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外為マーケットコラム

米国の堅調な消費示されれば1ドル=103円台へのドル高・円安に

 6月2日の週のドル・円相場は4日に1ドル=102.79円まで上昇したが、1ドル=103円の節目が抵抗線になった。上値は重かったが、25日移動平均線が通る1ドル=102円水準を上回って、6日の取引を終えており、先高感が強い引け味だった。

 注目された5日に開催された欧州中央銀行(ECB)の理事会後に政策金利が従来の0.25%から0.15%に引き下げられ、市場予想の0.10%よりも小幅な下げとなった。ECBドラギ総裁が記者会見で資産担保証券(ABS)購入など量的緩和を準備していることを明らかにすると、ドル高・ユーロ安となり、ドルは対円でも上昇し、1ドル=102.76円まで上昇した。しかし6日に米雇用統計を控え、ユーロ・ドルは反発し、ドル・円も買い進まれる動きにはならず、1ドル=102.40円台で終えた。5月の米雇用発表の発表があった6日は序盤に1ドル=102.08円まで反落したが、押し目買い意欲が強く、買い拾われた。

 1週間の値動き幅は1.07円と前週の0.75円よりは拡大したが、まだ方向性が出るには至っていない。

 6月第2週の米経済統計は12日に5月の米小売売上高の発表がある。4月の小売売上高は3月が2010年3月以来の水準に上方修正された反動で前月比+0.1%の伸びにとどまったが、5月は大方の事前予想が前月比+0.6%となっており、堅調な消費を示すとみられる。ニューヨークダウは史上最高値の更新が続き、高値警戒感が強い。押し目形成後に好調な米小売りと個人消費を背景に史上最高値を更新するようならば、ドル・円は1ドル=103円台に上昇し、1ドル=103円台半ばを目指す展開か。今週は中国の経済統計の発表が多く、中国経済に対して楽観的な見方が増え、リスクオンの動きになるかも注目される。

 9日の朝方に発表された2014年第1四半期実質国内総生産(GDP)成長率2次速報値が前期比+1.6%、前期比年率+6.7%となり、大方の事前予想の前期比+1.4%、前期比年率+5.6%を大幅に上回り、1次速報値から大幅に上方修正され、追加金融緩和期待はやや後退し、ドル・円の上値圧迫要因になるかもしれない。

 今週のドル・円の予想レンジは引き続き1ドル=101円台半ば〜103円台半ば。

【米雇用統計で米景気の回復示されドル・円の下値堅い】

 先週は米労働市場に関しての経済指標が相次いで発表された。まず4日に5月の米ADP雇用統計が発表され、就業者数は前月比17万9,000人増となり、事前予想21万人増を下回り、1月以来の水準に落ち込んだことが嫌気されたものの、1ドル=102.44円で下げ渋り、下値は堅かった。

 そして6日に米労働省から5月の米雇用統計が発表され、失業率は6.3%となり、大方の事前予想の6.4%を下回った。また非農業部門雇用者数は前月比21万7,000人増となり、前月の同28万2,000人増を下回るも、事前予想同21万5,000人増をやや上回った。5月の失業率が予想を下回り、非農業部門雇用者数が予想をやや上回り、米景気の回復傾向が続いていることが示された一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和終了後に利上げ時期を早めるとの見方が強まるような印象を与えるまでには至らなかった。米長期金利が低下するなか、1ドル=102.08円まで下落も1ドル=102円を試す前に反発し、1ドル=102.53円で6日の取引を終えた。週足は2週間ぶりの陽線引けとなった。

【ユーロ・ドルは4カ月ぶりの安値更新後に反発】

 ユーロ・ドルは反発。ECB理事会では政策金利が0.15%と従来の0.25%から引き下げられ、市場予想0.10%よりも小幅な下げとなったことから、発表直後は1ユーロ=1.3644へ上昇した。さらなる追加緩和の余地を残す一方、主要中銀で初となる預金金利がマイナス0.10%に引き下げられたことから、すぐさま下げに転じた。ドラギ総裁が理事会後の記者会見で、資産担保証券(ABS)購入など量的緩和を準備していることを明らかにしたため、序盤早くに2月6日以来となる1ユーロ=1.3503ドルへ急落した。ただし、その後は売り過剰感から修正高となり、1ユーロ=1.3660ドルまで反発し、乱高下する展開となった。6日は1ユーロ=1.3677ドルまで続伸し、5月22日以来の高値をつけたが、高値を維持できず、小反落して引けた。

【投機家の円の売り越し幅拡大】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月6日に発表した同月3日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は5月27日現在の5万9,036枚から7万4,218枚に大幅増加となった。今月2日に1ドル=102円台半ばに急反発した場面で円売りが増えたもよう。4月1日には8万8,638枚まで売り越しが膨らんだこともあり、さらに売り越し幅が拡大する余地はある。4日につけた1ドル=102.79円を上抜くと、円売りが加速する展開か。

 シカゴ・ユーロ市場では5月27日現在、大口投機家は1万6,633枚の売り越しとなったが、今月3日現在、3万3,025枚の売り越し越しとなった。5月3日現在、3万2,551枚の買い越しだったが、約1カ月で投機家の売買方針はユーロ買いからユーロ売りへと、180度転換した。短期間で売買方針がまったく逆方針に転換する珍しいパターンだ。ユーロ・ドルは5日に1ユーロ=1.3501ドルまで大幅続落したが、その日のうちに1ユーロ=1.36ドル台に急反発し、投機家の売買が交錯した。5日の出来高は前日比3倍以上を記録する大商いとなった。6日は1ユーロ=1.3677ドルまで上昇し、買い戻しが先行したもよう。25日移動平均線が通る1ユーロ=1.37ドル水準を突破できるかがカギだ。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

10日 
   中国5月生産者物価指数
   中国5月消費者物価指数
   豪4月住宅ローン許可件数
   英4月鉱工業生産指数、英4月製造業生産指数
11日 
   英5月雇用統計
   米5月財政収支
12日 
   ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
   日本4月機械受注高
   豪5月雇用統計
   ユーロ圏4月鉱工業生産指数
   米5月小売売上高
   米5月輸入価格指数
   米新規失業保険申請件数
13日 
   日銀金融政策決定会合(12〜13日)・金融政策発表
   日本4月鉱工業生産指数
   中国5月小売売上高
   中国5月鉱工業生産指数
   独5月消費者物価指数
   ユーロ圏4月貿易収支
   カナダ4月製造業出荷
   米5月生産者物価指数
   米6月ミシガン大学消費者信頼感指数

2014年6月9日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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