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外為マーケットコラム

日銀追加金融緩和でドル高がさらに加速、米労働市場に関する統計に注目

 10月27日の週のドル・円は28日までは1ドル=108円を挟んで推移したが、29日のニューヨーク市場の午後に108円台半ばに上昇すると、109円に向け上伸した。28、29日と2日間にわたり、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、29日のニューヨーク時間の午後2時過ぎに声明文が発表され、量的緩和第3弾(QE3)は計画通り終了、景気回復が早まれば金融引き締めが早まる可能性があると併記されたことでドル高が進んだ。30日に発表された米国の第3四半期の国内総生産(GDP)速報値が前期比年率換算で+3.5%となり、市場予想の+3.0%を上回った。GDPが強気の数字となったことで米国経済に対しての信頼感が高まり、ドル高、米国株高が加速した。さらに31日の日本時間の午後に日銀が金融政策決定会合で追加金融緩和を決定したことで円売りが進み、ドル・円は112円台半ばまで上昇した。追加金融緩和は予想外のサプライズであっただけに市場の反応が大きく、円売り、日本株買いの動きに火がつき月替わり後もドル買い、円売りの勢いが止まらず、3日の海外市場では2007年12月以来、6年10カ月ぶりの高値となる114.21円まで大きく値を伸ばした。

 今週から月替わりとなったが、5日に10月の米ADP雇用統計が発表されるのを皮切りに米労働市場に関する経済指標の発表が続く。これら米労働市場に関する経済指標が強気の数字となれば、さらにドル高が進みそうだ。6日開催の欧州中央銀行(ECB)の理事会で量的緩和観測が強まっており、ECBの理事会にも注意が必要だ。ドル高、株高でリスクオン容認ムードが強いが、世界的な景気減速の不安は残っている。いずれ世界景気減速の不安からドル、株はいったん利食い売りの動きはあるはずだ。

 今週の予想レンジは1ドル=112〜115円。

【ドル・円はFOMC、日銀の追加金融緩和で大きく動き一時114円台に】

 先週は小康状態にあったドル・円が日米の金融政策イベントで再度、大きく動いた。投機家の円売りが加速するキーポイントとみていた1ドル=108.50円をFOMCの声明文が公表された直後の10月29日のニューヨーク時間の午後2時過ぎに上抜き、レンジブレイクした。

 FOMCの声明文を整理すると以下の通りだ。1)量的緩和第3弾を計画通り終了、2)失業率は低下、雇用は着実に伸びている、3)労働市場のたるみは緩やかに縮小しつつある。

 上記したように米景気回復が早まれば金融引き締めが早まる可能性があると併記され、各国主要中央銀行の中で、最も早く通常の金融政策に回帰し、他の中銀との政策の方向性の相違がより鮮明となったため、ドルはほぼ全面高となった。

 30日は米GDPが予想以上に強い数字となったことに加え、25日まで米週間新規失業保険申請件数が28万7,000件(事前予想28万5,000件)となり、4週間の平均が2000年5月以来の低水準となったこともドル買いにつながり、109.46円まで上昇した。

 31日は日銀が金融政策決定会合で予想外に金融緩和拡大に踏み切ったことや、日本の公的年金運用割合で株式の比重が引き上げられたことなどから円が全面安、株高となるなか、ドル・円は海外市場で1ドル=112.48円まで続伸し、2007年12月以来の高値をつけた。

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が現金など短期資産を除く運用資産のうち、国内債券を現行の約6割から中長期的に35%に下げる一方、国内株式を25%に上げる見通しとの報道は10月30日のニューヨーク市場でも材料になっていたが、日銀の追加金融緩和に関しては予想外との声が多く、それがドル・円の値動きに反映された。

【NYダウは強気の米GDPや日本株の上昇で史上最高値を更新】

 ニューヨークダウは10月31日に1万7,395.54ドルまで上伸し、史上最高値を更新した。好調な米企業の第3四半期の企業業績を背景にニューヨークダウは反騰していたが、FOMCの声明文が発表された29日に1万7,000ドル台を回復し、米GDPや日本株の上昇に支援され、9月19日以来、約1カ月半ぶりに史上最高値を更新した。10月15日の安値1万5,855.12ドルの安値から1,500ドル以上の急騰となり、高値警戒感はある。高値圏で修正安はあってもおかしくはないが、1万7,000ドルが支持線として意識される展開か。

【ユーロ・ドルは大幅続落、ECB理事会で金融緩和観測強く】

 ユーロ・ドルは大幅続落。10月28日まで反発基調を維持したが、FOMCで米金利の早期引き上げ観測が強まったこと、米GDPが事前予想より、強気の数字となったこと、同月31日は10月の独小売売上高指数が前月比3.2%低下と予想以上に落ち込んだことや、10月のユーロ圏のコア消費者物価指数が事前予想を下回るなど、ユーロ域内経済指標の悪化が嫌気された。1ユーロ=1.2500ドル割れとなり、10月3日の安値1.2498ドルをわずかに下抜き、2012年8月以来の安値となる1.2486ドルまで下落した。週明け3日には6日に開催される欧州中央銀行(ECB)の理事会を前に追加金融緩和観測が強く、2012年8月以来の安値となる1.2438ドルで下落した。安値を離れたが、1.25ドル前後では戻り売り圧力が強く、なお先安感が強い。

【円の売り越しは大幅減も22日以降は再度売り優勢か】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が10月31日に発表した同月28日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は6万7,399枚に大幅減となった(10月21日現在、7万1,738枚売り越し)。28日までは買い戻されたが、FOMCの声明文が発表された29日以降、新規で円を売る動きが増えたとみられる。5日移動平均線が1ドル=111.60円水準に通っており、112円前後では円売り、ドル買いの動きが強いとみる。

 シカゴ・ユーロ市場では10月28日現在、大口投機家の売り越し枚数は16万5,707枚に増加した(10月21日現在、15万9,371枚)。29月以降、投機家のユーロ売りが加速しているとみられ、17万枚前後に増加か。ECBの理事会を前に金融緩和観測が強く、ユーロは売られやすい。米労働市場に関する経済指標が強気なら、さらに投機的なドル買い、ユーロ売りが加速し、1ユーロ=1.2400ドル台前半を目指す動きか。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

4日 
   ユーロ圏9月生産者物価指数
   カナダ9月貿易収支
   米9月貿易収支
   米9月製造業受注指数
5日 
   NZ第3四半期雇用統計
   豪10月AiGサービス業指数
   スイス10月消費者物価指数
   ユーロ圏9月小売売上高指数
   米10月ADP雇用統計
   米10月ISM非製造業景況指数
6日 
   豪10月雇用統計
   日本9月景気動向指数
   独9月製造業受注指数
   英9月鉱工業生産指数、英9月製造業生産指数
   欧州中央銀行(ECB)政策金利
   米新規失業保険申請件数
   米第3四半期非農業部門労働生産性指数
   カナダ10月Ivey購買部協会指数
7日 
   スイス10月雇用統計
   独9月鉱工業生産指数
   独9月貿易収支、独9月経常収支
   スイス9月小売売上高
   英9月貿易収支
   カナダ10月雇用統計
   米10月雇用統計
8日 
   中国10月貿易収支

2014年11月4日

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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