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外為マーケットコラム

ドル・円は1ドル=110円台再挑戦か、日米の金融政策の違いで

 9日29日から10月3日の週のドル・円は週前半に続伸し、1日のアジア時間に2008年8月以来の高値となる1ドル=110.08円まで買い進まれた。しかし欧米時間では9月の米ISM製造業景況指数が事前予想を下回ったことがドルの上圧迫要因となり、110円台を試すことなく、108.85円まで下落した。2日もユーロ圏の景気動向への懸念などを背景に欧米株式相場が一段と下落したことから、リスク回避の動きに圧迫され、107.98円まで急落した。ただ108円水準〜108円台前半でのドル買い意欲は強く、108.40円台に戻した。3日は米労働省が発表した9月の米雇用統計で失業率が予想外に低下し、2008年7月以来の低水準となる一方、非農業部門雇用者数が事前予想を上回り、前月の数字が上方修正されたことからドル買い意欲が高まり、109.90円まで急騰した。110円の節目が抵抗線になったが、109.77円台で堅調に引けた。1日から2日にかけて修正局面入りしたが、3日に急騰したことで週足は5週連続の陽線引けとなった。25日移動平均線(3日の終値で107.56円)を試す前に反発し、テクニカル要因から強気である、今週は110円台を再挑戦するとみられるが、終値ベースで110円台を維持するかが注目される。

 今週は日銀金融政策決定会合が6日から2日間の予定で開催される。7日に金融政策発表、8月の日本景気動向指数の発表、黒田日銀総裁記者会見が予定されている。8日に同月の日本の経常収支、同月の貿易収支、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(9月16・17日分)、9日に8月の日本の機械受注高、米新規失業保険申請件数、10日に日銀金融政策決定会合議事要旨(9月3、4日分)の発表がある。日米の金融政策の方針に違いが再認識されれば、ドル高・円安が再度加速する可能性はあろう。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=108円台後半〜111円。

【ドル・円は110円台試した後、修正安も押し目買い意欲強い】

 ドル・円は1ドル=110円台を試した後、押し目を形成したが、3日の上昇で改めてドルの上伸力が確認された。ドル・円がニューヨークダウの調整と歩調を合わせた格好だ。ニューヨークダウは先月19日に史上最高値となる1万7,350.64ドルまで上げた。22日から下げに転じ、同月25日に1万7,000ドル台を割り込んだことから調整色を強めた。今月2日には8月18日以来の安値となる、1万6,674.04ドルまで下落した。3日の急反発で当面は底入れ感が出たが、25日移動平均線が通る1万7,070ドルを回復しておらず、14日間の相対力指数(RSI)は強気と弱気の分岐点の50を割り込んだままだ。今週は8日からアルミ大手メーカーのアルコアを皮切りに米企業の第3四半期の企業決算が相次ぐ。企業決算の数字もニューヨークダウが上昇相場に再転換できるかのカギだ。

 先週は米労働市場に関する経済指標の発表が続いた。1日に発表されたADP雇用統計で就業者数が前月比21万3,000人増となり、事前予想の同20万5,000人増を上回った。2日に発表された9月27日までの米週間新規失業保険申請件数は28万7,000件となり、事前予想の29万7,000件を下回った。3日に米労働省から発表された9月の米雇用統計で失業率が5.9%となり、前月6.1%から低下した(事前予想6.1%)。一方、非農業部門雇用者数は24万8,000人の増加となり、事前予想の21万5,000人増を大幅に上回った。前月は18万人増となり、14万2,000人増から上方修正された。

【ユーロ・ドルは安値更新を継続、米国・ユーロ圏の景況感の違いで】

 ユーロ・ドルは軟調に推移し、安値更新を継続した。3日には1ユーロ=1.2500ドル割れを試す展開となり、2012年8月以来、約2年2カ月ぶりの安値をつけた。9月30日は、9月の独失業者数が前月比1万2,000人増となり、事前予想の同2,000人減に反して増加したことや、9月のユーロ圏コア消費者物価指数速報値が前年比0.7%上昇となり、事前予想の0.9%上昇を下回ったことを受け、量的緩和への期待の高まりから1.2500ドル台を試し、1.2568ドルまで下落した。今月1、2日は下げ一服となったが、3日は急落した。9月の米雇用統計の発表を受け、1.26ドルの節目を再度割り込み、2012年8月31日以来の安値となる1.2498ドルまで一段と値を沈めた。9月のユーロ圏サービス業購買担当者指数(PMI)と総合PMIの改定値がともに下方修正されるなど景気の先行きリスクが強まるなか、年末までに量的緩和に踏み切る可能性が払しょくできないこともユーロ売りにつながった。米国とユーロ圏の景況感の違いが鮮明だ。米金利の先高感が強く、ドルに資金が流れやすい傾向は変わらず、なおユーロ安、ドル高が進む可能性が高いとみる。

【円は再度1ドル=110円台を試すと110.67円が安値目標に】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が3日に発表した先月30日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は12万878枚に増加した(9月23日現在、10万5,422枚売り越し)。1、2日に買い戻しが進んだとみられ、売り越しは11万枚台前半まで縮小したとみられる。3日には再度売りを先行させたもよう。ドル・円は再度1ドル=110円台を試すと、投機家の円売りに主導され、円安・ドル高がさらに進むとみる。次の円の安値目標は2008年8月の安値110.67円とみる。110.67円より円安・ドル高となった場合、111円に向かう展開か。

 シカゴ・ユーロ市場では先月30日現在、大口投機家の売り越し枚数は13万7,525枚に減少した。(9月23日現在、14万1,965枚)。ただ今月1日以降も売りを先行させているとみられ、14万枚台半ばまで売り越し幅は拡大しているとみられる。9月2日にユーロの売り越しは16万1,423枚を記録しており、まだ売り余地ありとみる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

6日 
   独8月製造業受注指数
   英9月HBOS住宅価格
   カナダ9月Ivey購買部協会指数
7日 
   オーストラリア準備銀行(RBA)政策金利
   日銀金融政策決定会合・金融政策発表
   日本8月景気動向指数
   独8月鉱工業生産指数
   黒田日銀総裁記者会見
   スイス9月消費者物価指数
   英8月鉱工業生産指数
   英8月製造業生産指数
8日 
   日本8月経常収支、日本8月貿易収支
   スイス9月雇用統計
   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(9月16・17日分)
9日 
   日本8月機械受注高
   豪9月雇用統計
   独8月貿易収支、独8月経常収支
   英中銀(BOE)政策金利
   米新規失業保険申請件数
10日 
   日銀金融政策決定会合議事要旨(9月3・4日分)
   豪8月住宅ローン許可件数
   英8月貿易収支
   カナダ9月雇用統計
   米9月輸入価格指数
   米9月財政収支

2014年10月6日

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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