30円をわずかに割り込み、下値を試す展開となった。15日に発表された日本の1−3月期の実質国内総生産(GDP)速報値が前期比5.9%増となり、事前予想の4.2%増を上回り、6四半期連続でプラス成長となったことで、日本銀行の追加緩和期待が後退したことが圧迫要因となった。

 1ドル=100.30円水準で買い支えられたが、週足は2週連続の陰線引け。14日間の相対力指数(RSI)今月13日に50.6となり、中立に戻したが、16日は40.5で弱気を継続している。ニューヨークダウは13日に16,735.51ドルまで上昇し、史上最高値の更新が続いたが、14日から下げに転じ、15日は16,397.46ドルまで下落し、高値から約2%の調整となった。ニューヨークダウの反落でリスク回避の動きが強まり、比較的安全な円が買われる展開となった。ユーロ・円は16日に1ユーロ=138.73円まで下落し、2月12日以来、約3カ月ぶりの安値をつけた。ニューヨークダウは25日移動平均線が通る16,472.33ドル水準を維持し、16日の取引を終えており、まだ調整期間が長引きそうな感はない。しかしニューヨークダウが調整色を濃くし、当面の支持線とみられる7日の安値16357.35ドルを割り込むと、リスク回避の動きから、1ドル=101円割れの可能性がありそうだ。

 今週は21日に先月29、30日の開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録 の公開がある。22日にはHSBCから5月の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)、マーキットから同月のユーロ圏のPMIの発表がある。これらのイベント、統計に注意したい。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=100.50円〜102.50円。

【米週間新規失業保険申請件数は7年ぶり低水準も鉱工業生産指数は落ち込む】
 13日に発表された4月の米小売売上高は前月比0.1%上昇と事前予想の同0.4%上昇を下回り、2010年3月以来の水準に上方修正された3月からの反動が出て小幅な伸びにとどまった。

 15日に発表された10日までの週の米週間新規失業保険申請件数は29万7,000件まで減少し、事前予想の32万件を大幅に下回り、2007年5月以来、7年ぶりの低下水準となった。その一方、4月の米鉱工業生産指数が前月比0.6%低下と2012年8月以来の水準に落ち込み、5月の米NAHB住宅市場指数が1年ぶりの低水準となったことから株安となり、ドル高・円高を招いた。

 16日に発表された4月の米住宅着工件数は107万2,000件と事前予想98万件を大きく上回り、5カ月ぶりの高水準となったことがドルの下値を支えたが、1ドル=101.60円台で戻りは頭打ちとなった。米経済指標は強弱感が交錯している。21日に公開される米FOMCの議事録では米量的緩和の縮小の継続が再確認されるとみられる。

【ユーロ・ドルは続落、ドイツ・ユーロの経済指標が事前予想を下回り】
 ユーロ・ドルは続落。8日に欧州中央銀行(ECB)のドラギECB総裁がユーロ景気の下振れリスクから6月にも追加緩和に踏み切る可能性を示唆したことを背景に急落したことをきっかけに下げ相場に転換した。

 13日にはドイツの欧州経済研究センター(ZEW)から発表された5月の独景況感指数が33.1と事前予想の40.0を下回り、5カ月連続して低下したことを嫌気し、ユーロ売りが加速し、1ユーロ=1.3700ドルの節目を割り込んだ。

 14日以降も軟調に推移し、15日には欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁が必要ならば追加的な刺激策を講じる準備があると発言したことや、1−3月期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値が前期比+0.2%となり、事前予想の同+0.4%を下回ったことで、6月の追加緩和観測が一段と高まったことから2月27日以来の安値となる1ユーロ=1.3646ドルまで下落した。16日は下げ渋ったものの、反発力は弱く、1ユーロ=1.370ドル割れで先週の取引を終えた。

【円の買い戻しが膨らめば1ドル=100.50〜101円に下落も】
 米商品先物取引委員会(CFTC)が5月16日に発表した同月13日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は5月6日現在の6万0,728枚から6万4,707枚に増加した。ただし14日以降、ドル安・円高が進み、円は買い戻しが先行し、再度、4万枚台前半の売り越し幅に戻っているとみられる。1ドル=101.30円割れを再度試し、101円を目指す動きになると、円の買い戻しが膨らみ、1ドル=100.50〜101円のレンジに下落する展開か。

 シカゴ・ユーロ市場では今月6日現在、大口投機家の買い越し幅が3万2,551枚まで増加していたが、13日現在、2,175枚の売り越しに転じた。9日に1ユーロ=1.3800ドル割れとなり、買い越し幅が減少したことは予想されたが、予想以上にユーロ売りが進み、売り越しに転じた。14日以降もユーロ売りの動きは強いとみる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

20日 豪中銀理事会議事録
   日本3月景気動向指数
   独4月生産者物価指数
   英4月消費者物価指数、英4月小売物価指数、英4月生産者物価指数
   カナダ3月卸売売上高
21日 日本4月貿易収支
   日銀金融政策決定会合・金融政策発表
   黒田日銀総裁記者会見
   ユーロ圏3月経常収支
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   英4月小売売上高指数
   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録
22日 中国HSBC製造業購買担当景気指数
   英第1四半期国内総生産(GDP)改定値
   カナダ3月小売売上高
   米新規失業保険申請件数
   米4月中古住宅販売件数、米4月景気先行指数
23日 独第1四半期国内総生産(GDP)改定値
   独5月ifo景況感指数
   カナダ4月消費者物価指数
   米4月新築住宅販売件数



2014年5月19日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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