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外為マーケットコラム

NYダウが6月の安値更新なら1ドル=101円台前半まで円高の進行の可能性あり

 6月9日の週のドル・円相場は今月4日の高値1ドル=102.79円が抵抗線となり、11日から軟化し、12日には先月30日以来の安値となる1ドル=101.57円まで下落したが、下値は堅く、1ドル=102円の節目を回復して引けた。6月第1週のレンジからわずかに下振れとなったが、おおむね往って来いの展開だった。ユーロ・ドルが1ユーロ=1.35ドル台で安もちあいとなり、対ユーロでドルがしっかりとなったことが対円でも下支え要因となった。上値は重かったが、25日移動平均線が通る1ドル=102円水準を維持して、13日の取引を終えており、まだ下降トレンドには転換していない。

 今週は17、18日の2日間、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、18日に声明文の発表がある。米経済統計は16日に発表の5月の鉱工業生産、設備稼働率、17日発表の同月の住宅着工件数、許可件数に注目したい。ニューヨークダウは9日に史上最高値を更新した後、調整局面入りしたが、13日に下げ止まり、小反発した。ニューヨークダウが軟調に推移し、4日の安値1万6,673.65ドルを下回り、6月の安値を更新すると、リスク回避の動きから1ドル=101円台前半までドル安・円高が進む可能性がある。目先の支持線は5月29日につけた安値1ドル=101.39円。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=101円台前半〜103円台前半。

【FOMCでの米経済指標の評価に注目】

 ドル・円は依然として方向性が出てこない。安定した値動きで投機には妙味薄だ。9日に日本の4月の経常収支速報値が事前予想を下回り、4月の黒字額としては1982年以来の低水準となったことや、1−3月期・国内総生産(GDP)改定値が速報の前期比5.9%増から同6.7%増に上方修正されたことに対する市場の反応は全く見受けられなかった。12、13日には日銀金融政策決定会合が開催された。13日の日銀金融政策決定会合後の黒田総裁の記者会見内容を受け、量的緩和政策が継続されるとの見方が広がったが、ドル買い・円売りを積極的に進めていくだけの決め手にはならず、円サイドからは仕掛けにくい環境だ。

 12日に発表された5月の米小売売上高は前月比0.3%増にとどまり、大方の事前予想0.6%増を下回った。4月は同0.5%増と速報値の0.1%増から上方修正された。一方、同日発表の米週間新規失業保険申請件数は31万7,000件と大方の事前予想の31万件を上回った。過去4週移動平均は31万5,250件と2007年6月以来の低水準となった前週(31万500件)を上回り、小売り、失業保険申請件数はやや弱気の数字となり、上値圧迫要因となった。17、18日開催のFOMCで今月に入ってからの米経済指標がどのように評価されるかが注目される。

【ユーロ・ドルは軟調、週前半に経済指標の発表多く新たな方向性示すか】

 ユーロ・ドルは軟調。1ユーロ=1.35ドルの節目は維持されたが、戻り鈍く、5日移動平均線が通る1ユーロ=1.3550ドルをわずかに下回って先週の取引を終えた。25日移動平均線を5月9日に割り込んで以来、一度も上回ることなく推移し、基調は弱い。12日に発表された4月のユーロ圏鉱工業生産指数は前月比0.8%上昇となり、事前予想の0.5%上昇を上回ったが、反発力は限定的で5日につけた安値1ユーロ=1.3503ドルに接近する場面もあった。12日に発表された欧州中央銀行(ECB)月報で物価安定の維持を固く決意、必要なら追加金融緩和へと文言が織り込まれており、追加金融緩和の可能性からユーロ売り圧力が強い。

 今週は16日に5月のユーロ圏の消費者物価指数、17日に同月の英国消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数、6月の独ZEW景況感指数の発表があり、週前半に新たな方向性を示す可能性がある。

【世界銀行は世界経済成長見通しを下方修正】

 11日に世界銀行は今年の世界経済成長率見通しを2.8%と発表し、今年1月時点の予想の3.2%成長から下方修正した。来年の世界経済成長率見通しは3.4%に据え置いた。今年の米経済成長率見通しを2.1%とし、1月時点の2.8%から下方修正した。ユーロ圏経済成長率見通しは1.1%に据え置かれた。日本経済成長率見通しは1.3%とし、1月時点の1.4%から下方修正した。また中国経済成長率見通しを7.6%として1月時点の7.7%から下方修正した。ユーロ圏の経済成長見通しを除き1月の予想から下方修正した格好だ。

【投機家は円・ユーロとも売り姿勢強める】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月13日に発表した同月10日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は今月3日現在の7万4,218枚から8万2,162枚に増加となった。3週連続で前週比増加となった。ただし11日以降、ドル安、円高となり、買い戻しが進んだとみられる。1ドル=101.50円を試すと買い戻しがさらに進み、1ドル=101円前後まで円高・ドル安が進む可能性がある。

 シカゴ・ユーロ市場では今月3日現在、大口投機家は3万3,025枚の売り越しとなったが、ユーロ売りの動きはさらに強まり、今月10日現在、5万7,185枚の売り越し越しとなった。5月13日に売り越しに転じて以来、一貫して売り越し幅を拡大させている。1ユーロ=1.35ドルの節目を割り込むと、売り乗せの動きが強まるとみる。1ユーロ=1.35ドル台後半では戻り売りが待ち受ける展開か。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

16日 
   ユーロ圏5月消費者物価指数
   米6月NY連銀製造業景気指数
   米4月対米証券投資
   米5月鉱工業生産・設備稼働率
17日 
   英5月消費者物価指数、英5月小売物価指数、英5月生産者物価指数
   独6月ZEW景況感指数
   米5月消費者物価指数
   米5月住宅着工・許可件数
18日 
   日本5月貿易収支
   日銀金融政策決定会合・議事要旨(5月20・21日分)
   豪5月ウェストパック先行指数
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   カナダ4月卸売売上高
   米第1四半期経常収支
   米連邦公開市場委員会(FOMC)・政策金利発表
19日 
   NZ第1四半期国内総生産(GDP)
   日本4月景気動向指数
   スイス銀行(SNB)政策金利
   英5月小売売上高指数
   米新規失業保険申請件数
   米6月フィラデルフィア連銀景況指数
   米5月景気先行指数
20日 
   独5月生産者物価指数
   ユーロ圏4月経常収支
   カナダ4月小売売上高
   カナダ5月消費者物価指数

2014年6月16日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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