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外為マーケットコラム

米感謝祭で薄商いもドル・円は直近の高値更新の可能性あり

 11月17日の週のドル・円は続伸し、上値追いを継続した。17日は日本の第3四半期の国内総生産(GDP)1次速報が前期比1.6%減少と事前予想(2.2%増)に反して2四半期連続のマイナス成長となり、発表直後には2007年10月15日以来となる1ドル=117.05円へ上昇した。しかし日経平均株価の急落で、その日の欧州時間の前半の取引で115.46円まで急速に売り込まれ、乱高下の展開となった。115円台ではドル買い意欲が強く、116.40円台でニューヨーク時間での取引を終えた。

 19日は117円の節目が抵抗線ながらも堅調に推移し、116.90円台で終えた。10月の住宅着工件数が前月比2.8%減の100万9,000件となり、前月の103万8,000件(修正値)と事前予想の102万5,000件を下回った。米東部時間午後2時に10月28、29日に開催された米連邦公開市場委員会木(FOMC)の議事録が公開され、インフレ期待の低下を警戒も、(米経済が)国外経済の鈍化から受ける影響は限定的との見方が示された。それを受け、来年の米利上げ期待が強まったことでドル買い意欲が強まり、2007年8月13日以来の高値となる118.08円まで上昇し、117.90円台で取引を終えた。

 20日は安倍首相の消費税率引き上げ先送り表明や景気対策強化への期待感、日米当局の金融政策の方向性の違いなどを背景にした円売りが優勢となり、東京時間に2007年8月8日以来となる118.98円まで上昇した。119円の節目が抵抗線となったが、欧州時間では118円台後半で堅調に推移した。米労働省発表の15日までの週間新規失業保険申請件数は29万1,000件と事前予想の28万4,000件を上回ったことがドルの圧迫要因となり、いったんは117.70円台に下落した。しかしフィラデルフィア地区連銀発表の11月の同地区製造業景況指数はプラス40.8と過去最高を更新、また米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した10月の景気先行指数は前月比0.9%上昇と、3カ月ぶりの大幅な伸びとなり、米景気は順調に回復していることが示され、118円水準で引けた。

 21日は麻生財務相が閣議後会見で、この1週間の相場について「円の下がり方のスピードのテンポは速過ぎる。それは明らかだ」と述べたことで修正安局面を迎えた。しかし117.30円台で買い拾われ、117.70円台で終えた。中国が景気下支えのため2年4カ月ぶりに利下げに踏み切ったことを受けて欧米株式相場が一段高となり、ニューヨークダウが1万7,894.83ドルまで値を飛ばし、史上最高値を大幅に更新し、ドル資産に対する信頼度の高さが感じられた。

 今週は27日が米国は感謝祭(サンクスギビングデー)の祝日となり、見送りムードが強まる可能性はあるが、25、26日に複数の米経済統計の発表があり、強気の数字が出れば、再度118円台後半に上昇する可能性があるとみる。感謝祭で薄商いとなる分、値が飛びやすくなることもあり、119円台に上昇し、直近の高値更新の可能性はあるとみる。予想レンジは1ドル=116円〜119円台前半。

【日経平均株価が1万7,000円に接近する下落なら117円まで円高か】

 ドル・円は直近の高値を更新、ニューヨークダウは史上最高値を更新した。日本はGDPが2期連続のマイナス成長となり、日米の景況の差は鮮明だ。日本は4月の消費税が引き上げが予想以上に消費の悪化につながった。日経平均株価は17日に急落したが、18日以降、円安、ニューヨークダウの上昇に支援され、堅調に推移した。中国が利下げに踏み切り、米国を除き、金融緩和政策がとられ、押し目買い意欲は強く、下値は堅そうだ。

 17日に日経平均株価が500円以上の急落となった際には円高・ドル安が進んだが、18日に日経平均株価が反発すると、ドル・円はおおむね1ドル=116円台で堅調に推移した。日経平均株価が1万7,000円に接近するまで下落すると、10日間移動平均線が通る117.10円水準まで軟化か。その水準で投機家の円の買い戻しが進むと一時的にしろ116円台前半まで下落の可能性ありとみる。

【ユーロ・ドルは戻り歩調後、21日に急落】

 ユーロ・ドルは21日に急落した。今月7日以降、緩やかに下値を切り上げたが、21日に急落し、24日は1ユーロ=1.2350ドル台まで続落し、今月7日につけた安値1.2356ドルに顔合わせした。21日は欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁が「インフレリスクが顕在化すれば資産購入拡大する。ECBはできるだけ迅速にインフレ率を高める必要がある」と発言したことで追加緩和の可能性が強まり、値を崩した。1.2500ドルの節目を割り込むと、投機家の売りが加速したとみられ、1.2373ドルまで下げ足を速めた。

 欧州の経済統計は18日に発表された11月の独景況感指数がプラス11.5と前月(マイナス3.6)から急改善し、11カ月ぶりに前月から上昇した。しかし20日に発表された11月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)速報値は51.4前月の52.1から低下し、事前予想(52.3)を下回り、1年4カ月ぶりの低水準となり、ユーロ域の景況感の低下が改めて示された。

【1ドル=118円台後半では投機家の利益確保の買い戻し予想】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月21日に発表した同月18日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は9万2,454枚に増加となった(11月11日現在、8万2,563枚売り越し)。19日以降も売り越し幅は増加し、10万枚近くまで増加しているとみられる。買い戻しのチャートポイントは117.00円の節目、19日に長大陽線を引いたが、その下限にあたる116.80円。118円台半ばから118円台後半では投機家の利益確保の買い戻しが予想される。

 シカゴ・ユーロ市場では11月18日現在、大口投機家の売り越し枚数は16万8,730枚に増加した(11月11日現在、16万3,893枚)。ユーロ売り人気は強い。19、20日は買い戻しが先行した可能性があるが、21日は大幅な売り越しとなり、売り越し幅は17万枚を超えたもよう。11月4日現在で17万9,021枚まで増加した経緯があり、まだ売り余地はある。1ユーロ=1.2350ドル割れとなると、投機家の売り増す動きが増加か。1.2300ドルの節目が支持線として意識されそうだが、1.23ドル割れとなると、2012年7月24日の安値1.2040ドルを目指す展開となる。買い戻しによる修正高はあるが、年末か来年1〜2月には1.20ドルに接近する下げになるとみる。米国とユーロ域の景況感格差でユーロの売り人気は継続の見方に変わりなし。

今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

25日 
   独第3四半期国内総生産(GDP)改定値
   米第3四半期国内総生産(GDP)改定値
   カナダ9月小売売上高
   米9月住宅価格指数
   米9月S&Pケースシラー住宅価格指数
   米11月消費者信頼感指数
26日 
   英第3四半期国内総生産(GDP)改定値
   米新規失業保険申請件数
   米10月耐久財受注、米10月個人所得・個人支出
   米11月シカゴ購買部協会景気指数
   米11月ミシガン大学消費者信頼感指数
   米10月新築住宅販売件数
27日 
   NZ10月貿易収支
   スイス第3四半期国内総生産(GDP)
   独11月雇用統計
   独11月消費者物価指数
   カナダ第3四半期経常収支
28日 
   日本10月雇用統計、日本10月有効求人倍率
   日本10月勤労者世帯家計調査、日本10月消費者物価指数
   日本10月小売業販売額、日本10月鉱工業生産指数
   スイス11月KOFスイス先行指数
   ユーロ圏10月雇用統計
   ユーロ圏11月消費者物価指数速報値
   カナダ第3四半期国内総生産(GDP)
   カナダ10月鉱工業製品価格

2014年11月25日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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