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外為マーケットコラム

リスク回避の動きが強まれば1ドル=116円前後までドル安・円高の可能性

 1月26日の週のドル・円は、1ドル=117円台前半〜118円台半ばで推移し、117.40円台で引け、前週比小幅安となった。1月19日の週とほぼ同じレンジでの取引となり、2週連続で方向性を欠いた。1月27、28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、28日に声明文が発表となった。米景気は着実に拡大しているとの見解が示され、米早期利上げ観測は一段と強まった。しかしFOMCの声名文表明後、ニューヨークダウはドル高による米企業業績の悪化懸念から地合いを緩め、昨年12月17日以来の安値となる1万7,136.30ドルまで下落した。30日は昨年第4四半期米国内総生産(GDP)が前期比+2.6%にとどまり、事前予想の+3.0%を下回ったことでニューヨークダウが軟調に推移したことがドル売り・円買いにつながり、1ドル=118円台は維持できなかった。

 今週は4日の1月の米ADP雇用統計の発表を皮切りに米労働市場に関する経済統計の発表が続く。雇用情勢の改善が示され、ニューヨークダウが持ち直すかがポイントとみる。ニューヨーク原油相場が1月30日に急反発し、デフレ懸念が後退したが、一時的な反発に終わるかにも注目したい。

 テクニカル要因からは25日移動平均線(1月30日のNYの引け時で118.51円)の手前で上げつかえた格好となり、25日移動平均線を上抜くことができるかがカギ。過去2週間、狭いレンジでのもみあいとなったが、こういう商状は次の相場への移行期間でエネルギー蓄積期間だ。放れた方向に動くことが多く、セオリー通りならば放れについた方に分があろう。

 週明け2日の東京時間の朝方から117円台前半にドル安・円高が進んでいる。1日に中国国家統計局と物流購買連合会が発表した1月の中国製造業購買担当者指数(PMI)が49.8となり、前月の50.1から低下し、同国の景気に対する不透明感を背景にリスク回避の動きが進んでいるもよう。欧米市場でこの流れを引き継ぎ、116円台に下落するかが目先のポイントだ。

 今週の予想レンジは1ドル=116円前後〜119円前後。

【ドル・円は小幅安、米GDP事前予想下回り】

 ドル・円は小幅安。昨年はFOMC後にドル高、円安が進むことが多かったが、今回のFOMC後は比較的平穏だった。昨年第4四半期のGDP以外の経済統計は、1月27日に発表された昨年12月の耐久財受注高(総合)が前月比−3.4%と、予想外に減少し、4カ月ぶりの大幅なマイナスとなった。その一方で同月の新築住宅販売件数は前月比+11.6%の48万1,000件となり、2008年6月以来の高水準となった。また1月の米消費者信頼感指数が102.9となり、2007年8月以来の高水準となり、強弱感が交錯した。同月29日に発表された24日までの週間新規失業保険申請件数が26万5,000件にとどまり、事前予想30万を下回り、2000年4月以来の低水準となった。しかし全米不動産業者協会(NAR)から発表された昨年12月の中古住宅販売仮契約指数は前月比3.7%低下と、1年ぶりの大幅な落ち込みとなり、大型消費に不安がある。

 失業保険申請者件数が大幅に減ったが、1月の米雇用統計で米労働市場の回復が続いていることを示すかが注目される。6日に米労働省から発表される1月の雇用統計の大方の事前予想は失業率が5.6%(前月5.6%)非農業部門雇用者数が前月比23万5000人増(前月25万2000人増)となっている。

【ユーロ・ドルは約11年半ぶりの安値更新後に修正高】

 ユーロ・ドルは1月25日に開催されたギリシャ総選挙で救済条件の見直しを公約に掲げた急進左派連合(SYRIZA)の勝利を受けたギリシャ情勢の先行き不透明感を背景に、同26日に一時2003年9月以来、約11年半ぶりの安値となる1ユーロ=1.1096ドルまで下落した。しかし売られ感が強まるなか、ギリシャのユーロ離脱は阻止されるとの見方が広がり、その日のうちに1.1295ドルまで急反発した。27日も修正高が続き、同月22日以来の高値となる1.1422ドルまで上昇した。28日は、2月の独GFK消費者信頼感指数が9.1となり、事前予想の9.1を上回り、独政府は2015年の経済成長見通しを従来の予想1.3%から1.5%に上方修正した。しかし修正高局面は一巡し、28日から30日にかけては1.1400ドルが抵抗線になり、1.1286ドルで1月の取引を終えた。今週はユーロ域、米国間の景況感の違いが再度、材料視されれば、再度1.1200ドル割れか。

【大口投機家は円買い戻しを先行、116円台に円高進行ならさらに買い戻される】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が先月30日に発表した先月27日現在の建玉明細によると、シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、6万4,658枚となり、1月20日現在の7万7,886枚から1万3,228枚の急減となった。2週連続で大幅減少。円の買い玉は横ばいだが、売り玉が大幅に減少している。昨年秋から年初まで日米の金融政策の違いから、円売り、ドル買いの動きが続いたが変化が出てきた。28日以降も円の下値が堅く、円を買い戻す動きは続き、30日現在、6万2,000枚前後まで売り越し幅は減少しているとみる。1ドル=116円台に下落すると円が買い戻され、118円台後半に上昇すると、円売りが増加との見方に変わりはない。

 シカゴユーロ(CME)は1月27日現在、大口投機家の売り越しは18万4,745枚となり、1月20日現在の18万0,730枚から4,015枚の増加となった。28日以降、戻り一服となっており、修正高終了とみて戻り売りを仕掛ける動きがあり、30日現在、18万7,000枚前後まで増加か。売り材料出尽くしで、自律修正高となったが、月足は1月まで7カ月連続の陰線引けとなり、長期下降トレンドを形成したままだ。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

2日 
   米12月個人所得・支出
   米12月建設支出
   米1月ISM製造業景況指数
3日 
   豪12月貿易収支、豪12月住宅建設許可件数
   豪中銀(RBA)政策金利
   スイス12月貿易収支
   ユーロ圏12月生産者物価指数
   カナダ12月鉱工業製品価格
   米12月製造業受注指数
4日 
   NZ第4四半期雇用統計
   豪1月AiGサービス業指数
   ユーロ圏12月小売売上高指数
   米1月ADP雇用統計
   米1月ISM非製造業景況指数
   カナダ1月Ivey購買部協会指数
5日 
   豪12月小売売上高
   独12月製造業受注指数
   英中銀(BOE)政策金利
   米第4四半期非農業部門労働生産性指数
   カナダ12月貿易収支
   米新規失業保険申請件数
   米12月貿易収支
6日 
   日本12月景気動向指数
   独12月鉱工業生産指数
   スイス12月小売売上高
   英12月貿易収支
   カナダ1月雇用統計
   米1月雇用統計
8日 
   中国1月貿易収支

2015年2月2日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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