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外為マーケットコラム

1ドル=108円視野もFOMCの声名文発表後に修正安の可能性あり

 9日8日の週のドル・円相場は1ドル=107円台半ばまでドル高・円安が進行し、2008年9月22日につけた107.40円に接近した。連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和終了後の利上げ開始時期の前倒し観測からドル買い意欲が強く、対円で連日の高値更新となった。円サイドからは11日に黒田日銀総裁が安倍首相との会談後に記者団に対し、「仮に目標達成に困難をきたす状況が出てくれば、躊躇なく追加緩和であろうと何であろうと政策調整を行う用意がある」と発言したことで追加緩和観測が強まったことが円売り要因となった。

 ニューヨークダウは米金利の先高感を嫌気し、12日には8月20日以来の安値となる1万6,737.67ドルまで下落し、終値で1万7,000ドル割れなり、調整色を濃くしているが、ドルは対円で107円台を維持して先週の取引を終え、15、16日もドル買い意欲の強さは感じられる。

 今週は16、17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、17日に声名文が発表される。いつ米利上げが開始されるか言及される可能性があり、その内容にどのように反応するかが注目される。ドル・円の14日間の相対指数(RSI)は、12日の終値の時点で83.6となり、稀に見る強気相場だが、買い過剰感、高値警戒感はある。FOMCで早期利上げに関して具体的な時期の言及がなければ、ドルの利食い売りが出て、高値修正局面を迎えてもおかしくはないが、106円台半ば〜前半では押し目買い意欲が強いとみる。15日発表の9月のNY連銀製造業景気指数、8月の米鉱工業生産・設備稼働率、16日発表の8月の米生産者物価指数、17日発表の8月の米消費者物価指数、18日の米新規失業保険申請件数、8月の米住宅着工・許可件数、9月のフィラデルフィア連銀景況指数を見極めながらではあるが、次の節目である、108円を視野に入れる展開か。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=106〜108円台。

【ドル・円は中長期的に1ドル=110円目指す動きに】

 8日の週は予想以上にドル・円の上伸力が示された。8日に発表された日本の4−6月期の国内総生産(GDP)改定値が前期比7.1%減と速報値の6.8%減から下方修正され、事前予想(7%減)を下回り、リーマンショック後の2009年1−3月期(15.0%減)以来の大幅な落ち込みとなったことで、日米の景況感の差から8日に1ドル=106円まで円安・ドル高が進んだ。米利上げ開始時期の前倒し観測で9、10日もドル高・円安の流れが続き、10日には106.89円まで上昇した。11日には前述したように日銀黒田発言で107.20円まで続伸した。12日は8月の米小売売上高が前月比+0.6%となり、4カ月ぶりの大幅の伸びとなったことや、9月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値が84.6で昨年7月以来の高水準となったことから107.39円までドルが買い進まれた。連日、高値更新となり、買い過剰感は強いがドル高賛成ムード、中長期的には110円を目指す動きだ。

【ユーロ・ドルは安値更新後に反発、ユーロ鉱業生産やギリシャの格付け引き上げで】

 ユーロ・ドルは安値更新後に反発。米国とユーロ圏の景況感の違いから9日に昨年7月10日以来の安値となる、1ユーロ=1.2856ドルをつけたが、その日のうちに安値修正の動きとなり、1.29ドル台半ばに反発し、おおむね高もちあいで引けた。10、11日に一時1.28ドル台後半に反落したが、1.28ドル台後半は買い拾う動きが強く、12日は一度も1.28ドル台を試すことなく、1.29ドル台前半〜後半で堅調に推移した。12日は7月のユーロ圏鉱工業生産が前月比1%上昇となり、事前予想の0.7%上昇を上回ったことや、S&Pがギリシャ格付けを「B−」から「B」に引き上げ、見通しを安定的としたことが支援材料となった。1ユーロ=1.30ドルの節目が抵抗線になるとみられる。16日に発表される9月のドイツのZEW景況感指数に注目したい。

【大口投機家の円の売り越しは12万枚前後まで増加か】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が12日に発表した今月9日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は10万673枚に減少した(9月2日現在、11万7,308枚売り越し)。しかし10、11日の取組高が1万5,000枚以上増加するなか、1ドル=107円台に円安、ドル高が進んだことで円の売り越しは12万枚前後まで増加しているとみられる。

 シカゴ・ユーロ市場では今月9日現在、大口投機家の売り越し枚数は15万7,505枚に減少した。(9月2日現在、16万1,423枚)。9日に1ユーロ=1.2856ドルまで下落し、直近の高値を更新したが、10日から反発し、11日には5日以来の高値となる1.2979ドルをつけた。10日はユーロを新規で売る動きが強かったが、11、12日は買い戻しの動きが先行したとみられる。1.300ドルの節目を回復すると、ユーロの買い戻しが加速するとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

15日
   英9月ライトムーブ住宅価格
   ユーロ圏7月貿易収支
   米9月NY連銀製造業景気指数
   米8月鉱工業生産・設備稼働率
16日
   英8月消費者物価指数、英8月小売物価指数、英8月生産者物価指数
   独9月ZEW景況感指数
   米8月生産者物価指数
   カナダ7月製造業出荷
   米7月対米証券投資
17日
   NZ第2四半期経常収支
   豪8月ウェストパック先行指数
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   英8月雇用統計
   ユーロ圏8月消費者物価指数
   米8月消費者物価指数
   米第2四半期経常収支
   米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表
18日
   NZ第2四半期国内総生産(GDP)
   日本8月貿易収支
   スイス8月貿易収支
   スイス銀行政策金利
   英8月小売売上高指数
   米新規失業保険申請件数、米8月住宅着工・許可件数
   米9月フィラデルフィア連銀景況指数
19日
   日本7月景気動向指数
   独8月生産者物価指数
   ユーロ圏7月ユーロ経常収支
   カナダ7月卸売売上高、カナダ8月消費者物価指数
   米8月景気先行指数

2014年9月16日

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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