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外為マーケットコラム

中国GDPやECB理事会に注目、115円前後まで売り込まれる可能性あり

 1月12日の週のドル・円は、リスク回避の動きを継続し、下落基調が続き、16日の東京市場で1ドル=115.80円台まで軟化し、昨年12月16日以来の安値をつけた。昨年12月16日の安値115.55円が支持線となった後、16日に強気の米経済統計の発表を受け、117.70円台に反発し、117.50円台で取引を終えた。原油相場の下落が続き、ロシアなど産油国の景気悪化が世界経済の成長鈍化懸念を招き、リスク回避の動きが強かった。15日にスイス国立銀行(中央銀行)が市場の意表を付く対ユーロでのフラン上限撤廃と政策金利の一段の引き下げを発表したことでユーロは全面安となった。円はドル、ユーロに対しても上昇し、独歩高の展開となった。

 今週は20日に中国2014年第4四半期の国内総生産(GDP)、23日にHSBCから1月の中国製造業購買担当者景況感指数(PMI)速報の発表がある。22日に欧州中央銀行理事会(ECB)の理事会で量的緩和の導入が発表されるかが注目される。また25日にはギリシャの総選挙がある。

 米国は19日がキング牧師記念日で祝日となる。米経済統計の発表は21日に発表される昨年12月の住宅着工・着工許可件数、22日発表の週間新規失業保険申請件数などが注目される。

 円サイドから20、21日に開催される日銀金融政策決定会合、黒田総裁の記者会見で追加金融緩和の含みを持たせる発言があるかに注目したい。日経平均株価が1万6,500円割れとなると、昨年10月31日に日銀が予想外の金融緩和拡大を発表し急騰した日経平均株価の上限を割り込むことなり、投資家心理が弱気となり、欧米の株価にも悪影響を与える可能性があり、注意が必要だ。

 先週は1週間の値動きが約3.5円あり、一段と変動率(ボラティリティ)が高まった。今週はECB理事会、ギリシャ総選挙などのイベントを控えていることで引き続き値動きが荒く3円以上の値動きを継続か。

 今週の予想レンジは1ドル=114円台後半〜119円半ば。115.55円(昨年12月16日の安値)が支持線だが、支持線割れとなると、115円前後まで売り込まれる可能性あり。一方、抵抗線は25日移動平均線が通る119円水準。

【ドル・円は115.80円まで下落後に持ち直すも強気回復できず】

 ドル・円は調整色を濃くした。13日に1ドル=117円台半ばに下落し、テクニカル要因が一段と弱気になった。14日には昨年12月の米小売売上高が前月比−0.9%(総合)となり、事前予想の同−0.1%を大幅に下回り、昨年1月以来の落ち込みを示した。米クリスマス商戦が期待に反し、消費の弱さを示したことでニューヨークダウが1万7,264ドルまで下落し、今月6日の安値に顔合わせした、ドル・円は米株安から116.03円まで下落した。15日は米労働省から発表された1月10日までの週間新規失業保険申請件数が31万6,000件となり、事前予想の29万件を大幅に上回り、昨年9月5日までの週以来の高水準な数字となった。4週間平均の失業保険申請件数は29万8,000件となり、前週の29万1,250件から急増した。株安の流れが止まらず、翌16日の日経平均株価が昨年10月31日以来の安値に沈んだことで16日の東京時間の正午前に115.80円台に下落した。ただし115円台での取引は長続きせず、116円台に反発した。米ミシガン大学発表の1月の消費者信頼感指数速報値が98.2となり、昨年11月の93.6、事前予想の94.1を上回り、2008年12月以来の大幅な伸びとなったことを好感し、117.77円まで上昇した。16日にようやく強気の米経済統計の発表があり、持ち直したが、週足は2週連続の陰線引けで、テクニカル指標から強気感を回復するには至らず。

【ユーロ・ドルは大幅続落、スイスフランの上限撤廃で】

 ユーロ・ドルは大幅続落。14日にわずかながら直近の安値を更新し、チャートが弱気なところに15日にスイス中央銀行が対ユーロでのスイスフラン上限(1ユーロ=1.20スイスフラン)撤廃と政策金利の一段の引き下げを発表したことでユーロは全面安となり、1ユーロ=1.1567ドルまで下落した。16日には1.1500ドルの節目も割り込み、1.1458ドルまで値を崩し、2003年11月以来の安値をつけた。22日のECB理事会での量的緩和導入の観測が強いことに加え、原油価格下落によるロシア経済の悪化が及ぼす悪影響が米国よりユーロ域の方が大きいとみられることも売り材料となり、なお先安感が強い。

 15日にスイスフランは一時、対ユーロで0.8601フランへ急騰し、1999年ユーロ発足以降の最高値を更新。また、対ドルでは2011年8月以来、対円で1979年12月以来の水準へ急騰した。スイスフラン建ての金融資産を持つ投資家やスイス在住者にとっては歓喜の週となった。強いスイスフランでフランス、ドイツ、オーストリアなど近隣国での買い物から不動産投資に至るまでできるが、スイスマネーがどこに向かうが注目される。

【115.50円試すと円の買い戻しが加速か】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が今月16日に発表した今月13日現在の建玉明細によると、シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、9万4,625枚となり、1月6日現在の9万83枚から4,542枚の増加。14日以降、円高、ドル安が進み8万枚台前半まで大幅減少となっているとみる。1ドル=115.50円を試すと、さらに円の買い戻しが進む展開か。118円台半ばに下落すると売りが増加するとみる。

 シカゴユーロ(CME)は1月13日現在、大口投機家の売り越しは16万7,851枚となり、1月6日現在の16万1,040枚から6,811枚の増加となった。14日以降、さらに増加し、18万枚前後まで増加か。売り過剰感はあるが、流れは依然として売り方に有利、修正高の可能性があるが、修正高は売りの好機とみる投資家も多く、投機的な売りに主導され、下値模索の動きもあろう。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

19日 
   スイス12月生産者・輸入価格
   ユーロ圏11月経常収支
20日 
   中国昨年12月小売売上高
   中国昨年12月鉱工業生産指数
   中国2014年第4四半期国内総生産(GDP)
   独12月生産者物価指数
   独1月ZEW景況感指数
   カナダ昨年11月製造業出荷
21日 
   NZ2014年第4四半期消費者物価指数
   日銀金融政策決定会合(20〜21日)・金融政策発表
   日本昨年11月景気動向指数
   英昨年12月雇用統計、英金融政策委員会(MPC)議事録
   カナダ昨年11月卸売売上高
   米昨年12月住宅着工・着工許可件数
   カナダ銀行(BOC)政策金利
22日 
   欧州中央銀行(ECB)政策金利
   米新規失業保険申請件数
   米昨年11月住宅価格指数
23日 
   中国1月HSBC製造業購買担当景気指数
   英昨年12月小売売上高指数
   カナダ昨年12月消費者物価指数、カナダ昨年11月小売売上高
   米昨年12月中古住宅販売件数、米昨年12月景気先行指数

2015年1月19日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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