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外為マーケットコラム

米経済指標強気なら1ドル=120円台回復へ

 12月第3週のドル・円は押し目を形成したが、切り返し、堅調に引けた。原油安を嫌気した株安を背景に16日に1ドル=115.50円台に下落し、先月17日以来、約1カ月ぶりの安値をつけた。しかし17日は米連邦準備制度理事会(FRB)が景気刺激策の継続姿勢を示すとの見方や、11月の米消費者物価指数が6年ぶりの大幅低下となったことを好感し、米株式相場が反発し、ニューヨーク時間の午前中に117円台に反発した。午後は米連邦公開市場委員会(FOMC)後にイエレンFRB議長が記者会見で、2015年の利上げ開始を示唆したことで株高、ドル高が加速し、118円台後半まで上昇した。18、19日は日米の金融政策の違いから買い進まれ、119円台半ばまで続伸し、119円台半ばで取引を終えた。

 1週間の値動きが約4円と値動きが荒い展開だったが、結果的にドル買いに分があった。原油価格の暴落で資源大国のロシア経済、金融不安が世界経済に悪影響を与えるとの不安からリスク回避でドル安・株安の流れになったが、FOMCで流れが変わった。13日までの米週間新規失業保険申請件数が事前予想、過去4週の平均を下回り、労働市場の改善が示され、リスクオン(リスク容認)の動きを後押しした。

 今週は欧米市場がクリスマス休暇に入るが、23日に複数の米経済統計の発表がある。米経済統計が強気になれば、120円台を回復する可能性ありとみる。米クリスマス商戦の結果も材料視されそうだ。原油相場の暴落でロシア通貨ルーブルが急落した。ロシア中央銀行が通貨防衛のため、政策金利を10.5%から17.0%に大幅に引き上げたものの、効果は限定的だった。原油相場は19日に反発したものの、ニューヨーク原油はいずれ50ドル割れとなる見方もあり、まだ波乱含みだ。またブラジル・レアルが2005年3月以来の安値に下落した。ロシア、ブラジルの新興消費大国の通貨の下落でドル資産に投資資金が集まりやすい環境だ。

 今週の予想レンジは1ドル=117〜121円。クリスマス休暇中で欧米市場の市場参加者が少ないとはいえ、変動率(ボラティリティ)が高く油断はできない。反落した場合、25日移動平均線(22日の東京時間の午前10時現在)が通る118.60円台を維持できるかに注目したい。

【FOMC後に米早期利上げ観測でドル買い】

 17日に発表された11月の米消費者物価指数は前月比0.3%低下となり、2008年12月以来の大幅な低下となった。原油価格の下落が消費者物価の低下につながり、個人消費にプラスになり、小売業種中心に企業業績にプラスとなるとの見方からニューヨークダウが上昇し、ドル高を後押しした。この日はFOMC後に声明文の発表もあり、政策金利を「相当の期間」にわたりゼロ金利近辺に据え置くとの文言が削除され、利上げについては「辛抱強くなれる」に変更されるなか、労働市場の改善が続く見通しが示された。2015年半ばに利上げとなるとの予想が増え、ドル高に拍車がかかった。

 18日に発表された13日までの週間新規失業保険申請件数は28万9,000件にとどまり、6週間ぶりの低水準となり、事前予想の29万5,000件、過去4週間平均の29万9,500件をそれぞれ下回った。

 ニューヨークダウは急反騰。16日に1万7,067.59ドルまで下落し、10月30日以来の安値をつけた。1万7,000ドル割れとなると、さらに地合いが悪くなったが、17日のFOMC後に急反騰した。18日には1万7,778.40ドルまで続騰し、2日間で約700ドルの急騰となり、年内に今月5日につけた史上最高値1万7,991.19ドルの更新も可能な値位置だ。ニューヨークダウが史上最高値を更新ならば、ドル・円が今月8日につけた高値1ドル=121.84円を更新のシナリオも描かれよう。

【ユーロ・ドルは安値更新、ECBの追加金融緩和観測から】

 ユーロ・ドルは下落。16日まで戻り歩調となったが、17日のFOMCを境に急反落となり、19日に今月8日の安値1ユーロ=1.2245ドルを下抜き、1.2218ドルまで下落し、2012年8月以来の安値を更新した。18日に発表された12月の独Ifo景況感指数が105.5に上昇し、2カ月連続の改善、11月の英小売売上高指数が前月比1.6%上昇となり、事前予想0.4%上昇を大幅に上回るなど、欧州域の経済指標に景気回復の指標もあった。しかし米金利の来年半ばの引き上げ観測が強まる一方、欧州中央銀行(ECB)による1月の追加緩和の可能性が高くなったことから、ドル買い、ユーロ売りの流れが止まらなかった。17日にスイス国立銀行(中央銀行)がマイナス預金金利を導入したため、ECBの追加金融緩和観測が一段と強まることなった。原油安でロシア経済の悪化が強まったこともユーロ売りにつながった。

【大口投機家は17日以降、円・ユーロとも売り再開】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月19日に発表した同月16日現在の建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は8万6,927枚に大幅減となった(12月9日現在、10万4,136枚売り越し)。2週連続で買い戻しが先行したが、17日以降は再度円売りが進んだもよう。5日間移動平均線が1ドル=118.50円台、25日移動平均線が118.60円台に通っており、118円台半ばが支持帯とみる。120円台に円安・ドル高が進むと、円売りが増えると予想する。

 シカゴ・ユーロ市場では今月16日現在、大口投機家の売り越し枚数は12万6,655枚に減少した。(9日現在、13万6,912枚)。4週連続で減少となったが、17日からユーロ売りが増え、13万枚台前半まで増加しているとみられ、18、19日はかなりユーロ売りがあったもよう。以前から1.23ドル割れとなると、2012年7月24日の安値1.2040ドルを目指す展開となると予想していたが、今、その過程にあるとみる。

今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

22日 
   米11月中古住宅販売件数
23日 
   NZ11月貿易収支
   英第3四半期国内総生産(GDP)確報値
   米11月耐久財受注
   米第3四半期国内総生産(GDP)確報値
   米10月住宅価格指数
   米12月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値
   米11月新築住宅販売件数、米11月個人所得・個人支出
24日 
   米新規失業保険申請件数
25日 
   クリスマスで米国と欧州の大半の市場が休場
   日銀議事要旨(11月18・19日分)
26日 
   日本11月雇用統計、日本11月有効求人倍率
   日本11月勤労者世帯家計調査、日本11月消費者物価指数
   日本11月小売業販売額、日本11月鉱工業生産指数

2014年12月22日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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