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外為マーケットコラム

ドル・円は1ドル=121.84円を目指す流れに

 3月第1週のドル・円は2日に1ドル=120円台に上昇したが、3、4日は120円を挟んでもみあった。5日は欧州中央銀行(ECB)理事会が開催され、政策金利は据え置きとなったが、ドラギ総裁が理事会後に国債購入を3月9日に開始、必要なら2016年9月以降も量的緩和を継続する意向を示したことでユーロ、米国間の金融政策の違いが再認識され、一段とドル高が進みやすい環境となった。6日は米労働省発表の2月の米雇用統計が強気の数字となり、米早期利上げ観測が強まったため、1ドル=121.20円台に上伸し、昨年12月8日以来の高値をつけた。ドルは対ユーロでも上昇し、全面高の展開となった。ドル・円はチャートからは昨年12月8日の高値121.84円を目指す流れだ。

 今週は12日に発表される2月の米小売売上高がカギを握ろう。大方の事前予想は前月比0.4%の増加。米労働市場の環境が示されたが、強気の労働市場が米国の個人消費につながるかが注目される。6日に大幅安となったニューヨークダウが持ち直すかにも注目したい。ニューヨークダウが大幅続落となった場合、リスク回避の動きが強まり、ドル・円は120円割れまで反落の可能性はある。

 10日に2月の中国の生産者、消費者物価指数、11日には同月の小売売上高、鉱工業生産高の発表がある。これらの数字の発表を受け、中国の景気に関して悲観的な見方が強まった場合もリスク回避要因となる。

 9日の日本時間の午前中に日本の2014年第4四半期実質国内総生産(GDP)成長率2次速報が発表され、前期比+0.4%、前期比年率+1.5%となった。速報値の前期比+0.6%、前期比年率+2.2%から、それぞれ下方修正された。欧米市場でリスク回避要因と判断され、ドル安・円高になるかにも注目したい。

 今週の予想レンジは1ドル=119円台半ば〜122円。

【ドル・円は米雇用統計が強気で上放れる】

 ドル・円は堅調。約半月続いた、もちあい相場から上放れた。2日の東京時間から1ドル=119円後半に上昇し、120円台を試す材料待ちの展開となった。2日に発表された2月の米ISM製造業景況指数は52.9となり、事前予想の53.0を下回り、2014年1月以来の低水準となった。しかし1月の実質ベース(インフレ調整後)の米個人支出が前月比0.3%増と前月の0.1%減から改善したことを受け、ニューヨークダウが大幅高となり、史上最高値1万8,288.63ドルまで上昇したことを好感し、120円台前半に上昇し、120.10円台で引けた。しかし3日は日本政府が日銀による追加緩和を望んでいないのではとの見方が上値圧迫要因となり、早くも修正安となり、119.30円台まで下落した。

 4日から米労働市場に関する米雇用関連指標の発表が続いた。4日は2月の米ADP雇用統計が発表され、就業者数は前月比21万2,000人増にとどまり、事前予想の同21万9,000人増を下回った。事前予想を下回ったことで、ニューヨークダウが100ドル以上の下落となり、ドルは買い進むことはできず、119.70円台で頭打ちとなり、120円台を試せず。

 5日はECB理事会が開催され、ユーロ圏の2015年域内総生産(GDP)成長率見通しは1.5%となり、従来予想1%から引き上げられた。米労働省発表の2月28日までの週間新規失業保険申請件数は32万件で事前予想の29万5,000件を大幅に上回った。この数字からすると、ドル安が進みやすい環境だが、日本の30年国債入札に波乱がなかったことや、ニューヨークダウがしっかりと推移したことでドル・円は120.40円台に上昇し、直近の高値を更新し、6日の米雇用統計待ちとなった。

 6日は2月の米雇用統計が発表され、失業率は5.5%となり、1月の5.7%から低下した。非農業部門の雇用者数は29万5,000人増となり、大方の事前予想の23万5,000人増を大幅に上回った。失業率が2008年5月以来の低水準となったことで米早期利上げ観測が強まり、ドル高が進み、ドル・円は120.50円の抵抗線、先週の本欄で高値目標としていた120.74円も突破し、121.28円まで上伸した。しかしニューヨークダウが300ドル近い下げとなったことを嫌気し、高値を離れ、120.70円台に反落して引けた。

 セオリーからすると、金利の先高感が強まると、企業業績が伸び悩む懸念が強まり、株安となる。しかし、ここ数ヶ月のニューヨークダウは金余り、原油安により個人消費、企業業績が恩恵を受けるとの期待で堅調な展開となっていた。6日はその反動が出た格好となり、ドル高に逆行安となった。

【ユーロ・ドルはECB総裁が量的緩和の長期化示唆で11年半ぶりの安値】

 ユーロ・ドルは続落。先月26日に下放れた後、今月2、3日は小幅続落で推移し、4日は2月のユーロ圏総合購買担当者数(PMI)改定値が下方修正されたことや、ユーロ、米国の金融政策の違いから1ユーロ=1.100ドル割れとなった。5日はECB理事会、ドラギ総裁の記者会見に一段安になり、6日は1.0842ドルまで値を崩し2003年9月3日以来、約11年半ぶりの安値水準まで下落した。

 6日に発表された1月の独鉱工業生産指数が事前予想を上回り、前月比0.6%上昇、事前予想の0.5%上昇を上回り、5カ月連続で増加したものの、ユーロ、米国の金融政策の違いから金利差拡大との見方からユーロ安、ドル高の流れは止まらないまま、6日の取引を終えた。

【大口投機家は1ドル=120円前後で円の売り場探しか】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が3月6日に発表した同月3日現在の建玉明細によると、シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、5万2,521枚となり、2月24日現在の4万7,512枚から5,009枚増加した。売り越し幅の減少から増加に転じたが、4日以降はさらに円売りが増加したもよう。前週の本欄で119円台後半から120円前後では円売りの動きが強いとみるとの見解だったが、4日以降は円売りが増え、売り越し幅は6日現在、6万枚以上まで増加しているもよう。円が自律修正高となっても本格反騰はないとみて、1ドル=120円前後では円の売り場探しか。

 シカゴユーロ(CME)は3月3日現在、大口投機家の売り越しは17万2,389枚となり、2月24日現在の17万7,736枚から5,347枚減少となった。4週間連続で減少。ただし4日以降はユーロ売りが進んだとみられる。米国とユーロの金融政策の違いからドル高・ユーロ安傾向は続くとみる。修正高はあるが、流れは2003年9月の安値 1ユーロ=1.0760ドルを目指す流れにある。

今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

9日 
   独1月貿易収支、独1月経常収支
10日 
   中国2月消費者物価指数、中国2月生産者物価指数
   スイス2月雇用統計
11日 
   日本1月機械受注高
   豪1月住宅ローン許可件数
   中国2月小売売上高、中国2月鉱工業生産指数
   英1月鉱工業生産指数、英1月製造業生産指数
   米2月財政収支
12日 
   NZ準備銀行(RBNZ)政策金利
   豪2月雇用統計
   独2月消費者物価指数
   英1月貿易収支
   ユーロ圏1月鉱工業生産指数
   米2月小売売上高、米2月輸入価格指数、米新規失業保険申請件数
13日 
   日本1月鉱工業生産指数
   カナダ2月雇用統計
   米2月生産者物価指数
   米3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値

2015年3月9日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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