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外為マーケットコラム

米雇用統計は予想より弱い数字ながらドル・円は下値堅く推移か

 7日最終週から8月1日のドル・円相場は、7月30日に発表された米第2四半期の国内総生産(GDP)速報値が予想以上の米景気回復を示す数字となったこと、米金利上昇などを背景に一時、4月8日以来の高値となる1ドル=103.09円へと上昇した。しかし1日に発表された7月の米雇用統計が事前予想より弱気の数字となったため、1ドル=102.34円まで軟化し、1ドル=102.59円で取引を終えた。ドル・円の日足チャートは7月18日から7月31日まで10営業日連続の陽線引けを記録したが、8月1日は陰線引けとなった。週足は3週連続の陽線引け。7月の米雇用統計が予想より弱い数字となり、ドル高は一服したが、米景気の回復傾向は続き、ドル・円は下値堅く推移するとみる。

 4日からの週は5日発表の6月の米製造業出荷、在庫、受注高、7月のISM非製造業景況指数、8日発表の中国の貿易統計の数字などが注目される。円サイドからの注目イベントは7、8日に開催される日銀金融政策会合である。8日に日銀・黒田総裁から会見がある。国内景気に自信を示す発言があると一段の金融緩和が遠退き、円買い材料になる。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=101円台半ば〜103円台前半。

【米GDP強気で1ドル=103円までドル高・円安も102円台半ばに軟化】

 7月30日に発表された米第2四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比年率換算+4.0%となり、事前予想+3.0%を大幅に上回ったことで利上げ観測が強まり、ドル・円は1ドル=103円の節目を試す上昇となった。7月29〜30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、30日に声明文が出され、低金利政策を継続するが利上げをしやすい環境が整いつつあるとする反面、労働市場に緩みがあるとの懸念を示しており、利上げを急がないという意向を再確認した。また量的緩和終了後も相当な期間、低金利は続くとの見解が示され、1ドル=103円水準ではドル売り圧力が強かった。同月31日はニューヨークダウが300ドルを超える下げとなった。この日発表の米経済指標は7月25日までの週間新規失業保険申請件数が30万2,000件と事前予想30万件を上回った。またシカゴ地区購買部協会から発表された7月の同地区景気指数は52.6となり、前月の62.6(事前予想63.0)から10ポイントの低下となり、前月からの低下幅は2008年10月以来の大幅な低下となった。弱気の景気指標が出て8月1日に米労働省から発表される7月の米雇用統計に対して警戒感が強まった。

 1日に発表された米雇用統計は、失業率が6.2%と前月の6.1%(事前予想は6.1%)から上昇。非農業部門雇用者数は20万9,000人増加にとどまり、予想23万人増を下回った。6月は29万8,000人増と速報値の28万8,000人増から上方修正された。予想以上に米雇用統計が弱い数字となったことで1ドル=102.30円台まで軟化したが、下値は堅く、1ドル=102円の節目に接近する前に下値を切り上げた。

【NYダウは調整局面入りか】

 ニューヨークダウは7月31日に300ドルを超える下げとなった。アルゼンチンのデフォルト問題やロシアへの追加制裁、この日発表された欧米企業の決算が予想を下回ったことに対する失望感から急落。1日は米雇用情勢が予想されたほど強気でなかったため、利上げ観測が後退したことが支援材料となったが、国際情勢が不安定なことから売り先行となり、5月21日以来の安値となる1万6,437.07ドルまで下落した。100日移動平均線が通る1万6,641ドルを下回って1日の取引を終えており、調整局面入りした可能性が高い。自律修正高は考えられるが、しばらくは戻り売り圧力が強い展開か。

【ユーロ・ドルは8カ月ぶりの安値をつけた後に修正高】

 ユーロ・ドルは続落。7月30日に1ユーロ=1.3364ドルまで下落し、昨年11月18日以来、約8カ月ぶりの安値をつけた。ユーロ域内の景気回復力のぜい弱さやチャート面の悪化などがユーロを圧迫し続けるなか、米第2四半期GDP速報値の予想以上の回復や米金利上昇などを背景にしたドル買いが一段と強まることとなった。31日は7月の独失業者数が前月比1万2,000人減となり、事前予想5,000人減を上回ったが、安値更新までに至らず、ほぼ変わらずで引けた。

 1日は7月の米雇用統計が予想ほど強くなく、30日に約8カ月ぶりの安値をつけたことに対する修正が進み、中盤に7月25日以来となる1ユーロ=1.3455ドルまで切り上がった。ただし、インフレの伸び鈍化も足元の景気回復の力強い数字が続いていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ開始時期の前倒し観測がくすぶることから、中盤以降は戻りが押さえられ、週足は3週連続の陰線引けとなった。

【投機家の円売り越しが7万3,000枚台まで増加=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が1日に発表した先月29日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は7万3,069枚に増加した(7月22日現在、5万3,916枚売り越し)。30日以降、円安が進んでおり、円を売り増す動きが強まり、7万6,000枚前後まで売り越しは膨らんでいるもよう。1ドル=103円台前半での値固めが進めば、4月4日につけた104.12円を目指すとみた円売りが増える可能性がある。

 シカゴ・ユーロ市場では7月29日現在、大口投機家は10万8,075枚の売り越しに増加した。(同月22日現在、8万8,823枚)。7月30、31日と下値を模索し、さらに売りが膨らみ11万枚近くの売り越しとなった可能性がある。ただ1日に急反発しており、買い戻しが進んだもよう。売り過剰感はあるが、戻り売り人気は強いとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

4日 
   ユーロ圏6月生産者物価指数
5日 
   豪7月AiGサービス業指数
   豪6月貿易収支
   オーストラリア準備銀行(RBA)政策金利
   ユーロ圏6月小売売上高指数
   米7月ISM非製造業景況指数
   米6月製造業受注指数
6日 
   NZ第2四半期雇用統計
   日本6月景気動向指数
   独6月製造業受注指数
   英6月鉱工業生産指数、英6月製造業生産指数
   カナダ6月貿易収支
   米6月貿易収支
7日 
   豪7月雇用統計
   独6月鉱工業生産指数
   英中銀(BOE)政策金利
   欧州中央銀行(ECB)政策金利
   米新規失業保険申請件数
   カナダ7月Ivey購買部協会指数
8日 
   日本6月経常収支
   豪6月住宅ローン許可件数
   中国7月貿易収支
   日銀金融政策決定会合(7〜8日)・金融政策発表
   スイス7月雇用統計
    独6月貿易収支、独6月経常収支
   英6月貿易収支
   カナダ7月雇用統計
   米第2四半期非農業部門労働生産性指数
9日 
   中国7月消費者物価指数、中国7月生産者物価指数

2014年8月4日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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