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外為マーケットコラム

FOMCで米早期利上げ観測強まるかがポイント

 12月第2週のドル・円は世界的な株安を背景にリスク回避の動きが強まり、ドル高・株高の流れからドル安・株安の流れに転じたのを受け、一時1ドル=117円台半ばまで急落した。117円台での取引は長く続かず、119円台に反発したが、ニューヨークダウの不安定な動きからドル売り圧力は強く、118円台半ばで取引を終えた。週足は8週間ぶりの陰線引けとなり、調整色が濃い相場となった。

 9日に中国当局が高リスク債について、一部の短期的な資金繰りの担保として今後は利用できないとの方針を示したことなどから、中国株の代表的指数である上海総合指数が前日比5.4%安と5年ぶりの大幅な下げ幅を記録したため、株高から株安への転換日となり、ドル・円は120円割れとなり、押し目底を模索した。

 今週は16、17日の2日間にわたり米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、17日のFOMC終了後に政策金利発表、イエレン議長記者会見がある。米金利早期引き上げ観測が強まるかが注目ポイントだ。また16日にはHSBCから12月の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)速報の発表があり、中国の景気判断が注目される。円絡みでは18、19日に日銀金融会合が実施され、19日に日銀黒田総裁の記者会見があり、その内容が注目される。

 チャートからは11月27日の安値1ドル=117.20円が支持線だ。117円台ではドル買い意欲強いとみるが、FOMCの開催で早期の米利上げ観測が後退すると予想以上にドル安が進む可能性はある。117.20円割れとなった場合、10月15日の安値105.18円から今月8日の高値121.84円までの上げ幅16.66円に対し、3分の1押しにあたる116.30円水準までドル安・円高が進む可能性がある。FOMC後、米金利の早期引き上げ観測が強まれば、121円前後まで上昇の可能性ありとみる。

 週明け15日は14日に開催された衆議院選挙で与党が圧勝となったが、12日のニューヨークダウの下落で日経平均株価の下げが予想されるため、早朝に1ドル=108円前後のドル安、円高となった。15日発表の12月の日銀短観で大企業製造業がプラス12となり、2四半期ぶりに悪化となり、リスク回避の動きもあったが、117円台後半で支持された後、119円を目指す流れとなり、反発基調を維持している。

 今週の予想レンジは116.30円〜121円と広めにとった。

【米小売売上高、ミシガン大消費者信頼感指数強気もNYダウは石油株の下落で軟調】

 ドル・円は予想以上の下げとなった。9日に1ドル=120円の節目を割り込んだ後、反発力の弱さを確認すると、ドルの手じまい売りと円を買い戻す動きが活発化し、12月に入ってからの上昇幅を削りとる動きとなり、11日に117.42円まで下落し、11月27日以来の安値をつけた。11日は11月の米小売売上高が前月比0.7%増加となり、大方の事前予想0.4%増を上回ったことを好感し、119.50円台まで反発したが、120円台に戻す勢いはなかった。

 12日は米ミシガン大学から発表された12月の消費者信頼感指数速報値が93.8となり、前月の88.8、事前予想の89.5を大幅に上回り、約8年ぶりの高水準となったが、ニューヨークダウが原油安を嫌気し、石油株関連中心に売られ、300ドル以上の下げとなったことでドルの戻りの足かせとなった。

【ユーロ・ドルは安値更新後に反発、経済指標弱気もドル安で】

 ユーロ・ドルは反発。8日に1ドル=1.2245ドルまで下落し、2012年8月以来、2年4カ月ぶりの安値をつけたが、その日のうちに修正高となり、11日には1.2495ドルまで上げ、今月1日以来の高値をつけた。1.2500ドルの節目が抵抗線になったが、1.2450ドル台で堅調に引けた。

 8日に発表された10月の独鉱工業生産指数が前月比0.2%上昇にとどまり、事前予想の0.4%上昇を下回った。また9日に発表された10月の英製造業生産指数が前月比0.7%低下となり、事前の予想の0.2%上昇を下回るなど、ユーロ圏の経済指標は弱い数字となった。また11日に欧州中央銀行(ECB)から発表された2回目の条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)結果で利用額が1,300億ユーロと予想の1,480億ユーロを下回り、再びユーロ域内景気の先行きが懸念されることとなった。早ければ来年1月にも量的緩和に踏み切る可能性があるとの指摘の声も聞かれたが、ドルの修正安から堅調な値動きとなった。

 今週もドル主導の展開となるとみられ、17日のFOMC後の米政策金利発表後の動きに注目したい。ユーロ圏の経済統計では16日にZEWから発表される12月の独景況感指数や、18日にifoから発表される同月の独景況感指数が注目される。中長期的には安値更新の可能性ありだが、ドル修正高の動きがリスク回避で継続されれば、ユーロ・ドルは1.25ドルを突破する可能性ありとみる。

【大口投機家は円、ユーロとも買い戻し先行】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月12日に発表した同月9日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は10万4,136枚に減少した(12月2日現在、11万1,160枚売り越し)。10月28日以降、一貫して売り越し幅の拡大が続いたが、減少に転じた。10日以降も円の買い戻しが先行したとみられ、12日現在、10万枚以下に減少しているとみられる。10、11日の取組高が2日続けて急増するなか、円はしっかりとした値動きだ。投機家が円を新規で買う動きが出ている可能性がある。

 シカゴ・ユーロ市場では今月9日現在、大口投機家の売り越し枚数は13万6,912枚に減少した。(2日現在、15万9,279枚)。3週連続で減少となったが、10日以降、一段と買い戻しが進み、売り越し幅は12万台まで減少予想。今週から来週前半までクリスマス休暇を前に買い戻しが入りやすい環境だ。年末から年明けにECBが量的緩和に踏み切る観測が強まれば再度ユーロ売りの動きが再開とみる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

15日 
   スイス11月生産者・輸入価格
   米12月NY連銀製造業景気指数
   米11月鉱工業生産・設備稼働率
   米10月対米証券投資
16日 
   豪中銀(RBA)理事会議事録
   中国HSBC製造業購買担当景気指数
   英11月消費者物価指数、英11月小売物価指数、英11月生産者物価指数
   独12月ZEW景況感指数
   ユーロ圏10月貿易収支
   カナダ10月製造業出荷
   米11月住宅着工・許可件数
17日 
   NZ第3四半期経常収支
   豪11月ウェストパック先行指数
   日本11月貿易収支
   英金融政策委員会(MPC)議事録、英11月雇用統計
   ユーロ圏11月消費者物価指数
   カナダ10月卸売売上高
   米11月消費者物価指数、米第3四半期経常収支
   米連邦公開市場委員会(FOMC)・政策金利発表
   イエレン議長記者会見
18日 
   NZ第3四半期国内総生産(GDP)
   スイス11月貿易収支
   独12月ifo景況感指数
   英11月小売売上高指数
   米新規失業保険申請件数
   米12月フィラデルフィア連銀景況指数、米11月景気先行指数
19日 
   日銀金融政策決定会合・金融政策発表
   日本10月景気動向指数
   黒田日銀総裁記者会見
   独11月生産者物価指数
   ユーロ圏10月経常収支
   カナダ11月消費者物価指数、カナダ10月小売売上高

2014年12月15日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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