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外為マーケットコラム

ドルの戻りは限定的、ドル高ムードに変化

 3月第4週のドル・円は軟調。26日に1ドル=118円台前半まで下落し、2月20日以来の安値をつけた。118円台は買い拾われたが、反発力は限られ、119円台前半で引けた。サウジアラビアなどによるイエメンへの軍事介入による地政学リスクの高まり、3月の米耐久財受注の低下、2014年第4四半期の米国内総生産(GDP)確定値の伸び悩みで米景気の回復力持続に不透明感が強まっていることから、これまでのドル高ムードに変化が感じられる。

 今週は米国、中国の経済統計の発表が多い。原油相場の不安定な状態は続いており、原油価格の下落が続けば、資源株の下落に繋がり、為替市場でもリスク回避の動きからドル安の動きが強まる可能性がある。4月3日はグッドフライデー(聖金曜日=キリスト教の復活祭の前の金曜日)で欧米各国のほとんどが祝日となる。米国では株式、商品先物市場は休場となるが、公的機関は通常通りで米労働省からの3月の米雇用統計の発表はある。4月1日に発表される同月の米ADP雇用統計、2日に発表される米週間新規失業保険申請件数とともに、弱気の数字となれば、さらにドル安の流れが加速する可能性がある。先週の当欄で4月第1週に発表される米労働市場に関する経済統計が強気となれば、4月上旬に121円第後半から122円台に上昇する可能性ありとの見解を示したが、その見解に修正が必要だ。120円の節目、今月20日の高値121.20円が抵抗線として意識され、ドルの戻りは限定的とみる。

 今週の予想レンジは1ドル=117円台後半〜121円台前半。

【ドル・円は軟調、チャートは円高に傾きやすい】

 ドル・円は軟調。25日に発表された2月の米耐久財受注は大方の事前予想の前月比0.2%増(総合)に反して、同1.4%減となった。それを受け、ニューヨークダウが300ドル近い急落となり、ドル・円は1ドル=119.24円まで下落し、押し目底を模索した。

 26日は東京時間の午後から118円台を試し、ドル安・円高ムードが強まった。この日発表された21日までの米週間新規失業保険申請件数が28万2,000件となり、事前予想の29万件を下回ったことが下支え要因となり、119.20円で引けた。

 27日は米商務省から昨年第4四半期・GDP伸び率確定値が発表され、前期比2.2%増加となり、改定値と変わらず。昨年第3四半期は5.0%増。事前予想では2.4%増で上方修正されるとの見方が多かったことから失望売りで軟調に推移したが、118.90円台では買い拾われ、119.10円台で引けた。3日連続の陰線引け。25日移動平均線(27日の終値で120.13円)を終値で割り込み、20日以降は14日間の相対力指数(RSI)が強気と弱気の分岐点の50割れの状態が続き、複数のテクニカル指標は弱気を示唆している。つまり円高に傾きやすいチャートである。

【ユーロ・ドルは続伸、ユーロ域の景気悲観見通し後退で】

 ユーロ・ドルは続伸。24日は一時1ユーロ=1.10ドルの節目を突破したが、18日の高値1.1023ドル手前で頭打ちとなり下落。しかし26日は中東情勢の緊張から1.1052ドルまで上昇し、5日以来の高値をつけた。27日は1.0799ドルまで反落し、23日以来の安値をつけたが、押し目買い意欲は強く、1.0890ドルで、3月第4週の取引を終えた。

 25日に発表された独Ifo経済研究所発表の3月の独企業景況感指数が107.9となり、事前予想の107.3を上回り、5カ月連続して上昇した。また26日にスペイン中銀が2015年の経済成長率見通しを2.8%に上方修正、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がユーロ圏の短期的な経済見通しは改善したと発言するなど、ユーロ域の経済見通しの悲観的ムードは後退しつつある。終値で1.10ドル台を維持すると、2月27日から3月3日までのもみあいレンジの上限である1.1240ドルを目指す展開か。

 一時ほど米国とユーロ域の景気回復力の差は感じられなくなっている。金融緩和方針のユーロ圏に対し、米国は金融引き締め政策をとるとみられ、ドルが買われやすい環境に変わりないが、ニューヨークダウが1万7,500ドル割れとなると、ユーロ買い、ドル売りの流れが続こう。

【大口投機家の円売り越しは2週連続で縮小】

 米商品先物取引委員会(CFTC)が3月27日に発表した同月24日現在の建玉明細によると、シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、4万5,905枚となり、3月17日現在の4万8,054枚から2,149枚の減少となった。2週連続の減少。25日以降、ドル安、円高が進み、さらに円の買い戻しが進んだもよう。119円台前半から119円の節目の水準で円の買い戻しが進んだことで、118円台後半まで円高・ドル安が進んだ要因となったもよう。まだ円の売り越し状態が続いているが、引き続き119円水準では円の買い戻しが継続され、118円台をつける可能性あり。118.30円まで下落なら、さらに円の買い戻しが加速し、117円台後半を試す展開もありえよう。

 シカゴユーロ(CME)は3月24日現在、大口投機家の売り越しは22万963枚となり、3月17日現在の19万3,774枚から2万7,189枚の急増。25日以降はユーロの買い戻しが先行したものの、21万枚以上の売り越しが続いているとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

30日  
    スイス3月KOFスイス先行指数
    独3月消費者物価指数速報値
    米2月個人所得・支出
    カナダ2月鉱工業製品価格
    米2月中古住宅販売仮契約
31日  
    独3月雇用統計
    英第4四半期国内総生産(GDP)確報値
    ユーロ圏2月雇用統計、ユーロ圏3月消費者物価指数速報値
    米1月S&Pケースシラー住宅価格指数
    米3月シカゴ購買部協会景気指数
    米3月消費者信頼感指数
4月1日
    日銀短観(3月調査)
     豪2月住宅建設許可件数
    中国3月製造業購買担当景気指数
    中国3月HSBC製造業購買担当景気指数
    米3月ADP雇用統計
    米2月建設支出
    米3月ISM製造業景況指数
2日  
    豪2月貿易収支
    カナダ2月貿易収支
    米新規失業保険申請件数
    米2月貿易収支
    米2月製造業受注指数
3日  
    米3月雇用統計

2015年3月30日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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