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外為マーケットコラム

ドル・円は調整局面へ、NYダウが持ち直すかに注目

 10月6日の週のドル・円は6日に1ドル=109.85円をつけたが、7日に国際通貨基金(IMF)から発表された来年の世界経済成長見通しの下方修正などを背景にした欧米株式相場の下げや、米長期金利の急低下などがドルを圧迫することとなり、終盤に108円の節目を割り込み107.80円まで下落した。この日は日銀金融政策決定会合が開催され、金融政策は現状維持となり、7日の日本時間の午後3時半に日銀黒田総裁「円安で問題は生じてない」と会見したが、その日の午後に安倍首相が国会答弁で「輸入価格の高騰でマイナスの影響受ける企業もある」と述べたことで円が買われた。8日には108.74円まで反発したが、先月16−17日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表され、世界的な景気減速やドル高進行が米景気のリスク要因になり得るとの見方が示され、早期の米利上げ期待が後退したため、108円台前半で引けた。9、10日もニューヨークダウが軟調に推移したことでドル売りの動きが止まらず、107.60円台で先週の取引を終えた。ドルは対ユーロでも反落し、ドルの独歩高の動きが修正される格好となった。前週の予想では108円台後半をレンジの下限にしていたが、7日に107円台を試したのをきっかけに調整局面に移行した。中長期的には110円台に再挑戦の可能性はあるが、数週間程度、ドルは調整場面になる可能性が大だ。

 今週は15日に発表される9月の米小売売上高の発表を皮切りに週半ばから後半に米経済統計の発表が続く。また15日には米地区連銀経済報告(ベージュブック)の報告がある。米経済統計、ベージュブックの発表を受け、早期の米利上げ観測が再燃するかがポイントとなろう。また大手金融機関を中心に米企業の第3四半期の企業決算報告も活発化する。企業決算報告の発表を受け、ニューヨークダウが持ち直すかにも注目したい。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=106円台前半〜108円台後半。14日の東京時間の早朝に106.69円まで円高・ドル安が進んだ。チャートからは106円台前半まで下落する可能性もあるとみる。

 7日に25日移動平均線割れとなった後にドル安・円高が進んだ。25日移動平均線が108.25円に通っており、108.25円を突破すると、108円台後半まで上昇の期待は持てる。

【NYダウ1万6,300ドル割れなら、1ドル=106円台前半目指す】

 IMFは7日に2015年の世界経済成長見通しをユーロ圏、ロシア経済などの不振で7月時点の4%成長から3.8%に下方修正した。IMFは同年のユーロ圏成長率も7月時点の1.5%成長から1.3%成長に下方修正した。中国の成長率は7.1%に据え置いたが、金融市場では世界景気に対する警戒ムードが台頭し、リスク回避の動きが強まった。

 ニューヨークダウは8日に米早期利上げ観測の後退で300ドル近い上げとなったが、9日は世界景気の先行き不安で300ドル以上の下げとなり、8月15日以来の安値に沈んだ。10、13日とも続落し、13日には1万6,310.47ドルまで下落した。終値で1万6,300ドルを割り込むと、1万6,000ドルを目指すチャートになる。1万6,300ドル割れとなると、ドル売り、円買いにさらに拍車がかかり、ドル・円は1ドル=106円台前半を目指す展開か。ただ米大手証券のゴールドマンサックスが9日、今後12カ月のドル・円見通しを従来の1ドル=110円から115円へと大幅に修正するなど、長期的にはドル高・円安基調が続くとの見方は多い。

【ユーロ・ドルは修正高、ドイツの経済指標弱く上げつかえる】

 ユーロ・ドルは今月3日に1ユーロ=1.2500ドル割れを試す展開となり、2012年8月以来、約2年2カ月ぶりの安値をつけたが、6日から反発に転じ、9日に9月24日以来の高値となる1ユーロ=1.2791ドルまで上昇した。ただしユーロ景気指標の改善から反発したのではなく、ドルの早期金利引き上げ観測の後退による自律修正高局面である。

 6日に発表された8月の独製造業受注は前月比5.7%低下と前月の4.9%上昇からマイナスに転じ、事前予想の2.5%低下を大きく下回り、2009年1月以来の大幅な落ち込みとなった。また7日に発表された8月の独鉱工業生産指数は前月比4%低下と前月1.6%上昇から転じ、事前予想1.5%低下を下回り、2009年1月以来の大幅な落ち込みとなった。9日に発表された8月の独輸出が前月比5.8%減少と予想4.0%減以上の落ち込みとなるなどドイツの経済指標の悪化が相次いだ。

 ドイツの経済指標の悪化を受け、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は9日にユーロ域内の経済構造改革を求めるとともに、必要ならば景気刺激措置の拡大を約束したと報じられ、量的緩和観測が強まった。14日の東京時間の午前10時現在、1.27ドル台前半で取引され、しっかりと推移。ただ25日移動平均先が通る1.2767ドルで上げつかえており、まだ基調がユーロ高・ドル安に転換したと判断するのは時期尚早だ。

【1ドル=106.50円試すと、買い戻し進み106円台前半まで円高・ドル安も】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が10日に発表した7日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は11万2,551枚に減少した(9月30日現在、12万878枚売り越し)。8日以降、円高・ドル安が進み、円はさらに買い戻され、10万5,000枚以下まで売り越しが減っている可能性あり。106.50円割れとなるとさらに買い戻しが進み、一時的にしろ106円台前半まで円高・ドル安が進行する可能性ありとみる。107円台半ばから108円台前半のレンジへの反発があれば、円の売り方は薄利でも確実に利益を確保するとめ、円の買い戻しの動きがあるとみられる。

 シカゴ・ユーロ市場では7日現在、大口投機家の売り越し枚数は14万6,212枚に増加した。(9月30日現在、13万7,525枚)。9月9日に15万7,505枚を記録して以来の高水準だ。8日以降、ユーロの買い戻しが進んだとみられ、13万台後半まで減少しているとみられる。ユーロ域内と米国の景気格差を考えると、ユーロ売り、ドル買いに分があるとみる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

14日 
   スイス9月生産者・輸入価格
   英9月消費者物価指数、英9月小売物価指数、英9月生産者物価指数
   独10月ZEW景況感指数
   ユーロ圏8月鉱工業生産指数
15日 
   中国9月生産者物価指数、中国9月消費者物価指数
   日本8月鉱工業生産指数
   独9月消費者物価指数
   英9月雇用統計
   米9月小売売上高、米10月NY連銀製造業景気指数、米9月生産者物価指数
   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
16日 
   ユーロ圏8月ユーロ貿易収支
   ユーロ圏9月消費者物価指数
   米新規失業保険申請件数
   カナダ8月製造業出荷
   米9月鉱工業生産・設備稼働率
   米10月フィラデルフィア連銀景況指数
   米8月対米証券投資
17日 
   カナダ9月消費者物価指数
   米9月住宅着工・許可件数
   イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演
   米10月ミシガン大学消費者信頼感指数

2014年10月14日

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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