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外為マーケットコラム

FOMC後にドル安に傾く、引き続き米経済指標・景気動向を材料視か

 6月第3週目のドル・円は軟調。16−17日の2日間、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、17日の声明文発表で従来よりも利上げペースを急がない姿勢が示されたことから、ドル売りが進み、ドルは対円で1ドル=122.40円台に下落し、今月10日の安値に顔合わせした。しかし米週間新規失業保険申請件数が労働市場の改善の継続を示したこと、米景気の回復継続を示す米経済指標の発表もあり、下値は堅く推移した。ドルは対ユーロで1カ月ぶりの安値を更新する下げとなり、ドル全体の値動きを示す米ドル指数は約1カ月ぶりの安値となる94.31に低下した。米ドル指数の直近の高値は6月1日につけた97.47。安値は5月15日につけた93.18。

 今週は米経済指標の発表が多く、引き続き米景気の動向、米金利の引き上げ時期のタイミングが材料視されそうだ。先週、1万8,000ドル台を回復したニューヨークダウが1万8,000ドル台を維持し、安定した動きになるか、再度1万7,000ドル台に軟化するかも注目要因。

 ユーロ絡みでは18日にユーロ圏財務相会合でギリシャ支援合意に至らなかったため、22日にユーロ圏首脳会議が急遽開催されることとなり、その動向が注目される。

 円絡みでは16日の参院財政金融委員会で、黒田日銀総裁が10日の発言に関して「名目ベースで円安を望んでいない、円安にならないと言ったわけではない」と述べたが、海外市場での反応は鈍かった。なお19日の日銀金融政策決定会合では金融政策は、現状維持となり、特に材料視されず。

 今週の予想レンジは1ドル=121円台半ば〜124円後半。支持線は122.40円、122円の節目、5月26日の安値121.47円。抵抗線は25日移動平均線が通る123.25円水準、124円の節目、17日の高値124.44円とそれぞれ予想する。

【ドル・円は下落、FOMCの声明文発表後に急落】

 ドル・円は下落。15、16日はFOMCを控え、見送り気分が強いなか、1ドル=123円台でのもみあいとなり、方向性を欠いた。15日発表のニューヨーク連銀の6月の同州製造業景気指数はマイナス1.98となり、事前予想プラス6.00を大幅に下回った。米連邦準備理事会(FRB)発表の5月の鉱工業生産指数は前月比0.2%低下となり、事前予想0.2%上昇を下回った。また設備稼働率は78.1%となり、事前予想の78.3%を下回った。事前予想を下回る米経済指標が続出したが、ドル売りにはつながらず。

 16日は米商務省発表から5月の住宅着工件数が発表され、前月比1.1%減の103万6,000件となり、事前予想の109万件を下回った。一方で、住宅着工許可件数は前月比11.8%増の127万5,000件となり、事前予想110万件を大幅に上回ったこともあり、ドルは対円、ユーロともしっかり。

 17日は欧州時時間にFOMCで米金利の引き上げが9月になると示唆される観測からドル買いが進み、一時124.30円台に上昇した。ニューヨーク時間の午後2時に発表されたFOMC声明で「年内に2度の0.25ポイントの利上げ」が示唆されたことを受け、124.45円に上昇し、今月10日の高値(124.62円)以来の水準へ急伸した。しかし一方で2016年と2017年の政策金利水準見通しが下方修正され、従来よりも利上げペースを急がない姿勢が示されたことから、その後は一変し、早めの利益確定を進める動きなどに押され、一時、123.20円台に急落となった。FOMCの声明文の発表でドル安の流れに一変した。

 18日も17日のFOMC声明文発表後のドル安ムードが続き、122.40円台を試すまで下落。米労働省発表の5月の消費者物価指数が発表され、振れの大きい食品・エネルギーを除くコア指数は前月比0.1%上昇となり、事前予想0.2%上昇を下回り、利上げ開始後の引き締めペースが従来よりもかなり緩やかになるとの見方が強まり、ドル売り圧力が強まった。

 米労働省発表の6月13日までの週間新規失業保険申請件数は26万7,000件。事前予想27万7,000件を1万件下回った。また、4週間平均の失業保険申請件数は27万6,750件と前週の27万8,750件から減少したことがドルの下支え要因になった。またフィラデルフィア地区連銀発表の6月の同地区製造業景況指数はプラス15.2。事前予想のプラス8.0を大幅に上回った。

 19日は主要な米経済統計の発表はなかったが、長期金利の指標となる10年物米国債の利回りが大きく低下したことで122.50円台に下落したが、122.40円台を試す前122.70円台に戻して引けた。

【ユーロ・ドルはギリシャ不安もFOMC後に1カ月ぶりの高値まで上昇】

 ユーロ・ドルは上昇。18日に5月14日以来の高値となる1ユーロ=1.1436ドルまで上昇。19日に反落となったが、週足は3週連続の陽線引けで上昇基調を維持。

 15、16日はFOMCの開催を控え、神経質な展開となるなか、1ユーロ=1.1200ドル前後で下支えられ、推移。

 17日は18日にユーロ圏財務相会合を控えるなか、海外市場からギリシャ支援協議の行方を見極めたいとのムードが広がるなか、一時1.1200ドル台後半に軟化。しかしFOMC終了後はドル売り圧力が強まることとなり、一時、1.1358ドルと1週間ぶりの高値に上昇した。円と同様に従来よりも利上げペースを急がない姿勢が示されたことからドル売り、ユーロ買いの動きとなった。この日は「ギリシャのデフォルト、現実的になりつつある」(スロバキア財務相)との発言、ドイツ財務相がギリシャとの合意不成立に備えているとの報道があるなど、ギリシャのデフォルト(債務不履行)が現実味を帯びた。だが米金融政策に関心が傾くなか、ユーロ財務相会議でデフォルト回避案が出るのでは期待からユーロ買い、ドル売りの動きとなった。

 18日はユーロ圏財務相会合ではギリシャ支援合意なく終了したが、ユーロ・ドルはしっかり。国際通貨基金(IMF)専務理事からは、信頼性あるギリシャプログラムが必要、年金改革必須、月末までにギリシャ支払いなければ部分デフォルト、6月30日を過ぎる猶予期間はないと、ギリシャに対し厳しい見解が示されたが、1ユーロ=1.1436ドルまで上昇した。

 19日はギリシャのデフォルトや、ユーロ離脱リスクを警戒するムードが強まり、1.1290ドル台まで反落したが、欧州中央銀行(ECB)が今週2度目となるギリシャ銀行向け緊急流動性支援(ELA)の上限を引き上げたことなどが支援材料となり、安値を離れ、1.1340ドル台で引けた。

【円の買い玉が増える中、投機家の円の売り越しは急減=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は6月19日に同月16日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、8万0,664枚となり、6月9日現在の11万6,286枚売り越しから3万5,622枚の減少。前回までの3週連続の大幅な円売り越し増加から一転し、急減した。売り玉が減少する一方、買い玉が大幅増。17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、ドル安となり、17日以降、円の売り越し幅は減少しているとみられる。1ドル=122.40円、122円を試すと、さらに円の買い戻しが進むと予想される。

 シカゴユーロ(CME)市場は6月16日現在、大口投機家の売り越し幅は8万9,357枚となり、6月9日現在の13万7,974枚から4万8,617枚の大幅減少。17日以降もさらに減少しているとみられる。ギリシャの債務不安はあるが、ユーロの買い玉が前回より3万枚以上の急増。17日以降もユーロ買い、ドル売りの流れは継続しているとみられる。売り越し幅は8万枚台前半か。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

22日 
   米5月中古住宅販売件数
23日 
   豪第1四半期住宅価格指数
   中国6月HSBC製造業購買担当景気指数速報値
   米5月耐久財受注
   米4月住宅価格指数
   米5月新築住宅販売件数
24日 
   日銀金融政策決定会合議事要旨(5月21・22日分)
   独6月ifo景況感指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   米第1四半期国内総生産(GDP)確報値
25日 
   米5月個人所得・個人消費支出
   米新規失業保険申請件数
26日 
   NZ5月貿易収支
   日本5月雇用統計、日本5月有効求人倍率
   日本5月消費者物価指数、日本5月勤労者世帯家計調査
   米6月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値

2015年6月22日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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