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外為マーケットコラム

ドル・円は米早期利上げ観測再燃で1ドル=120.74円目指す可能性あり

 2月最終週のドル・円は、1ドル=119円台後半に上昇し、堅調に推移した。2月24、25日に米連邦公開準備理事会(FRB)のイエレン議長が上院、下院でそれぞれ議会証言を行った。24日のロンドン時間に119.80円台に上昇したが、その日の上院でのイエレン議長の議会証言で「早すぎる利上げは景気回復と雇用を損なう。経済は目に見えて回復したがまだ利上げの段階でない」と発言し、早期利上げ観測が後退し、118円台後半に反落した。しかし26、27日に発表された米経済指標が強気の数字が多かったことで早期利上げ観測が再燃し、119円台に再上昇した。

 120円が抵抗線ながら、2月6日に25日移動平均線を越えてから25日移動平均線を割り込まず、下値堅く推移した。前週の本欄で119.50〜120円のレンジでの売りを吸収できるかがカギとしたが、そのレンジの中段で2月の取引を終えた。週明け2日の東京時間の午前中に119.90円台までドル高・円安が進んでおり、今週前半にでも120円台を試しそうな気配だ。

 3月第1週は米労働市場に関する米経済統計の発表が複数ある。強気の米経済統計が多く、ニューヨークダウの史上最高値の更新が続けば、120円を突破する可能性はあるとみる。120円超えとなった場合、年初来高値の120.74円を目指す展開か。もちあい相場が続いたユーロ・ドルが2月26日に下放れ、1ユーロ=1.1ドル台後半に下落し、1月26日以来の安値をつけた。ユーロ・ドルの動きにも影響されそうだ。また中国が先月28日に銀行の貸し出しと預金金利の引き下げを決定し、3カ月ぶりに追加利下げを実施した。5日から全国人民代表大会(全人代)の開催がある。中国の景気見通しに対し、楽観的な見方が増えれば、リスクオンの動きでドル高・円安が進む一因となろう。

 今週の予想レンジは1ドル=118円台半ば〜120.80円前後。

【ドル・円は堅調、FRB議長の議会証言後に新しいステージへ】

 ドル・円は堅調。イエレンFRB議長の議会証言はインパクトが弱く、ドル・円の次の方向性を示すことはなかった。議会証言を終えた2月26日から次の材料を探すステージへと移った。26日に発表された2月21日までの週間新規失業保険申請件数は31万3,000件となり、事前予想の29万件を上回るとともに4週間平均の失業保険申請件数が29万4,500件と前週の28万3,000件から増加し、4週間ぶりの高水準となった。一方で、2月14日までの週の継続受給者数は前週比2万1,000人減少の240万1,000人と4週間ぶりの低水準となったため、特にドル売りにつながらなかった。米商務省発表の1月の耐久財受注が前月比2.8%増となり、事前予想の同1.6%増を上回った。また米労働省発表の1月の消費者物価指数が前月比0.7%低下となり、事前予想の0.6%低下を下回り、前年同月比では0.1%低下し、2009年10月以降で初めて前年の水準を下回った。物価の下落が続く中、景気回復を示す経済指標が発表され、119.50円水準で堅調に引けた。

 27日は米商務省発表の昨年第4四半期・GDP伸び率改定値が前期比2.2%増加と速報値の2.6%増から下方修正された。その一方、米ミシガン大学発表の2月の消費者信頼感指数改定値は95.4と、速報値93.6から上方修正された。米経済統計は強弱感が交錯したが、早期の米利上げ観測が強く、テクニカル要因から1ドル=119.79円に上昇した。

【ユーロ・ドルは軟調、もちあい相場から下放れる】

 ユーロ・ドルは軟調。2月23日はドイツのIfo経済研究所から発表された2月の独企業景況感指数が106.8と4カ月連続で改善したものの、事前予想(107.7)を下回ったことが嫌気され、朝方に1ユーロ=1.1292ドルまで下落した。しかし同月20日の安値1.1277ドルを割り込むことなく、下値は堅く推移した。24、25日は米FRBイエレン議長の議会証言を見極めたいムードが強く、1.1300ドル台前半中心にもみあいとなった。

 26日は2月のユーロ圏景況感指数が102.1(事前予想)となり、昨年7月以来の高水準となったものの、25日の高値1.1390ドルを上抜くまでには至らずに下げに転じた。ニューヨーク市場の取引開始後、米セントルイス連銀のブラード総裁が、「欧州中央銀行(ECB)の量的緩和でユーロは弱くなる公算が大きい」と発言したことや、米経済指標の改善などに圧迫され、支持線の1.1277ドル(2月20日の安値)割れでテクニカル要因からユーロ売りの動きが強まった。1.1184ドルまで下げ足を速め、1月26日に付けた安値1ユーロ=1.1098ドル以来の水準まで値を沈めた。約半月続いた、もちあい相場から下放れる格好となり、ユーロ売り、ドル買いが有利とみる。欧米の金融政策の違いからドル高、ユーロ安が進みやすい環境に変わりはない。5日に欧州中央銀行(ECB)理事会、政策金利の発表、ドラギ総裁から記者会見がある。

【大口投機家は1ドル=119円台後半で円売り優勢】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が2月27日に発表した同月24日現在の建玉明細によると、シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、4万7,512枚となり、今月17日現在の4万9,091枚から1,579枚減少した。売り越し幅の減少傾向を継続した。ただし25日以降は円売り優勢となり、27日現在、5万5,000枚程度の売り越しか。119円台後半から120円前後では円売りの動きが強いとみる。

 シカゴユーロ(CME)は2月24日現在、大口投機家の売り越しは17万7,736枚となり、17日現在の18万5,582枚から7,846枚減少となった。3週間連続で減少。もちあい相場が続き、玉整理中心の動きとなり、売り建て、買い建て枚数とも減少した。26日に下放れとなり、売りの動きが強まったとみる。調整が一巡し、売り人気再燃の可能性あり。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

2日 
   ユーロ圏1月雇用統計、ユーロ圏2月消費者物価指数
   カナダ第4四半期経常収支
   米1月個人所得・支出
   米2月ISM製造業景況指数、米1月建設支出
3日 
   豪第4四半期経常収支、豪1月住宅建設許可件数
   豪中銀(RBA)政策金利
   スイス第4四半期国内総生産(GDP)
   ユーロ圏1月生産者物価指数
   カナダ第4四半期国内総生産(GDP)、カナダ1月鉱工業製品価格
4日 
   豪2月AiGサービス業指数
   豪第4四半期国内総生産(GDP)
   ユーロ圏1月小売売上高指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   米2月ADP雇用統計
   カナダ銀行(BOC)政策金利
   米2月ISM非製造業景況指数
   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
5日 
   豪1月小売売上高、豪1月貿易収支
   独1月製造業受注指数
   英中銀(BOE)政策金利
   欧州中央銀行(ECB)政策金利
   米新規失業保険申請件数、米第4四半期非農業部門労働生産性指数
   米1月製造業受注指数
   カナダ2月Ivey購買部協会指数
6日 
   日本1月景気動向指数速報値
   独1月鉱工業生産指数
   スイス2月消費者物価指数
   ユーロ圏第4四半期域内総生産(GDP)改定値
   カナダ1月貿易収支
   米2月雇用統計、米1月貿易収支

2015年3月2日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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