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外為マーケットコラム

ギリシャ、中国経済に対し弱気の見方強まれば再度リスク回避から円高

 7月第2週のドル・円は1ドル=120円台前半に下落し、約2カ月ぶりの安値をつけたが、122円台後半に戻す不安定な展開となった。

 5日に実施されたギリシャ国民投票は緊縮財政受け入れ反対が60%を超え、予想外の大差となり、ギリシャ情勢は一段と不透明感が強まった。加えて中国株の暴落で世界経済への不安からリスク回避の動きが強まり、8日にドル・円は120円の節目に接近し、5月19日以来の安値をつけた。8日は先月16、17日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公開され、「利上げ開始を正当化する状況に、なお近づいている」とされた。その一方、多くの当局者がギリシャについて懸念を表明し、ギリシャ問題の解決が見込めない限り、利上げを急がないとの思惑が広がり、ドル売りにつながったが、120円の節目が支持線となり、底堅かった。9日は121円台に反発。10日は中国株が続伸したことや、ギリシャが救済の引き換えとなる経済改革・歳出削減案を債権団に提出したことでギリシャ危機が後退し、122円台後半まで反発し、今月3日の終値と同水準の122.70円台で引けた。

 ギリシャ情勢はなお不透明だ。12日にユーロ圏は財務相会合に続き、緊急首脳会議を開催し、ギリシャに対し、第3次金融支援の協議を開始するために15日夜までにギリシャが税制や年金制度の改革を法制化する必要があるとしている。15日は中国の第2四半期の国内総生産(GDP)の発表もある。ギリシャ、中国経済に対して弱気の見方が増えれば、再度、リスク回避の動きが強まり、円高、ドル安の動きとなろう。

 テクニカルからは週足が3週連続の陽線引けの反面、6月24日以降はおおむね25日移動平均線(日本時間、13日、午前11時現在、1ドル=122.99円)を下回って推移している。

 今週の予想レンジは1ドル=120円前後〜124円で先週と同じ。123円水準が目先の抵抗線となろう。

【ドル・円は乱高下、120円台前半に下落後に反転】

 ドル・円は1ドル=120円台前半から122円台後半のレンジで乱高下。6日から1ドル=121.80円台を試す展開となり、直近の安値である121.92円(6月30日)をわずかに下抜いた。5日のギリシャ国民投票で緊縮財政の反対の結果が示されたことで、同国のユーロ離脱懸念の強まりなど先行きの情勢不透明さからリスク回避の動きが強まり、円買い、ドル売りが強まった格好。ただしニューヨーク時間での取引は、ギリシャのチプラス首相がメルケル独首相との電話会談で、7日のユーロ圏首脳会議で政府案を提示することで合意し、その行方を見極めたいとの思惑が広がるなか、買い戻され、122.50円台で引けた。この日発表された米供給管理協会(ISM)から発表された6月の非製造業景況指数は56.0となり、前月の55.7を上回ったが、事前予想56.4を下回り、ドルの買い材料視する動きは限定的だった。

 7日はギリシャの債権団への救済新提案が8日になる見込みとのことで、ギリシャ情勢の不透明さが続く見通しとなり、リスク回避の動きからドル売り圧力が強まったが、122円が支持線となった。ニューヨークダウが安値から急回復したことに支援され、122.60円水準で引けた。

 8日は軟調。ギリシャ情勢をめぐる不透明さが続いていることや、中国株が下げ止まらないことなどからリスク回避の動きが進み、120.40円台に急落となり、120.60円台で引け、チャートは6月10日以来の長大陰線を引いた。

 9日は中国株式相場が急反発したことで、リスク回避の円買いの動きが後退し、東京時間から121円台半ばに反発し、修正の動きへと転じた。ただし9月の利上げ開始期待が後退していることもあり、積極的なドル買い戻しの動きは手控えられた。この日発表された7月4日までの週間新規失業保険申請件数は29万7,000件。事前予想の27万5,000件を上回った。4週間平均の失業保険申請件数は27万9,500件と前週の27万5,000件から増加した。

 10日は海外市場から中国株式相場が続伸したことや、ギリシャが救済の引き換えとなる経済改革・歳出削減案を債権団に提出し、12日のユーロ圏首脳会議での支援協議への合意期待が広がり、リスクオンの動きが優勢となった。午後にはイエレンFRB議長が再び年内の利上げの可能性を示唆したこともあり、一時、122.80円台まで上昇し、122.70円水準で引けた。

【ユーロ・ドルは1カ月半ぶりの安値をつけた後に反転も売り圧力強い】

 ユーロ・ドルは7日にギリシャのデフォルト(債務不履行)やユーロ離脱懸念が根強いことから1ユーロ=1.0914ドルまで下落し、6月2日以来、約1カ月半ぶりの安値をつけた。8、9日と下値を徐々に切り上げた後、10日にギリシャが債権団に提出した経済改革・歳出削減案が、債権者側が先月末に提出した案に近い内容となっているとのことから、支援協議への合意期待が膨らみ、ギリシャのユーロ離脱懸念が後退することとなったとことから、6月30日以来の高値となる1.1215ドルまで急反発した。10日に大幅高となり、25日移動平均線を試したが、高値を離れ、改めてユーロの売り圧力の強さが示された。

【121円台では円の買い戻しの動き強い=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は今月10日に7月7日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、6万3,629枚となり、6月30現在の7万8,822枚売り越しから1万5,193枚の減少。6月9日現在、売り越し幅が11万6,286枚あったが、約1カ月で5万枚以上の急減となった。8日に120円台前半まで円高、ドル安が進んだ場面で円の買い戻しが進んだようだ。その反面、9、10日は円売り優勢となったともよう。引き続き、1ドル=121円台に円高、ドル安が進むと円の買い戻しが膨らむと予想。

 シカゴユーロ(CME)市場は7月7日現在、大口投機家の売り越し幅は9万9,266枚となり、6月30日現在の10万35枚から769枚の減少。6月23日の9万9,306枚とほぼ同水準。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

13日 
   米6月財政収支
14日 
   独6月消費者物価指数
   スイス6月生産者・輸入価格
   英6月消費者物価指数、英6月小売物価指数、英6月生産者物価指数
   ユーロ圏5月鉱工業生産指数
   独7月ZEW景況感指数
   米6月小売売上高、米6月輸入価格指数
15日 
   中国6月小売売上高、中国6月鉱工業生産指数
   中国第2四半期国内総生産(GDP)
   日銀金融政策決定会合・金融政策発表
   黒田日銀総裁記者会見
   英6月雇用統計
   米MBA住宅ローン申請件数
   カナダ5月製造業出荷
   米7月NY連銀製造業景気指数、米6月生産者物価指数
   米6月鉱工業生産・設備稼働率
   カナダ銀行(BOC)政策金利
   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
16日 
   NZ第2四半期消費者物価
   スイス5月小売売上高
   ユーロ圏5月貿易収支、ユーロ圏6月消費者物価指数
   欧州中央銀行(ECB)政策金利
   ドラギ総裁記者会見
   米新規失業保険申請件数
   米7月フィラデルフィア連銀景況指数
   米5月対米証券投資
17日 
   米6月消費者物価指数
   カナダ6月消費者物価指数
   米6月住宅着工・建設許可件数
   米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値

2015年7月13日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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