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外為マーケットコラム

120円台乗せ後もドル買い意欲強い、修正安交えながら中長期的に上昇か

 12月第1週のドル・円は週前半から堅調に推移し、4日に1ドル=120円台に乗せ、台替わりとなった。5日には11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比32万1,000人増となり、大方の事前予想23万人増を上回ったことでFRBの利上げ時期が早まるとの観測から一段とドル高が進み、121.69円まで上伸した。ドルは対ユーロでも直近の高値を更新し、全面高の展開となった。ニューヨークダウが史上最高値を更新したこともドル買いに拍車をかけた。ドルの上昇スピードが早過ぎ、きっかけがあれば修正安の可能性はあるが、少なくとも年内はドル高ムードに変化はなく、小幅な修正安を交えながらも上値を試す展開か。

 今週は9日に米週間小売売上高、11日に11月の米小売売上高の発表があり、クリスマス商戦の個人消費が為替、株式市場で材料視されよう。また中国の経済指標の発表も多い。先週、中国株の代表的指数である上海総合株価指数が2,900.51まで上げ、2011年5月以来の高値をつけた。中国株の上昇で世界経済に対しての楽観ムードが強まれば、株、ドルには追い風となろう。

 週明け8日は東京時間の朝方にドル・円は121.80円台に続伸し、直近の高値を更新し、上伸力が衰えていないことを示した。ただ午前8時50分に内閣府が発表した2014年第3四半期実質国内総生産(GDP)成長率2次速報が前期比−0.5%(事前予想−0.1%)、前期比年率−1.9%(同−0.5%)となり、速報値の前期比−0.4%、年率−1.6%から下方修正され、一時121.30円台まで反落し、日経平均株価も上げ幅を縮小している。リスク回避ムードとなると、株高、ドル高・円安の流れが一服し、120〜121円のレンジに修正安の可能性ありとみる。

 今週の予想レンジは1ドル=120円前後〜123円前後。ボラティリティ(変動率)が高く、値動きが荒くなる可能性がある。中長期的に2007年6月の高値124.15円を目指すチャートだ。当面は25日移動平均先が通る117.35円から5%乖離に当たる123.20円台まで上昇すると売り過剰感が強まるため、123円水準が抵抗帯となるとみられる。台替わりし、120円台前半から120円前後では押し目意欲は強いとみる。

【ドル・円は上値追い、米雇用統計が強気で121円台半ばに買い進まれる】

 ドル・円は上値追い。米労働市場に関する統計が強気なら1ドル=120円台に上昇すると予想していたが、あっさりと120円の節目を超え、さらに121円も超え、121.69円まで上昇した。120円台に乗せても目標達成感からの利食い売りよりもさらに上値があるとみて120円台で買い進んだ投資家が多かったことが121円台半ばへのドル高、円安に導いた。

 3日は11月の米ADP雇用統計が発表され、前月比20万8,000人増にとどまり、事前予想の同22万5,000人増を下回った。しかしこの日は米供給管理協会(ISM)から発表された11月の非製造業景況指数が59.3となり、前月の57.1、事前予想の57.5とも上回ったことで、先行きの米経済動向への楽観ムードの広がりに支援され、119.80円台に上昇し、120円超えが目前となった。米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米雇用増大は全地区に拡大し、ガソリン安が個人消費を押し上げている可能性、景気は10−11月に引き続き拡大との報告があったことも強気要因となった。

 4日は米労働省発表の11月29日までの週間新規失業保険申請件数が29万7,000件となり、大方の事前予想の29万5,000件を上回った。しかし円が欧州中央銀行(ECB)の早期の追加緩和期待の後退から円が対ユーロで売られたことに反応し、120.25円まで上昇した。しかしその後、5日に米労働省から11月の米雇用統計の発表を控え、利食い売りが出て、120円台は定着できず、119.70円台で引けた。

 5日は前述のように米労働省発表の11月の米雇用統計が予想以上に強い数字となり、ドルが全面高となった。米雇用統計はサプライズとの表現が使われる想定外とも言える強い数字となった。雇用統計はニューヨーク時間の午前8時半に発表されたが、8時35分には121円台に上昇する暴騰劇となり、10時以降121.50円を挟んで高もちあいで推移し、上値の余地を感じさせる商状だった。

【ユーロ・ドルは安値更新、来年1月に量的緩和観測】

 ユーロ・ドルは軟調。3日に11月24日の安値1ユーロ=1.2359ドルを下抜き、直近の安値を更新し、4、5日と連日安値更新となった。

 3日は11月のユーロ総合製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値が51.1となり、速報の51.4から下方修正されたことが嫌気され、1.2299ドルまで下落した。4日はECB理事会での追加緩和見送りは織り込み済み。しかしECBは2016年までの3年間のユーロ経済の成長率とインフレ率見通しを下方修正し、状況が一段と悪化するようだと緩和期待が再び高まる可能性があるとした。ECBは幅広いQE(量的緩和)パッケージを1月の会合に向け準備しているとの報道があると、ユーロ安が進み、1.2280ドルまで下落した。

 5日は(ECB)が1月にも量的緩和を検討する可能性があるとの見方などに圧迫されるなか、11月の米非農業部門雇用者数の大幅増加を受け、一段と売り込まれ、一時、1.2269ドルまで下落し、2012年8月以来、2年4カ月ぶりの安値に沈んだ。

【大口投機家の円売り姿勢続く、1カ月で4万枚近く売り越し拡大】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月5日に発表した同月2日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は11万1,160枚に増加となった(11月25日現在、10万4,380枚売り越し)。10月28日以降、一貫して売り越し幅を拡大している。11月4日は売り越し幅が7万1,651枚だったが、約1カ月で4万枚近く売り越し幅は拡大した。3日以降もさらに売りが増えているとみる。120円台で利食い売りはあったとみられるが、ドル買い、円売りの動きに歯止めがかかる気配はない。いったん利益の確保の買い戻しがあっても、円の修正高はすかさず売りを仕掛けたいと考える投機家は多そうだ。

 シカゴ・ユーロ市場では今月2日現在、大口投機家の売り越し枚数は159,279枚に減少した。(11月25日現在、16万5,080枚)。2週連続で減少したが、3日からは安値更新で売り仕掛けの動きが強まり、売り越し幅は17万枚前後から17万枚台前半まで拡大か。少なくとも年内は軟調予想。前週、1.23ドル割れとなると、2012年7月24日の安値1.2040ドルを目指す展開となる。年末か来年1〜2月には1.20ドルに接近する下げになるとしていたが、その見方に引き続き変わりなし。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

8日 
   独10月鉱工業生産指数
   スイス11月消費者物価指数
   スイス10月小売売上高
9日 
   スイス11月雇用統計
   独10月貿易収支、独10月経常収支
   英10月鉱工業生産指数
10日 
   豪10月住宅ローン許可件数
   中国11月生産者物価指数、中国11月消費者物価指数
   英10月貿易収支
   米11月財政収支
11日 
   ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
   日本10月機械受注高
   豪11月雇用統計
   独11月消費者物価指数改定値
   スイス国立銀行(SNB)政策金利
   欧州中央銀行(ECB)月報
   米11月小売売上高、米11月輸入価格指数、米新規失業保険申請件数
12日 
   日本10月鉱工業生産指数
   中国11月小売売上高、中国11月鉱工業生産指数
   ユーロ圏10月鉱工業生産指数
   米11月生産者物価指数
   米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報

2014年12月8日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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