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外為マーケットコラム

米中の小売売上高、ユーロ域のGDPに注目

 8日4日の週のドル・円相場は、1ドル=103円の節目が抵抗線になった後、6日にロシアによるウクライナ侵攻の恐れの高まりを背景にしたリスク回避の動きに押され、1ドル=101円台後半に軟化した。8日にオバマ米大統領がイラク空爆実施を承認したことでリスク回避の動きが一段と強まり、7月24日以来、約2週間ぶりの安値となる1ドル=101.48円まで下落した。しかしウクライナ情勢の緊張緩和期待が広がり、ニューヨークダウが反発すると、1ドル=102円水準に軟化し、8日の取引を終えた。25日移動平均線が1ドル=101.85円水準に通っているが、その水準を一度割り込む場面があったが、底堅さを示した。ただ週足は4週間ぶりに陰線引け、14日間の相対力指数(RSI)は強気と弱気の分岐点である50をわずかに割り込んで引けており、テク二カル要因は強気に再転換することができなかった。ウクライナ、中東情勢は依然として緊張しており、リスク回避の動きが警戒される。

 11日からの週は13日に7月の中国小売売上高、鉱工業生産高の発表、14日にユーロ域、ドイツ、フランスの第2四半期の域内・国内総生産(GDP)の発表がある。13日には7月の米小売売上高の発表があり、今後の米利上げに関しての時期の判断材料になりそうだ。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=101円台半ば〜102円台後半。

【NYダウが25日移動平均線が突破なら1ドル=102円台後半に上昇か】

 1日に発表された7月の米雇用統計は予想されたほど強い数字ではなかったが、5日に発表された7月の米ISM非製造業景況指数は56.5で2005年12月以来の高水準となった。また6月の製造業受注指数が3カ月ぶりの水準に回復しており、米経済は力強い回復過程にあるとの見方が強まった。利上げの時期が早くなるのではとの観測が台頭し、ニューヨークダウは大幅安となり、5月20日以来の安値となる1万6,369.55ドルまで下落。

 7日は新規失業保険申請件数の4週移動平均が29万3,500件となり、2006年2月以来の低水準となったことを受けて、高寄りした。しかし最近の軟調地合いや、ロシアが欧米などの制裁に対抗して農産物の禁輸措置を発表したことを嫌気して軟化し、1万6,333.78ドルまで下落した。8日は日経平均株価が500円近い下げとなり、直近の安値をさらに更新することが警戒されたが、ロシアがウクライナ紛争の緊張緩和に乗り出す意向との報道があったことなどから、ウクライナ情勢の緊張緩和期待で反発し、1万6,500ドル台を回復して引けた。

 ニューヨークダウは先月17日に史上最高値となる1万7,151.56ドルをつけたが、同月31日に300ドルを超える下げとなり、調整色が強まった。8日に長大陽線を引き、底打ち感はある。しばらく1万6,500ドルを挟んでもみあった後、次の方向性を探る展開か。25日移動平均線が先月31日につけた長大陰線の高値1万6,869.63ドル付近に通っており、この水準を回復すると、ドル・円は1ドル=102円台後半に上昇か。

【ユーロ・ドルは弱気のドイツ経済指標やイタリアの景気後退で9カ月ぶり安値】

 ユーロ・ドルは続落。欧州市場ではウクライナ情勢をめぐる緊張の長期化によるユーロ圏経済への懸念が強まっていることや、ドイツの6月の製造業受注が2011年9月以来となる大幅低下となったこと、イタリアの4−6月期・国内総生産(GDP)が予想外に減速し、リセッション(景気後退)入りしたことなどから、一時、昨年11月8日以来、約9カ月ぶりの安値となる1ユーロ=1.3333ドルまで下落した。8日はウクライナ情勢の緊張緩和期待から買い戻され、1ユーロ=1.3432ドルまで反発し、1ユーロ=1.3400ドル台で引けた。米国と欧州各国との景況感の差から、ユーロ売り、ドル買いの動きは続くとみる。

【投機家の円売り越しが9枚枚以上に=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が8日に発表した今月5日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は9万5,399枚に増加した(7月29日現在、7万3,069枚売り越し)。予想以上に円売りが加速したが、6日からドル円は急落しており、買い戻しが進んだもよう。6日の取組高が前日比3,652枚減、7日が214枚減となっており、9万枚前後まで減少か。1ドル=102円台前半での値固めが終われば、円売りを仕掛ける動きは強そうだ。

 シカゴ・ユーロ市場では8月5日現在、大口投機家は12万8,747枚の売り越しに増加した。(先月29日現在、10万8,075枚)。ユーロの売り人気は一段と強まった。6日に直近の安値を更新した後、8日に反発し、利益確保の買い戻しが先行したとみられるが、戻り売り人気は強いとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

12日 
   豪第2四半期住宅価格指数
   日本6月鉱工業生産指数
   独8月ZEW景況感指数
   米7月財政収支
13日 
   日本第2四半期国内総生産(GDP)1次速報
   中国7月小売売上高、中国7月鉱工業生産指数
   独7月消費者物価指数
   英7月雇用統計
   ユーロ圏6月鉱工業生産指数
   米7月小売売上高
14日 
   NZ第2四半期小売売上高
   日本6月機械受注高
   独第2四半期国内総生産(GDP)速報値
   ユーロ圏7月消費者物価指数確報値
   ユーロ圏第2四半期国内総生産(GDP)速報値
   米新規失業保険申請件数
   米7月輸入価格指数
15日 
   英第2四半期国内総生産(GDP)速報値
   カナダ6月製造業出荷
   米8月NY連銀製造業景気指数
   米7月生産者物価指数
   米6月対米証券投資
   米7月鉱工業生産・設備稼働率
   米8月ミシガン大学消費者信頼感指数

2014年8月11日

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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