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外為マーケットコラム

ドル・円は強気の米経済指標が続くと126円台から127円意識も

 6月第1週目のドル・円は上伸。米労働市場に関する経済指標が強気となり、堅調に推移し、5日に米労働省発表の5月の雇用統計で非農業部門の就業者数が事前予想を大幅に上回ったことを好感し、2002年6月以来、13年ぶりの高値となる1ドル=125.85円まで上昇し、125.50円台で引けた。好調な米経済指標からの米利上げ観測が買い材料で新鮮味に欠けるが、ドルは全面高の展開。ただしニューヨークダウは5日に金利の上昇懸念を嫌気し、1万7,822.90ドルまで下落し、5月7日以来の安値をつけた。ニューヨークダウは3月26日の安値1万7,579.27ドルが支持線。ニューヨークダウが支持線を割り込む下げとなると、ドルの利食い売り材料となり、修正安局面を迎えるとみる。

 今週も11日に発表される5月の米小売売上高などの米経済統計の数字に左右される展開が続くとみられる。米雇用統計に続き、さらに強気の米経済指標の発表が続くと126円台、さらに127円の節目を意識する展開か。ただニューヨークダウが軟調な展開となっていることには注意したい。

 今週の予想レンジは1ドル=124円台半ば〜127円台前半。支持線は5日の安値124.32円、124円の節目、抵抗線は126円、127円の節目。ドルの上伸力に勢いがついており、抵抗線を高めに設定した。

【ドル・円は大幅続伸、米労働省発表の雇用統計強気で一気にドル高へ】

 ドル・円は大幅続伸。2日の東京市場で1ドル=125円を試したが、125円台での取引は短時間で終わり、同日の欧米市場では125円台をつけることなく、123.70円に反落。4月の米製造業受注高が前月比−0.4%となり、事前予想の同−0.1%を下回ったことがドル売り材料となった。ただし終値では124円台を維持し、ドル買い意欲の根強さが感じられた。

 3日に発表された5月の米ADP統計は民間雇用者数が前月比20万1,000人増となり、大方の事前予想の同20万人増を上回った。発表直後には買い材料視され、ドル・円は124.68円まで上昇した。しかし米供給管理協会(ISM)から発表された5月の非製造業景況指数が55.7となり、前月の57.8、事前予想の57.0を下回ったことを嫌気し、早々に124円水準まで軟化した。年内の米利上げ観測からドルしっかり商状は変わらず、124.20円台で引けた。

 この日は地区連銀報告の発表があった。それによると、米景気は4月下旬から5月上旬に全般的に拡大、物価は安定もしくはやや上昇、賃金はやや拡大、雇用水準はやや上昇、製造業は大部分で横ばい、あるいは拡大との報告であった。

 4日は124.60円台で上値が抑えられたが、しっかり。5月30日までの米週間新規失業保険申請件数が27万6,000件となり、大方の事前予想の27万8,000件を下回った。4週間平均の失業保険申請件数は27万4,750件と前週の27万2,000件から増加したものの、5月23日までの週の継続受給者数は前週比3万人減の222万人となり、5日に米労働省発表の5月の米雇用統計が強気の数字となる期待を持たせた。

 5日は米労働省発表の5月の雇用統計が強気の数字となり、一気にドル買い意欲が強まった。米労働省発表の5月の米雇用統計は失業率が事前予想の前月比変わらずの5.4%を上回り、5.5%に上昇。しかし非農業部門雇用者数は前月比28万人増となり、事前予想の同22万6,000人増を大幅に上回り、昨年12月以来の高水準となり、雇用拡大ペースが加速したことが示された。また、平均時給も事前予想を上回り、前年同月比では2013年8月以来の大幅な伸びとなった。それを受け、今月16−17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性は低いものの、早ければ9月にも利上げに踏み切る可能性が高まることとなり、序盤に125.86円と2002年6月13日の高値(125.93円)以来の水準へ上昇し、高値圏でもみあい125.50円台で引けた。

【ユーロ・ドルは約3週間ぶり高値つけるも米雇用統計が強気で反落】

 ユーロ・ドルは4日に5月18日以来、約3週間ぶりの高値となる1ユーロ=1.1380ドルまで上昇したが、米週間新規失業保険申請件数の改善などもあり、その日のうちに高値から離れ、終盤に1.1223ドルまで軟化し、1.1230ドル台で引けた。

 5日は大幅安。ギリシャのチプラス首相は4日夜の電話会談で債権者の求める緊縮策を拒否し、5日に期限を迎えた国際通貨基金(IMF)への3億ユーロの支払いを先送りしたことを受け、同国のデフォルト(債務不履行)やユーロ離脱リスクが高まった。このニュースには強く反応しなかったが、5月の米雇用統計を受けたドル買い戻しの動きが強まり、序盤に1ユーロ=1.1050ドルまで急落した。安値を離れたが、1.1110ドル台で引け、長めの陰線引けとなった。

【2週連続で投機家は大幅に円売り越し=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は6月5日に6月2日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、8万5,693枚となり、5月26日 現在の6万2,224枚売り越しから2万3,469枚の増加。2週連続で大幅に円売りが進行。3日以降も円売りは進んでいるとみられる。急速な円安、ドル高に対する警戒感から円の買い戻しによる修正局面はあるが、125円〜124円台後半への押し目があれば、円の戻り売りが待ち受ける展開か。

 シカゴユーロ(CME)市場は6月2日現在、大口投機家の売り越し幅は16万5,512枚となり、5月26日現在の17万1,740枚から6,228枚の減少。今年1月6日以来の低水準となった。3日も買い戻しが進んだが、4、5日はユーロ売りが強まった。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

8日 
   中国5月貿易収支
   独4月鉱工業生産指数、独4月貿易収支、独4月経常収支
9日 
   中国5月消費者物価指数、中国5月生産者物価指数
   豪4月住宅ローン許可件数
   スイス5月雇用統計
   スイス5月消費者物価指数
   英4月貿易収支
10日 
   日本4月機械受注高
   英4月鉱工業生産指数、英4月製造業生産指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   米5月財政収支
11日 
   NZ準備銀行(RBNZ)政策金利
   豪5月雇用統計
   中国5月小売売上高、中国5月鉱工業生産指数
   米5月小売売上高、米5月輸入価格指数、米新規失業保険申請件数
12日 
   日本4月鉱工業生産指数
   ユーロ圏4月鉱工業生産指数
   米5月生産者物価指数
   米6月ミシガン大学消費者信頼感指数

2015年6月8日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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