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外為マーケットコラム

米景気への信頼度高いがドル・円はリスク回避で1ドル=101円に接近

 7日第3週のドル・円相場は18日に1ドル=101.06円まで下落したが、今月10日の安値1ドル=101.04円が支持線となり、底堅く推移した。15、16日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が議会証言を行い、労働市場の改善次第で利上げ開始時期が早まる可能性を示唆したが、1ドル=101円台で小動きだった。17日にロシアとの国境に近いウクライナ東部上空でアムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空機が撃墜されたこと、イスラエル地上軍によるパレスチナ自治区ガザへの戦闘開始など地政学上のリスクの高まりからリスク回避の動きが強く、1ドル=101円の節目に接近した。しかし米景気に対する信頼度は強く、ニューヨークダウが1万7,000ドル台を維持し、ドルは対ユーロで約5カ月半ぶりの高値をつけるなど、ドル資産への投資意欲は根強い。ただ地政学的リスクからリスク回避の動きが強く1ドル=101円の節目を割り込む可能性がある値位置にある。

 今週は24日にHSBCから中国の7月の製造業購買担当者景京指数(PMI)速報の発表がある。16日に発表された中国の第2四半期の国内総生産(GDP)が前年比+7.5%と大方の事前予想の前年比+7.4%を上回り、中国経済に対して楽観的な見方が増えた。HSBC発表のPMIが6月の中国製造業PMI50.7(確報)を上回ると、投資意欲が強まり、ニューヨークダウは史上最高値を更新する可能性があり、ドル・円にとっても追い風となろう。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=100円台半ば〜102円台半ば。

【複数のテク二カル指標がドル・円の弱気を示唆】

 先週のドル・円は1ドル=101.06〜101.79円のレンジにとどまり。投機家にとってはまったくの妙味薄の展開だった。16日に25日移動平均線をわずかに試す場面があったが、25日移動平均線が通る水準では上値が重い。200日移動平均線は今月8日に割り込んで以来、一度も上回っていない。月足は6月まで3カ月連続で陰線引け。1ドル=101.31円を下回って31日の取引を終えると、4カ月連続の陰線引けとなる。14日間の相対力指数(RSI)は今月7日以降、強気と弱気の分岐点の50を下回った状態が続いており、複数のテク二カル指標が弱気を示唆している。

【米ベージュブックで経済見通しは楽観視】

 15日に発表された6月の米小売売上高は前月比0.2%増加と前月の0.5%増から減少し、事前予想の0.6%増を下回り、今年1月以来の低い伸びとなった。一方、同日発表の7月のニューヨーク連銀製造業景気指数はプラス25.60と前月の19.28から上昇し、事前予想のプラス17.00を上回り、2010年4月以来の高水準となった。16日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)があり、6月の米経済は緩やかに成長、12地区すべて個人消費、製造業が拡大、大半の地区で経済見通しを楽観しているとの報告となった。17日は12日までの米週間新規失業保険申請件数が30万2,000件となり、7月のフィラデルフィア地区連銀景況指数が23.9となり、事前予想を上回った。これらの米経済指標を好感し、ニューヨークダウは米経済の楽観見通しや、第2四半期の米企業業績がおおむね好調なことを背景に17日の前半に1万7,151.56ドルまで上昇し、史上最高値を更新した。

【日銀の黒田総裁は景気回復に自信示し、追加金融緩和観測が後退】

 14、15日の2日間、開催された日銀金融政策決定会合では金融政策を据え置いた。黒田総裁は15日の会合終了後に会見を行い、物価上昇率は2015年度にかけ「(目標の)2%に達する可能性が高い」と述べ、4月の消費税の増税後も見通しに変化がないと協調した。景気の先行きに自信を見せており、追加緩和観測は弱まっている。追加緩和観測の後退で円売り圧力が弱くなっていることもドル・円の戻り圧迫要因だ。

【ユーロ・ドルは下落、ユーロ域内の景気回復力の脆弱さなどで】

 ユーロ・ドルは下落。14日まで1ユーロ=1.3600ドルを挟んでもみあっていたが、15日に7月の独ZEW景況感指数が27.1と事前予想(28.2)を下回り、7カ月連続で悪化したことを嫌気し、下放れしたのをきっかけに下降トレンドとなった。16日はユーロ域内の景気回復力のぜい弱さや、ポルトガル発の欧州銀行問題を材料に6月16日以来の安値となる1ユーロ=1.3519ドルまで下落した。18日には欧州銀行問題への懸念やユーロ域内の景気回復力の弱さからユーロ売りが進み、2月6日以来の安値となる1ユーロ=1.3491ドルまで下落した。

【1ドル=101円割れとなると投機家の円の買い戻し進む=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月18日に発表した同月15日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は6万2,948枚に減少した(8日現在、6万6,375枚売り越し)。17、18日と1ドル=101円台前半に下落したことから円の売り越し幅は6万枚以下に減少しているとみられる。1ドル=101円割れとなると、円の買い戻しが進み、1ドル=100.50円前後まで円高・ドル安が進む可能性があるとみる。

 シカゴ・ユーロ市場では今月15日現在、大口投機家は6万2,846枚の売り越しに増加した。(8日現在、5万9,265枚)。16日以降、ユーロ・ドルが一段安となり、18日に1ユーロ=1.3500ドルの節目を割り込み、ユーロの売り越しは6万5,000枚前後まで増加しているとみられる。1ユーロ=1.3500ドル台を回復した。再度1ユーロ=1.3500ドル割れとなると、さらにユーロ売りが膨らむとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

22日 
   日本5月景気動向指数
   米6月消費者物価指数
   米5月住宅価格指数
   米6月中古住宅販売件数
23日 
   豪第2四半期消費者物価指数
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   カナダ5月小売売上高
24日 
   ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
   NZ6月貿易収支
   日本6月貿易収支
   中国HSBC製造業購買担当景気指数速報値
   英6月小売売上高指数
   米新規失業保険申請件数
   米6月新築住宅販売件数
25日 
   日本6月消費者物価指数
   独7月ifo景況感指数
   英第2四半期国内総生産(GDP)速報値
   米6月耐久財受注

2014年7月22日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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