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外為マーケットコラム

ドル・円の予想レンジは広めに、イベント・米経済統計の発表多く

 11月10日の週のドル・円は10日に反落し、日本時間の午後5時に1ドル=113.83円の安値をつけた。ドルの押し目買い意欲は強く、113円台での取引は欧州時間帯の取引で終了し、ニューヨーク時間での取引では114円台後半に上昇した。11日の日本時間の午後には115円台の取引となった。安倍首相が来年に予定されている消費税率引き上げ時期を延期し、衆議院の解散・選挙を考えているとの観測が広がり欧州時間には116.10円まで買い進まれた。同日のニューヨーク時間の午後には115.05円まで反落したが、115円台半ばに反発して引け、値動きが荒い展開だった。11日は米国がベテランズデーで祝日のため、公的機関が休みのため米経済統計の発表がなく、日本絡みの材料で乱高下となった。

 12日は11日のレンジ内での取引ながら堅調に推移した。米週間新規失業保険申請件数が事前予想以上に増加したが、日米当局の金融政策の方向性の違いや、ニューヨークダウが再び史上最高値を更新するなど欧米株式相場の上昇が下支えとなった。

 14日は日本株高によるリスクオン(選好)の円売りの動きが進み、日本時間の午前中から116円台に上昇した。ニューヨーク入り後には、10月の米小売売上高が前月の減少から増加に転じ、事前予想を上回ったこともあり、発表直後に2007年10月16日以来となる116.83円まで上昇した。連日の高値更新が続いていたニューヨークダウが軟化したことなどもあり、ドルも利食い売りで116円近辺まで下押されるなど高値調整場面へと転じた。しかしドル買い意欲は強く、116.30円水準で前週の取引を終えた。

 今月に入り、既に4円以上のドル高・円安が進んでおり、高値警戒感は強いが、日米の金融政策の違い、ニューヨークダウの史上最高値の更新からドル買い意欲は強い。今週は18〜19日に日銀金融政策決定会合が開催され、19日に金融政策が発表される。19日(日本時間の20日未明)には10月28、29日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される。日本の金融緩和、米国の金融引き締めと、対照的な金融政策が再認識され、ドル高、円安が進みやすい環境に変わりない。17日発表の10月の鉱工業生産、設備稼働率を皮切りに米経済統計の発表も多い。17日の午前8時50分に発表された日本第3四半期国内総生産(GDP)1次速報は前期比−0.4%、前期比年率−1.6%となった。事前予想は前期比+0.5%だったが、予想外のマイナス成長で円売り、ドル買いとなり、発表直後に1ドル=117円水準までドル高となった。17日の東京時間の午前中に115円台半ばまで反落し、乱高下の展開だ。

 今週の予想レンジは1ドル=114〜118円。ボラティティ(変動率)が高まっていることや、イベントが多く、予想レンジを広めにした。

【NYダウ高値更新で米消費者心理が好転】

 11月第2週発表の米経済統計は13日に米労働省発表の11月8日までの週間新規失業保険申請件数は29万件となり、前週の27万8,000件から増加し、事前予想の28万件を上回った。一方、4週間平均の申請件数は28万5,000件で前週の27万9,000件から増加した。

 14日に米商務省が発表した10月の小売売上高は前月比0.3%増となり、前月の0.3%減から改善を示すとともに事前予想の0.2%増を上回った。また、自動車を除く小売売上高は前月比0.3%増で前月の0.2%減から改善した。失業保険申請者件数は増加したが、10月の小売売上高が改善を示し、消費の堅調さが裏付けられた。米国は感謝祭(サンクスギビングデー)明けから本格的なクリスマス商戦がスタートする。夏場とともに消費が活発化するシーズンだが、株高から消費者心理が好転し、商戦の盛り上がりに期待ができそうだ。

 なお14日に米ミシガン大学から発表された11月の消費者信頼感指数速報値は89.4となり、前月の86.9を大幅に上回り、2007年7月以来の高水準となった。

 ニューヨークダウは上値追いを継続。10月31日に9月19日につけた史上最高値1万 7,350.64ドルを上抜くと、上伸力が加速し、1万7,500ドル超えを目指す展開となった。13日には1万7,705.48ドルまで買い進まれた。

 25日移動平均線が通る1万7,004ドルから6%以上の乖離、14日間の相対力指数(RSI)は70.1となり、さらに買い過剰感は強まっている。

【ユーロ・ドルは14日に大幅高もユーロ安の基調変わらず】

 ユーロ・ドルは安もちあいで推移後、14日に大幅高となり、今月5日以来の高値となる1ユーロ=1.2546ドルまで上昇した。週足は4週間ぶりに陰線引け。14日間の相対力指数(RSI)は45.4、25日移動平均線(14日の終値1.2605ドル)を10月30日以降、一度も上抜いておらず、まだ基調はユーロ安、ドル高だ。

 13日の欧州中央銀行(ECB)専門家調査で2016年までの3年間の域内成長率とインフレ率が軒並み下方修正された。ECB専門家調査は2014年成長率予想を従来の1%成長から0.8%に、また2015年の成長率予想は従来の1.5%から1.2%に引き下げた。今週は18日に11月のドイツZEW景況感指数の発表がある。事前予想は1.7(現状値)で前月の3.2から低下予想。事前予想を上回ると買い戻しが増え、1.2500ドル台後半に上昇の可能性があるが、量的緩和の可能性から安定した上昇は難しく、上値の重さを確認後は1.25ドル前後に軟化か。

【1ドル=115円台前半でドル買いの動きが強い】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月14日に発表した同月11日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は8万2,563枚に増加となった(11月4日現在、7万1,651枚売り越し)。12日以降も売り越し幅は増加しているとみられる。12、13日の取組高が増加していることを考えると、8万5,000枚以上に増加か。買い戻しのチャートポイントは114.50円。115円台前半では円売り、ドル買いの動きが強いとみる。

 シカゴ・ユーロ市場では11月11日現在、大口投機家の売り越し枚数は16万3,893枚に減少した(11月4日現在、17万9,021枚)。予想に反して売り越し幅が減少した。12、13日は売り優勢となったが、14日は大幅に買い戻しが先行したもよう。ただ米国とユーロ域の景況感格差でユーロの売り人気は継続の見方に変わりなし。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

17日 
   ユーロ圏9月ユーロ貿易収支
   米11月NY連銀製造業景気指数
   米10月鉱工業生産・設備稼働率
18日 
   豪中銀理事会議事録
   英10月消費者物価指数、英10月小売物価指数、英10月生産者物価指数
   独11月ZEW景況感指数
   米10月生産者物価指数
   対米証券投資9月
19日 
   豪10月ウェストパック先行指数
   日銀金融政策決定会合(18〜19日)・金融政策発表
   日本9月景気動向指数
   ユーロ圏9月ユーロ経常収支
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   米10月住宅着工・許可件数
   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録
20日 
   NZ第3四半期生産者物価指数
   日本10月貿易収支
   中国11月HSBC製造業購買担当景気指数
   スイス10月貿易収支
   独10月生産者物価指数
   英10月小売売上高指数
   カナダ9月卸売売上高
   米10月消費者物価指数、米新規失業保険申請件数
   米11月フィラデルフィア連銀景況指数、米10月中古住宅販売件数
   米10月景気先行指数
21日 
   カナダ10月消費者物価指数

2014年11月17日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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