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外為マーケットコラム

FOMCで米利上げ観測強まればドル買いも不安要因多い

 6月第2週目のドル・円は反落。日本時間の10日の午後に黒田日銀総裁が衆院財務金融委員会で、外国為替相場について、実質実効レートでは「ここからさらに円安に振れることはありそうにない」との認識を示したことから1ドル=122円台に急落した。11日に発表された5月の米小売売上高が事前予想通りながらも前月比で増加したことを好感し、124円台前半に反発。しかし米国債利回り低下からドル売り圧力は強く、124円台は維持できず、123円台半ばで第2週目の取引を終えた。

 今週は16−17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催がある。FOMCで米金利引き上げ観測が強まるかが注目される。15日発表の6月のNY連銀製造業景気指数、16日発表の5月住宅着工・許可件数などの米経済統計の発表も多く、強気の指標が出て、米金利の9月引き上げ観測が強まればドル買いのシナリオが描ける。

 11日発表の米週間新規失業保険申請件数は14週連続して30万件を下回り、米雇用情勢の改善が続いており、米国の夏場の消費に期待が持てる。その一方、ニューヨークダウが9日に1万7,714.97ドルまで下落し、4月6日以来の安値をつけた。10日から急反発したが、ギリシャの債務問題、米金利の先高感、中国など新興消費大国の景気減速不安など、不安要因も多く、まだ不安定な状況が続くとみられ、ドルの圧迫要因になりそうだ。ニューヨークダウ、ギリシャ債務問題の動向が波乱要因になる可能性はあるが、米景気回復持続でドルの下値は堅いとみる。

 ユーロ絡みでは18日に開催されるユーロ圏財務相会合でギリシャ債務問題が討議され、その内容が材料視される可能性がある。円サイドからは19日に開催の日銀金融政策決定会合・金融政策、その後の黒田総裁の記者会見の内容が注目されよう。

 今週の予想レンジは1ドル=122円〜125円後半。支持線は25日移動平均線が通る122.50円水準、10日の安値122.44円、122円の節目、抵抗線は9日の高値124.73円、125円の節目、5日の高値125.85円。

【ドル・円は反落、黒田発言で15分の円急騰劇】

 ドル・円は反落。8日はG7首脳会議(7〜8日に開催)で7日、米オバマ大統領が「強いドルは問題」と発言したことを明らかにしたことで1ドル=124円台前半に反落。急速なドル高、円安が改めて警戒されることとなり、修正安が進んだ。9日は主要な米経済統計の発表がないなか、修正安が継続され、123.90円台を試した。

 そして10日。日本時間の午前中から午後1時過ぎまで124円台前半から半ばで推移していたが、前述の黒田発言が伝わると、122.90円まで円高、ドル安が急速に進んだ。午後1時15分から1時半まで15分の円急騰劇だった。その後も円高、ドル安の流れは続き、午後5時には122.40円まで円高、ドル安が進行。欧米時間でも122円台での取引となり、123円が抵抗線となり、122.60円台でこの日の取引を終えた。

 11日は5月の米小売売上高が発表され、前月比1.2%増(事前予想も同1.2%増)。前月は0.2%増と速報値の変わらずから上方修正された。週間新規失業保険申請件数が27万9,000人と事前予想の27万5,000人を上回ったが、ニューヨークダウが小売売上高を好感し、買い先行となったことでドル・円は124.10円台に反発した。しかしドル買いは続かず、123.40円台にまで上げ幅を縮小して引けた。7日のオバマ発言、10日の黒田発言が投資家の脳裏に残り、早めのドルの利食い売りがあったもよう。

 12日はメルケル独首相のユーロ高けん制発言などから欧州時間に主要通貨でドルが強含んだが、ドルの調整ムードが払拭できず、123.10円台に反落。6月の米ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)が94.6となり、事前予想の91.2を上回ったが、ドル買いにつながらず、123.40円台で引けた。

【ユーロ・ドルは堅調、ギリシャ不安が強いもののユーロは買い戻し先行】

 ユーロ・ドルは10日に5月18日以来の高値となる1ユーロ=1.1386ドルまで上昇。ギリシャ支援協議への思惑が交錯したが、1.1320ドル台を維持して引けた。この日は欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行向け緊急流動性支援(ELA)上限を830億ユーロに拡大させると当局者が明らかにした。

 11日はギリシャ支援に不透明感が強まったことや、5月の米小売売上高が強気の数字と解釈されたことで3日ぶりの安値となる1.1180ドルまで反落した。

 12日はメルケル独首相が強すぎるユーロはポルトガルやスペイン、アイルランドの改革を困難にするとの見方を示し、ユーロ高をけん制する発言を行ったことから、一時、1.1152ドルと4日ぶりの安値を付けた。ギリシャ不安が強いなか、ユーロ買い戻し動きも根強く、1.1260ドル台で引けた。投機家の買い戻し主導であるが、堅調地合い。

【10日以降は円買い戻しと円売り交錯か=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は6月12日に6月9日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、11万6,286枚となり、6月2日現在の8万5,693枚売り越しから3万593枚の増加。3週連続で大幅に円売り越しが増加。10日の円急反発局面で大量の円買い戻しが出たとみるのが妥当だが、10、11日とも取組高は大幅増加となった。円買い戻しが進む一方、円売りの動きもかなりあったとみられる。10、11日とも122円台をつけたが、25日移動平均線(12日の終値で122.40円)の手前で円は上値を抑えられた格好で中期的な円下落基調は崩れていない。

 シカゴユーロ(CME)市場は6月9日現在、大口投機家の売り越し幅は13万7,974枚となり、6月2日現在の16万5,512枚から2万7,538枚の減少。昨年12月16日以来の低水準となった。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

15日 
   スイス5月生産者・輸入価格、スイス4月小売売上高
   ユーロ圏4月貿易収支
   カナダ4月製造業出荷
   米6月NY連銀製造業景気指数
   米5月鉱工業生産・設備稼働率
   米4月対米証券投資
16日 
   独5月消費者物価指数
   英5月消費者物価指数、英5月小売物価指数、英5月生産者物価指数
   独6月ZEW景況感指数
   米5月住宅着工・許可件数
17日 
   NZ第1四半期経常収支
   日本5月貿易収支
   豪5月ウェストパック先行指数
   英5月雇用統計、英金融政策委員会(MPC)議事録
   ユーロ圏5月消費者物価指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   カナダ4月卸売売上高
   米連邦公開市場委員会(FOMC)
18日 
   NZ第1四半期国内総生産(GDP)
   スイス5月貿易収支
   英5月小売売上高指数
   米第1四半期経常収支
   米5月消費者物価指数
   米新規失業保険申請件数
   米6月フィラデルフィア連銀景況指数、米5月景気先行指数
19日 
   日銀金融政策決定会合・金融政策発表
   日本4月景気動向指数
   独5月生産者物価指数
   ユーロ圏4月経常収支
   カナダ5月消費者物価指数、カナダ4月小売売上高

2015年6月15日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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