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外為マーケットコラム

ドル・円は軟調、弱気の米経済指標の発表が続くと118円割れの可能性あり

 4月13日からの週のドル・円は軟調。13日に1ドル=120.84円まで上昇し、3月20日以来の高値をつけたが、14日に発表された3月の米小売り売上高が事前予想より弱気となったことから119円台前半に急落。15日以降も弱気の米経済統計の発表が多かったことで早期の米利上げ観測が後退した。早期利上げ観測後退に加え、ギリシャ債務問題、ニューヨークダウが軟調に推移したことでリスク回避の動きが強まり、ドルは対円、対ユーロともに下落した。ドル・円はテクニカルからは3月26日の安値1ドル=118.30ドルが支持線だが、10日から17日まで6日連続の陰線引け。25日移動平均線が通る119.80円を割り込み、14日間の相対力指数(RSI)は41に低下し、複数のテクニカル指標が弱気に転換を示した。

 今週は1ドル=118.30円が支持線として意識されるが、弱気の米経済統計が発表されると、118.30円、118円の節目を割り込む可能性ありとみる。注目は23日に発表される米週間新規失業保険申請件数、3月の米新築住宅販売件数、24日発表の3月の米耐久財受注高などが挙げられる。米経済統計以外には21日に発表される4月の独ZEW景況感指数、24日に発表される4月の独ifo景況感指数に注目したい。中国経済の動向に神経質になっており、23日にHSBCから発表される4月の中国製造業購買担当景気指数(PMI)速報も注意要因だ。19日に中国人民銀行(中央銀行)が全銀行を対象に預金準備率を1%引き下げると発表した。同国を含む株式市場が堅調に推移すれば、リスクオンの動きからドル買いにつながるとみる。

 今週の予想レンジは1ドル=117円台後半〜120.50円前後。支持線は3月27日の安値118.30円、118円、抵抗線は120円と今月13日の高値120.84円。

【ドル・円は下落、3月の米小売り売上高が予想下回ったことから急落】

 ドル・円は下落。9日に米週間新規失業保険申請件数が事前予想28万3,000件を下回る28万1,000件となり、4週間平均が2000年6月以来の低水準となったことでドル高ムードが強まり、ドル・円は1ドル=120.70円台に上昇し、3月20日以来の高値をつけた。しかし13日に内閣官房参与の浜田宏一・米エール大学名誉教授が「1ドル=105円ぐらいが妥当」と発言したことをきっかけに119.70円台に急落となり、ドル高・円安ムードに水が差された。14日に米商務省から発表された3月の小売り売上高が前月比0.9%増にとどまり、事前予想1.1%増を下回ったことからドル売りがさらに進んだ。14日のドル・円は1ドル=119.04円まで急落し、長大陰線を引く下げとなり、ドル高からドル安への基調転換日となった。

 15日も弱気の米経済統計の発表が続いた。4月のニューヨーク連銀製造業景気指数は事前の+7.03の予想に反し、−1.19に低下。また3月の米鉱工業生産指数も前月比−0.6%となり、事前予想の同−0.4%を下回り、2012年8月以来の大幅な落ち込みとなったことを嫌気し、118.70円台まで下落。

 16日は米商務省発表の3月の住宅着工件数が前月比2.0%増の92万6,000件にとどまり、事前予想の104万件を大幅に下回った。17日は米ミシガン大発表の4月の消費者信頼感指数速報値が95.9で事前予想は94.0を上回ったが、米民間調査機関のコンファレンスボードから発表された3月の景気先行指数が前月比0.2%上昇にとどまり、事前予想0.3%上昇を下回り、米景気の不安は払拭できず。

 ニューヨークダウは、弱気の米経済統計が相次いだことや、中国当局が株式取得のためのシャドーバンキング利用を取り締まり、機関投資家に空売りのための貸株を認めたことによる中国株式先物の下落や、ギリシャの債務問題の不透明さから17日に急落となり、今月6日以来の安値となる1万7,748.53ドルまで下落。17日の下げで25日移動平均線(1万7,916ドル)割れとなり、ドルに続き、弱気転換を示した。20日以降、軟調な展開が続くとドル売り要因となる。

【ユーロ・ドルは急反発、ギリシャ債務不履行の不安が上値圧迫要因か】

 ユーロ・ドルは急反発。13日は欧米当局の金融政策の方向性の違いや先安観の強まり、中国の3月の貿易統計で輸出が予想外の減少などを背景にした動きに押され、欧州市場で1ユーロ=1.0520ドルまで軟化し、3月16日の安値(1.0459ドル)以来の水準に下落した。しかし14日は3月の米小売り売上高が事前予想より弱気の数字となったことから1.0707ドルまで反発。国際通貨基金(IMF)が今年のユーロ圏成長率予想を従来の1.2%から1.5%に上方修正したこともユーロ買いにつながった。15日は14日のレンジ内ながらしっかりと推移した。

 16日は序盤から中盤にかけては、上げ一服となっていたが、米経済回復基調に懐疑的な見方がドル圧迫要因となり、終盤に入ると朝方の高値や1.0800ドルの節目突破などでテクニカルな動きも強まることとなり、1.0817ドルと今月8日の高値(1.0888ドル)以来の水準へと大きく値を伸ばした。

 17日も早期の米利上げ観測の後退で1.0848ドルまで続伸し、今月8日以来の高値を連日つけ、V字形の急反発となった。3月の英失業率が2.3%に低下し、1975年以来の低水準となるなど欧州経済に明るさはあるが、ギリシャ債務問題の不透明感が足かせになる可能性がある。

 米格付け会社は15日にギリシャ国債の格付けをトリプルCプラスに一段階、引き下げた。債務不履行の懸念が再燃している。24日にラトビアで開くユーロ圏財務相会合で今月末に交渉期限を迎えるギリシャへの融資決定することを疑問視している。交渉決裂となれば、債務不履行懸念やEU離脱懸念が強まろう。EUとギリシャは本来2月末で終わる予定だったEUの資金支援を6月末まで延長することで債務不履行をかろうじて回避した。実際の融資実行はギリシャの財政改革が条件だったが、現状は財政改革が進行していない。

【投機家の円の買い戻し進むと117円台後半の円高・ドル安の可能性】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は4月17日に14日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、2万3,070枚となり、4月7日現在の2万4,449枚から1,379枚の減少となった。15日以降も減少となり、2万1,000枚前後まで減少か。118.30円、118円の節目を試すと投機家の円の買い戻しが進み、117円台後半まで円高・ドル安の進行の可能性があるとみる。

 シカゴユーロ(CME)市場は4月14日現在、大口投機家の売り越し幅は21万2,347枚となり、4月7日現在の21万5,258枚から2,911枚の減少。15日以降も買い戻しが先行したもよう。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

20日 
   独3月生産者物価指数
21日 
   豪中銀(RBA)理事会議事録
   日本2月景気動向指数
   独4月ZEW景況感指数
   カナダ2月卸売売上高
22日 
   日本3月貿易収支
   豪第1四半期消費者物価指数
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   米MBA住宅ローン申請件数
   米2月住宅価格指数
   米3月中古住宅販売件数
23日 
   中国4月HSBC製造業購買担当景気指数
   スイス3月貿易収支
   英3月小売売上高指数
   米新規失業保険申請件数
   米3月新築住宅販売件数
24日 
   独4月ifo景況感指数
   米3月耐久財受注

2015年4月20日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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