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外為マーケットコラム

ギリシャ情勢と6月の米雇用統計に注目

 6月第4週目のドル・円は堅調。23日は米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル理事が年内2回の利上げを予想しているとの報道があったことに支援された。また24日は第1四半期・米国内総生産(GDP)確報値が前期比0.2%減となり、改定値の0.7%減から上方修正され、個人消費が予想以上に引き上げられたことから、年内の利上げ開始期待がドル買いにつながった。ただし124円台ではドル売り圧力が強く、123.80円水準で26日の取引を終えた。

 27日にユーロ財務相会合でギリシャ支援の期限を6月30日から先送りしないことが決定となった。翌28日には欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行に対する追加的な支援見送りを決めた。ギリシャ国内の銀行は週明け29日から休業することになり、金融市場は混乱することが予想される。ギリシャは30日に国際通貨基金(IMF)に15億ユーロ(約2,000億円)を返済しなくてはならないが、デフォルト(債務不履行)が現実味を帯びている。

 リスク回避の動きから、週明け29日の東京時間早朝から1ドル=122円台にドル安、円高が進んだ。支持線の122.40円を割り込み、122円に接近する下げとなった後、123円台前半に反発し、乱高下する展開。122円割れとなると、50日移動平均線が通る121.80円、100日移動平均線が通る120.80円を目指す展開となる可能性が高くなるとみる。

 今週は月替わりとなるが、7月3日が米独立記念日の振替休日となる。2日に前倒しで6月の米雇用統計が発表される。引き続き、米経済指標を見極める展開だが、ギリシャ不安が株式、為替市場にどの程度の不安を与えるかに注目したい。

 今週の予想レンジは1ドル=119円台後半ば〜124円台前半。ギリシャ問題の影響でボラティリティ(変動率)が高まる可能性があり、値動き幅は広めにとった。

【ドル・円は上昇、米住宅販売件数増や米GDP上方修正で】

 ドル・円は上昇。22日はギリシャ支援合意への期待感の高まりや欧米株高・米債利回りの急上昇、5月の米中古住宅販売件数が前月比+5.1%の535万件となり、事前予想の528万件の増加を上回ったことから、1ドル=123円台前半でしっかりと推移。

 23日は米商務省発表の5月の耐久財受注が前月比1.8%減となり、事前予想の1.0%減を下回る反面、5月の新築住宅販売件数が前月比2.2%増の54万6,000件となり、事前予想の52万3,000件を上回ったことで124.10ドル台を試し、しっかり。

 24日は米第1四半期GDP確報値が上方修正され、124.30円台に上昇も17日の高値124.44円が抵抗線になったこと、ニューヨークダウの下落などがドル売りを招き、123.80円台に小反落して引けた。

 25日はユーロ圏財務相会合再開前の協議でギリシャと債権団が合意できず、財務相会合でも妥協点が見出せず、27日午前に再会合することが発表された。それを受け、ギリシャ不安が強まり、リスク回避から一時123.40円台に小反落し、123.60円台で引けた。この日発表された6月20日までの週間新規失業保険申請件数は27万1,000件で事前予想の27万3,000件を下回った。4週間平均の失業保険申請件数は27万3,750件と前週の27万7,000件から減少した。

 26日は123円台半ば〜後半でしっかりと推移。この日発表の6月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報値が96.1(速報値94.6)となり、5カ月ぶりの高水準となったことに支援され、123.80円水準で取引を終えた。

【ユーロ・ドルは下落、米利上げ観測とギリシャ問題への悲観的見方で】

 ユーロ・ドルは下落。22日まではギリシャ支援合意期待が一段と高まり、1ユーロ=1.1400ドル台を試し、しっかりと推移したが、23日は市場の関心が再び欧米当局の金融政策の方向性の違いへと移り、米国債利回りの上昇やパウエルFRB理事が年内2回の利上げを予想していることが伝わると、急速にドル買い戻しの動きが進み、今月8日以来の安値となる1ユーロ=1.1135ドルまで急落となった。この日発表された6月のユーロ圏総合購買担当者景況指数(PMI)速報値が54.4に上昇し、2011年5月以来、約4年ぶり高水準となったが、ユーロ買いにはつながらなかった。

 24日から修正高の動きとなったが、戻りは鈍く、1.1230ドル台で戻りは抑えられた。この日はドイツのIfo経済研究所から6月の独企業景況感指数が発表され、107.4に低下し、事前予想の108.1を下回り、2カ月連続して悪化したことがユーロ圧迫要因となった。

 25日以降は27日に開催のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援が合意できるかどうかが注目されるなか、26日にギリシャ政府が債権団による救済策の5カ月延長と155億ユーロ救済案を拒否したとの報が伝わるなど、支援合意に向けた悲観的な見方が戻りを抑えた。

【円の買い戻しで円急騰の可能性=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は6月26日に同月23日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、8万7,717枚となり、6月16日現在の8万664枚売り越しから7,053枚の増加。24日以降、124円台での取引が長続きしなかったが、円売り優勢状態が続いたとみられ、26日現在、売り越しは9万枚前後まで増加か。121円台後半まで円高、ドル安が進むと円の買い戻しが先行するとみられ、120円前後まで円急騰の可能性はあるとみる。

 シカゴユーロ(CME)市場は6月23日現在、大口投機家の売り越し幅は9万9,306枚となり、6月16日現在の8万9,357枚から9,949枚の増加。23日に1ユーロ=1.1133ドルまで急落となり、ユーロ売りが急増したとみられる。24日以降、下値は堅いが戻りの鈍さからユーロ売りが根強く続いたもよう。27日に1ユーロ=1.1100ドルの節目を割り込んでおり、ユーロ売りが一段と進む可能性あり。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

29日 
   独6月消費者物価指数速報値
   カナダ5月鉱工業製品価格
   米5月中古住宅販売仮契約
30日 
   スイス6月KOF先行指数
   独6月雇用統計
   英第1四半期国内総生産(GDP)確報値
   ユーロ圏5月雇用統計、ユーロ圏6月消費者物価指数
   米4月S&Pケースシラー住宅価格指数
   米6月シカゴ購買部協会景気指数
   米6月消費者信頼感指数
1日 
   日銀短観(6月調査)
   中国6月製造業購買担当景気指数
   豪5月住宅建設許可件数
   中国HSBC製造業購買担当景気指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   米6月ADP雇用統計
   米6月ISM製造業景況指数、米5月建設支出
2日 
   豪5月貿易収支
   ユーロ圏5月生産者物価指数
   米6月雇用統計
   米新規失業保険申請件数
   米5月製造業受注指数
3日 
   豪5月小売売上高
   ユーロ圏5月小売売上高指数

2015年6月29日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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