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外為マーケットコラム

FOMC議事録公表に9月利上げ観測後退なら118円台半ばへドル安か

 5月11日からのドル・円は1ドル=118円台後半から120円台前半でもみあい。13日に発表された4月の米小売売上高が弱気の数字となり、一時118円台を試した。しかし14日に発表された米週間新規失業保険申請件数が事前予想に反して減少し、4週平均は2000年4月以来の水準に一段と落ち込み、米労働市場の改善が続いていることから15日の欧州市場で119円台後半に上昇した。ニューヨーク市場では4月の米鉱工業生産指数が事前予想に反して5カ月連続で低下したことや、5月の米ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)が事前予想を下回り、昨年10月以来の水準へ落ち込んだことから119円台前半に軟化した。

 依然としてレンジ取引で方向性がない。弱気の米経済指標の発表が多いが、ニューヨークダウが好調な企業業績から堅調に推移し、3月2日につけた史上最高値1万8,288.63ドルにほぼ顔合わせしたことがドルの支援材料。

 今週は20日に先月28、29日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される。公表後に9月の米利上げがないのではとの観測が強まると、1ドル=118円台半ばまでドル安・円高が進む可能性がある。また19、21日に複数の欧米の経済指標の発表があり、注意したい。ニューヨークダウが史上最高値を更新するとドルの支援材料になる。

 円サイドからは20日に発表される国内2015年第1四半期国内総生産(GDP)1次速報が注目される。21〜22日に日銀金融政策決定会合が開催されるが、金融政策は現状維持となる公算が高い。

 今週の予想レンジは先週と同じく1ドル=117円台後半〜121円台前半。支持線は3月26日の安値118.30円、118円。抵抗線は4月13日の高値120.84円、121.00円、121.40円。

【米経済指標弱気の数字多いが、ドル・円は118円台後半の取引は長続きせず】

 ドル・円はもみあい。11、12日とも1ドル=120円台前半を試したが、抵抗線120.84円を目指す動きなはならず、13日に発表される4月の米小売売上高の発表待ちとなった。

 4月の米小売売上高は総合が前月比変わらずとなり、自動車を除く小売売上高は前月比0.1%増となり、大方の事前予想0.2%増を下回った。それを受け、ドルは主要通貨で売られ、対円で119.04円まで下落し、119.10円台で引けた。

 14日は欧州市場で118.80円台に下落したが、米週間新規失業保険申請件数が強気の数字となったことに支援され、119.10円台で引けた。

 15日は4月の鉱工業生産指数が前月比0.3%低下となり、大方の事前予想の変わらずを下回った。また設備稼働率も78.2%で事前予想の78.3%を下回った。米ミシガン大学発表の5月の消費者信頼感指数速報値は88.6となり、事前予想は95.9を大幅に下回る弱気の数字であった。これら弱気の米経済指標がドルの売り圧力は強かったが、この日は118円台に下落することはなかった。

 ドル・円は引き続き、レンジ相場から抜け出していないが、ドルは対ユーロでは約3カ月半ぶりの安値をつけており、ドル安ムードの側面もある。日本の主要輸出企業の年内のドル・円の想定レートは115円水準に集中しているとのこと。年後半に120円台から緩やかに円安・ドル高が進むシナリオを描く国内輸出企業は少なく、国内輸出企業が118〜120円水準でドル売り予約をする動きは強いとみられる。

【ユーロ・ドルは続伸、ユーロの買い戻し進む】

 ユーロ・ドルは続伸。15日に1ユーロ=1.1466ドルまで上昇し、2月6日の高値1.1485ドルに接近し、約3カ月半ぶりの高値を更新。米景気指標が弱気の数字が多く、投機家のユーロ買い戻しが継続し、14、15日と2日連続で直近の高値を更新。13日に発表された1−3月期のユーロ域内国内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増となり、昨年10−12月期の同0.3%増から上昇した。1−3月期の独GDP速報値は前期比0.3%増となり、事前予想の同0.5%増を下回ったが、ユーロ圏全体の景気回復に対し、米景気指標が事前予想を下回る数字が多かったことでユーロ買い、ドル売りが進んだ。ギリシャの支援協議が難航しているが、市場の注目要因が米景気指標に傾いており、さほど弱気材料視されず。

【1ドル=119円台後半から投機家の円売り圧力=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は5月15日に5月12日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、2万3,593枚となり、5月5日 現在の3万1,183枚売り越しから7,590枚の減少となった。13日は円の買い戻しが進んだとみられるが、14、15日は円売りが進んだもよう。119円台後半から120円台前半では投機家からの円売り圧力が強い展開か。

 シカゴユーロ(CME)市場は5月12日現在、大口投機家の売り越し幅は17万8,976枚となり、5月5日現在の19万127枚から1万1,151枚の減少。買い戻しが先行し、売り玉は22万2,309枚となり、4週連続で減少。投機家の買い戻し主導のユーロ高、ドル安局面だ。1ユーロ=1.1500ドルの節目を突破すると、さらにユーロの買い戻しが進むとみる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

18日 
   スイス3月小売売上高
19日 
   NZ第1四半期生産者物価指数
   豪中銀(RBA)理事会議事録
   英4月消費者物価指数、英4月小売物価指数、英4月生産者物価指数
   ユーロ圏3月貿易収支
   独5月ZEW景況感指数
   ユーロ圏4月消費者物価指数
   米4月住宅着工件数・建設許可件数
20日 
   日本第1四半期国内総生産(GDP)1次速報
   日本3月景気動向指数
   独4月生産者物価指数
   英金融政策委員会(MPC)議事録
   米MBA住宅ローン申請件数
   カナダ3月卸売売上高
   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録
21日 
   中国HSBC製造業購買担当景気指数
   ユーロ圏3月経常収支
   米新規失業保険申請件数
   米5月フィラデルフィア連銀景況指数、米4月中古住宅販売件数
   米4月景気先行指数
22日 
   日銀金融政策決定会合・金融政策発表
   独第1四半期国内総生産(GDP)改定値
   独5月ifo景況感指数
   米4月消費者物価指数
   カナダ4月消費者物価指数、カナダ3月小売売上高

2015年5月18日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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