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外為マーケットコラム

ドル・円は修正安も中長期的な上昇続く、113円台ではドル押し目買い優勢か

 11月3日の週のドル・円は3日に1ドル=114円台前半に上昇し、その後も上伸力は強く、6日には115.50円台まで買い進まれ、2007年10月以来、7年1カ月ぶりの高値をつけた。しかし、7日は米労働省発表の10月の米雇用統計で失業率が予想外に低下し、6年3カ月ぶりの低水準となる一方、非農業部門雇用者数の増加が事前予想を下回ったことから修正安局面を迎え、114.26円まで軟化し、114.60円水準で取引を終えた。

 米雇用統計で非農業部門の就業者数が事前予想を下回ったが、非農業部門の雇用者数は9カ月連続して20万人超の増加となり、失業率は前月の5.9%から5.8%に低下し、雇用情勢の改善は続いている。

 ドル・円は先月27日に107円台半ばまで浅い押し目を形成した後、約8円のドル高・円安となり、行き過ぎたドル高が修正された格好だ。米国の経済指標は依然として景気回復を示す数字が多く、来年半ばから夏ごろの利上げ観測が有力だ。日米間の金融政策の違いは明らかであり、ドル高が進みやすい環境に変わりはない。短期的な修正安、次の上昇局面に向けてのもみあい局面はあるが、下値は堅く、中長期的な上昇局面は続くとみられる。

 今週の米経済指標は13日に週間新規失業保険申請件数と10月の財政収支、14日に同月の小売売上高、11月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値がある。週前半から週半ばはユーロ、円に絡んだ材料での取引が中心となろう。5日間移動平均線(10日の午前10時現在、1ドル=114.50円)を挟んでの取引となり、12日頃から新たな方向性を示す展開か。週後半発表の米経済統計が強気の数字になると、115.50円台を突破し、116円に接近する可能性ありとみる。4日の安値113.13円が支持線として意識され、113円台半ばでは押し目買いが優勢となるとみる。

 今週の予想レンジは1ドル=113〜116円。

【米雇用統計で非農業部門の雇用者数増が事前予想下回り、ドルの利食い売り】

 ドル・円は1ドル=115円水準では利食い売りで上値が押さえられるとみていたが、115.50円台までドル高・円安が進んだ。勢いがついてオーバーシュート(行き過ぎ)となった。約2週間で7円以上もドル高、円安が進んだが、115円台をつけた時は14日間の相対力指数(RSI)が80を超え、25日移動平均線からの乖離率が約6%となり、買い過剰感が強まっていた。それだけに7日発表の米雇用統計で非農業部門の就業者数が前月比21万4,000人増にとどまり、大方の事前予想の平均値23万5,000人を下回ったことが格好のドルの利食い売り材料となった。

 11月第1週に発表された主要な米経済指標を整理すると、以下のようになる。3日発表の10月のISM製造業景況指数は59.0で大方の事前予想の56.1を大幅に上回った。同日に米商務省から発表された9月の建設支出は前月比0.4%減少で事前予想の同0.7%増を下回った。5日発表の10月のADP雇用統計は前月比23万人増加で事前予想の22万人増加を上回った。6日に米労働省から発表された11月1日までの週間新規失業保険申請件数は27万8,000件で事前予想の28万5,000件を下回り、4週間平均の申請件数は27万9,000件と前週の28万1,250件から減少し、2000年4月以来の低水準となった。米労働市場の改善は続いており、今後のクリスマス商戦に向けて個人消費の伸びが期待できる。

【NYダウは3日連続で史上最高値を更新】

 ニューヨークダウは5日から7日にかけて史上最高値を更新した。5日は米ADP雇用統計が事前予想を上回ったことや、米中間選挙で上院、下院とも過半数を獲得し、共和党が今後、企業寄りの法案を出すとの期待から買いが先行となり、1万7,500ドルに接近する上げとなり、史上最高値を大幅に更新した。6日はドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁による記者会見でのハト派寄りの発言を背景に、欧州株が上昇したことにつれ高となり、1万7,500ドルを超え、1万7,560.31ドルまで続伸した。7日は1万7,575.33ドルまで上げ、3日連続、史上最高値を更新したが、米雇用統計で非農業部門の就業者数が事前予想を下回ったことが上値圧迫要因となった。

 25日移動平均線が通る1万6,835ドルから4%以上の乖離、14日間の相対力指数(RSI)は69.4となり、買い過剰感はある。いったん修正安を迎えた方が急落の不安が緩和されるとみる。今週前半に100ドル前後の下落となり、その後は欧州株や米経済指標を見極めながら次の方向性を探る展開か。失業保険申請者数が事前予想より少なく、10月の小売売上高が事前予想より強い数字となれば、クリスマス商戦に期待が持て、ニューヨークダウは史上最高値更新の可能性ありとみる。

【ユーロ・ドルは大幅続落、ECBの追加金融緩和の可能性から】

 ユーロ・ドルは大幅続落し、下値模索。4日は反発したが、5日は9月のユーロ圏の小売売上指数が前年比0.6%上昇にとどまり、事前予想の1.4%上昇を下回ったことなどから売り圧力が強まった。6日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が理事会終了後の記者会見で「必要な場合の追加策でECBは全員が一致」したと述べ、追加緩和の可能性を示唆したこと、ユーロ域の景気見通しが下向きに修正される兆候があるとの認識を示したこともあり、欧米の景況感格差なども圧迫要因となり、2012年8月以来の安値となる1ユーロ=1.2375ドルまで値を崩した。7日は1.2356ドルまで続落後、米雇用統計で非農業部門の就業者数が事前予想を下回ったことから買い戻され1.2450ドル台まで反発した。7日は反発したとはいえ、なお先安感は強く、下値の余地ありとみる。

【1ドル=113円台後半を試すと投機家は円を買い戻しか】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月7日に発表した同月4日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は7万1,651枚に増加となった(10月28日現在、6万7,399枚売り越し)。5日以降も円売りは増えているとみられ、7日現在、7万5,000枚前後まで増加か。投機家は113円台後半、113.50円を買い戻しポイントにしているとみられ、目先は113円後半を試す円高、ドル安になるかに注目したい。

 シカゴ・ユーロ市場では11月4日現在、大口投機家の売り越し枚数は17万9,021枚に増加した(10月28日現在、16万5,707枚)。5、6日の取組高はこの2日間で4,000枚以上増加した。7日は買い戻しが先行したとみられるが、18万2,000枚前後に増加か。ユーロの売り人気は継続すると予想する。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

11日 
   日本9月経常収支
   豪第3四半期住宅価格指数
12日 
   英10月雇用統計
   ユーロ圏9月鉱工業生産指数
   英中銀四半期インフレ報告
13日 
   日本9月機械受注高
   日本9月鉱工業生産指数
   中国10月小売売上高、中国10月鉱工業生産指数
   独10月消費者物価指数
   スイス10月生産者・輸入価格
   米新規失業保険申請件数
   米10月財政収支
14日 
   独第3四半期国内総生産(GDP)速報値
   ユーロ圏10月消費者物価指数
   ユーロ圏第3四半期域内総生産(GDP)速報値
   米10月小売売上高、米10月輸入価格指数
   カナダ9月製造業出荷
   米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値

2014年11月10日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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