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外為マーケットコラム

米経済統計強気なら105円台半ば〜後半に再上昇

 9日1日の週のドル・円相場は1ドル=105円台までドル高・円安が進行し、5日のアジア時間の序盤に2008年10月3日以来、5年11カ月ぶりの高値105.70円をつけた。5日発表の8月の米雇用統計が事前予想より弱気の数字となったことで104.69円まで反落したが、日米間の景況感の違いからドル買い、円売りの動きは強く、105円台に切り返し、105.07円で取引を終えた。米労働省発表の雇用統計が事前予想より弱気の数字となったことで米金融緩和政策の長期化期待が浮上した。米株式市場ではS&P500が5日に史上最高値を更新し、米金融資産への投資に対して強気感、信頼度の高さが感じられた。ユーロ圏内の景気回復力が弱く、4日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会で市場の大方の予想に反してECBが主要政策金利を引き下げたことでドル高・ユーロ安に拍車がかかったこともドル買い、円売り要因となった。

 今週はドル高修正局面を迎える可能性はあるが、12日発表の8月の米小売売上高などを材料にドル買いを仕掛けるタイミングを待つ投資家も多いとみられ、下値は堅く、強気の米経済指標の発表でニューヨークダウの史上最高値(4日、1万7,161.55ドル)の更新があれば、ドル・円が1ドル=105円台半ば〜後半に再度、上伸の可能性ありとみる。ドルに買われ過ぎ感はあるが、米景気回復力の強さからドルの押し目買い意欲は強いはずだ。今週は中国の経済統計の発表が多いが、中国経済統計の数字が強気になると、リスクオンの動きからドル高、株高になりやすいとみる。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=104〜106円。

【米ISM製造業景況指数が強気で1ドル=105円台に上昇】

 先週は週後半に米労働市場に関する経済統計の発表が多いことや、4日にECBの理事会、金融政策の発表があることで週前半はもよう眺め気分が強い展開も予想された。1日の米国がレーバーデーの祝日で株式市場が休場にもかかわらず、アジア、欧州市場からドル・円は強含みとなり、1ドル=104.35円まで上昇し、直近の高値104.27円をわずかに上抜いた。米国の3連休明けの2日は8月の米ISM製造業景況指数が59(大方の事前予想は57)となり、2011年3月以来の高水準となり、日米の景況感格差が示されたことや、日米当局の金融政策の方向性の違いなどから、ドル買い、円売りの動きが強まり、105.21円まで上昇した。105円の節目を超えたことで心理的にもドル高に傾きやすい環境となった。

 3日はドル高進行のスピードの速さに対する警戒感から104.70円まで修正安が進んだ。この日は米地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表があり、10地区で景気が緩慢ないし緩やかに拡大、製造業の見通しは大半の地区で楽観的などの見解が示された。

 4日は日銀金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁が、「ファンダメンタルズでドルが強くなることは何ら不思議ではない」などと述べたことが支援材料視されるなか、ECBが市場の大方の予想に反して主要政策金利を引き下げたことを受け、対ユーロでドルが急伸したことを背景に105.37円台に上昇し、105円台を維持して引けた。8月の米ADP雇用者数が20万4,000人増加にとどまり、事前予想を下回り、5カ月ぶりの水準に落ち込んだが、ドル買いムード一色で特にドル売りの材料にはならなかった。

 5日はアジア時間の朝方に105.70円まで上昇し、2008年10月以来の高値を更新した。しかし米労働省発表の8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は事前予想の前月比23万人増を大幅に下回り、前月比14万2,000人増にとどまり、昨年12月以来の低水準となったことに反応し、ドルの利食い売りが先行した。ただしドルの押し目買い意欲は強く、105円台を維持した。

【ECB理事会で金利引き下げでユーロ安加速】

 ユーロ・ドルは大幅続落。先月までユーロ圏と米国の景況感の違いからユーロ売り、ドル高となっていたが、さらにその動きに拍車がかかった。1日に発表された8月のユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)改定値が下方修正され、引き続きユーロ域内の景気回復力の弱さが裏付けられ、1ユーロ=1.3110ドルまで下落し、昨年9月の安値1.3105ドルに接近した。

 3日はロシアとウクライナの両大統領がウクライナ東部のドンバス地域での停戦について合意したことが好感され、自律修正高となるも戻りは鈍く、1.3154ドルで頭打ちとなった。

 4日はECB理事会で市場の大方の予想に反して金利引き下げが決定したことを受け、一気にユーロ売り圧力が強まった。ドラギECB総裁が、理事会後の記者会見で、規模などの詳細に言及しなかったものの、10月からABS購入を開始すると述べたことや、量的緩和について話し合ったことを明らかにしたこと、今年と来年の域内経済成長率見通しを引き下げたことなども圧迫要因となり、一時、昨年7月10日以来となる1.2920ドルまで大幅に値を沈めた。5日は米雇用統計が弱気の数字となったことで下げと止まったが、1.3000ドルの節目が抵抗線になり、1.2950ドルで取引を終えた。

【円売り越し幅拡大も売りの余地あり】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が5日に発表した今月2日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は11万7,308枚に増加した(8月26日現在、10万2,891枚売り越し)。前回の本欄で1ドル=104.30円に円安が進むと、円売り加速かとの見解を示したが、1日に1ドル=104.30円台に円安、ドル高となると、投機家の円売りが加速したようだ。5日現在、12万枚台後半まで増加しているとみられる。シカゴ・ユーロの売り越しが16万枚を超えていることを考えると、まだ売りの余地はある。

 シカゴ・ユーロ市場では今月2日現在、大口投機家の売り越し枚数は16万1,423枚に増加した。(8月26日現在、15万0,657枚)。3日以降もユーロ安が加速しており、17万枚近くまで増加しているもよう。ユーロ売り人気は強い。1ユーロ=1.3000ドルの節目を回復すると、ユーロの買い戻しが進む可能性はある。ただ売り人気は強く、売り場探し局面になるとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

8日
   日本7月経常収支
   日本第2四半期国内総生産(GDP)2次速報
   中国8月貿易収支
   スイス8月雇用統計
   独7月貿易収支、独7月経常収支
   スイス8月消費者物価指数
9日
   日銀議事要旨(8月7・8日分)
   豪7月住宅ローン許可件数
   英7月貿易収支、英7月鉱工業生産指数、英7月製造業生産指数
10日
   日本7月機械受注高
11日
   ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
   中国8月生産者物価指数、中国8月消費者物価指数
   豪8月雇用統計
   独8月消費者物価指数確報値
   米新規失業保険申請件数
   米8月財政収支
12日
   日本7月鉱工業生産指数
   ユーロ圏7月鉱工業生産指数
   米8月小売売上高
   米8月輸入価格指数
   米9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値
13日
   中国8月小売売上高、中国8月鉱工業生産指数

2014年9月8日

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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