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外為マーケットコラム

ドル・円の反発力は限定的か、NYダウの動きと中国の経済統計に注意

 10月13日の週のドル・円は1ドル=107円台半ばから105円台前半で乱高下する波乱の展開となった。15日に105円割れ寸前まで下落し、9月8日以来の安値をつけ、下落基調に転換の可能性もあった。16日にニューヨークダウが下げ渋ったため、106円台に反発し、17日はニューヨークダウが200ドルを超える上げとなったことから106.90円台まで続伸した。世界景気減速に対しての不安が強いため、リスク回避から株式投資に対して慎重な投資家が多く、ニューヨークダウがV字系の急回復になるとは考えにくい。ドル・円は20日のアジア時間の早朝から107円台前半に続伸しているが、ニューヨークダウが上伸力を欠けば、反発力は限定的か。

 今週は21日に中国の第3四半期の国内総生産(GDP)と9月の同国の小売売上高、鉱工業生産高の発表がある。23日にはHSBCから中国の9月の製造業購買担当景気指数(PMI)速報の発表がある。弱気の数字が出ると、世界景気減速不安が強まり、株安、ドル売りが再加速する可能性があり、注意が必要だ。23日はMARKITから10月のユーロ圏のPMI速報の発表もある。

 ドルの修正安は先週後半の切り返しで一服した。ニューヨークダウが堅調に推移するならば、25日移動平均線が通る108.20円を目指す展開か。先々週、先週ほど、重要な米経済統計の発表はないが、相場が荒れており、過剰に反応する可能性があるため、注意したい。

 今週のドル・円の予想レンジは1ドル=105円台後半〜108円台半ば。

【NYダウは米失業新規保険申請件数や住宅着工件数の改善から反発】

 ニューヨークダウは先週前半、安値模索の展開が続き、15日に1万6,000ドル割れとなり、2月11日以来の安値となる1万5,855.12ドルまで下落した。ニューヨークダウの下値模索からドル・円は1ドル=105.18円まで下落した。

 この日の株安、ドル安の背景となったのは、弱気の米経済指標が発表されたことだ。米商務省発表の9月の小売売上高は前月比0.3%減となり、前月の0.6%増、事前予想0.1%減を下回った。衣料が1.2%減と2012年10月以来の大幅な落ち込みとなった。自動車を除く小売売上高は0.2%減で個人消費の低迷が浮き彫りとなった(前月は0.3%増。事前予想は0.2%増)。

 またニューヨーク連銀発表の10月の同州製造業景気指数は6.17となり、4月以来の低水準となった(前月は27.54、事前予想は20.25)。

 しかし16日に発表された米経済指標が事前予想より、強気の数字となり、ドル、ニューヨークダウとも下落に歯止めがかかった。この日、米労働省から発表された10月11日までの週間新規失業保険申請件数は26万4,000件で前週の28万7,000件、事前予想の29万件を大幅に下回った。一方、4週間平均の申請件数は28万3,500件と前週の28万7,750件から減少し、2000年6月以来の低水準となった。また米連邦準備理事会(FRB)から発表された9月の鉱工業生産指数は前月比1.0%上昇し、事前予想の0.4%上昇を上回った。

 16日に強気の米経済統計が発表されたのに続き、17日には米商務省から発表された9月の住宅着工件数が前月比6.3%増の101万7,000件となり、事前予想の100万8,000件を上回った。8月の着工件数は95万7,000件と速報値の95万6,000件から上方修正された。また10月のミシガン大学発表の消費者信頼感指数速報値は86.4となり、事前予想の84.0、前月の84.6を上回った。

 ニューヨークダウは16日に小幅続落となったが、17日に急反騰となり、一時1万6,400ドル台を回復し、今月8日以来の陽線引けとなった。米大手証券モルガン・スタンレーや複合企業のゼネラル・エレクトリック(GE)などの第3四半期の企業決算が好調だったことも追い風となった。

【ユーロ・ドルは反発、ユーロ域と米国の景況感の差で先安感強い】

 ユーロ・ドルは反発。今月3日に1ユーロ=1.2501ドルまで下落し、2012年8月以来の安値をつけた。しかし6日から反発に転じ、週替わりの13日以降も反発基調を維持した。14日は10月の独ZEW景況感指数が事前予想の0.0に反してマイナス3.6となり、2012年11月以来の低水準となった。また8月のユーロ圏鉱工業生産、前月比1.8%低下となり、事前予想の1.6%低下を下回った。またこの日、ドイツ政府は2014年の経済成長率見通しを従来予想の1.8%予想から1.2%に下方修正、また2015年成長率見通しを従来の2%予想から1.3%に下方修正した。これらの数字を受け、ユーロ・ドルは下落した。しかし15日はニューヨークダウが大幅安となり、ドル安となったことでユーロ・ドルは9月23日以来の高値となる1.2886ドルまで急上昇し、1.2837ドルで引けた。

 16日に小反落し、17日はニューヨークダウの急反発を受け、ドル高となり、1.2742ドルまで下落したが、週足は2週連続の陽線引け。かろうじて25日移動平均線が通る1.2750ドルを維持し、テクニカルから、修正高を引き継いだ。ただ景気に不安があるユーロ域と景気回復力の目立つ米国の景況感の差は明らかでユーロ・ドルの先安感は強い。

【1ドル=107.49円まで円安・ドル高なら円売り加速か】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が17日に発表した14日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は10万1,147枚に減少した(10月7日現在、11万2,551枚売り越し)。15日に1ドル=105円台前半までドル安、円高が進んだ局面で円の買い戻しが進んだが、16、17日は円売り優勢で、17日現在、9万枚台後半から10万枚前後の売り越しか。再度、105円台を試すと買い戻しが膨らみ、15日につけた107.49円を試すまで円安・ドル高が進むと円売り加速か。

 シカゴ・ユーロ市場では14日現在、大口投機家の売り越し枚数は15万5,342枚に増加した(10月7日現在、14万6,212枚)。15日のユーロ・ドルの急騰局面で15万枚前後まで売り越し幅は減少したが、16、17日現在はユーロの売り越しとなったとみられ、依然としてユーロ売り人気は継続しており、1.27ドル割れなら売りが増加か。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

20日 
   英10月ライトムーブ住宅価格
   日本8月景気動向指数
   独9月生産者物価指数
   ユーロ圏8月ユーロ経常収支
   カナダ8月卸売売上高
21日 
   豪中銀理事会議事録
   中国9月小売売上高、中国9月鉱工業生産指数
   中国第3四半期国内総生産(GDP)
   スイス9月貿易収支
   米9月中古住宅販売件数
22日 
   豪9月ウェストパック先行指数
   日本9月貿易収支
   豪第3四半期消費者物価指数
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   米9月消費者物価指数
   カナダ8月小売売上高
   カナダ銀行(BOC)政策金利
23日 
   NZ第3四半期消費者物価
   中国HSBC製造業購買担当景気指数
   英9月小売売上高指数
   米新規失業保険申請件数
   米8月住宅価格指数
   米9月景気先行指数
24日 
   NZ9月貿易収支
   英第3四半期国内総生産(GDP)速報値
   米9月新築住宅販売件数

2014年10月20日

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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