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外為マーケットコラム

米労働市場に関する統計に注目、強気の数字ならドルがさらに買われやすくなる

 7月最終週のドル・円は1ドル=123円水準から124円台半ばで推移。週前半は123円台前半で弱含み商状で推移したが、週後半は29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の声明文発表で米労働市場が改善していることが示され、雇用市場の改善がさらに進めば利上げを行う姿勢を明らかにしたこともあり、ドル高ムードから124円を試した。30日に発表された第2四半期・米国内総生産(GDP)速報値は事前予想を下回ったが、景気回復が示されたことから、9月の米利上げ開始の可能性から124.50円を試し、6月10日以来の高値をつけた。31日は第2四半期・米雇用コスト指数が事前予想を下回り、同指数の約7割を占める賃金・給与の伸びが1982年の調査開始以来で最低となったことを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利上げをする期待感が一気に後退し、一時123.50円台に軟化し、123.90円台で7月の取引を終えた。

 テクニカル要因からは31日に軟化はしたものの、週足、月足とも陽線引け、25日移動平均線(123.25円)を維持しての引けとなり、ドルは堅調ムードを維持した。

 ニューヨークダウは7月27日に1万7,399.17ドルまで下落し、2月3日以来の安値をつけたが、29日のフォードモーターやファイザーなど企業決算が好調だったことから反発、30日は中国株の上昇や、米利上げ観測で買い先行となり、1万7,700ドル台まで持ち直した。

 今週は5日から米労働市場に関する経済統計の発表が続く。7日に米労働省から発表される7月の雇用統計中心に材料視されるとみる。強気の数字が出ると、引き続き米利上げ観測からドルが買われやすく、125円の節目を目指す展開か。

 今週の予想レンジは1ドル=122円台後半〜125円台半ば。抵抗線は1ドル=125円の節目、6月5日につけた高値125.85円。支持線は25日移動平均線水準の123.25円台、123円、122円の節目。先週のレンジ予想より約1円、支持線を引き上げた。

【ドル・円はFOMC声明文、米GDPから一時124.50円台に上昇】

 27日のドル・円は世界的な株安を嫌気したリスク回避の動きや米国債利回りの低下などから、一時、1ドル=122.98円に下落し、7月14日以来、約2週間ぶりの安値をつけた。ただし終値では25日移動平均線が通る123.20円台を維持して引けた。

 28日は日本を除き株式市場が反発したことでリスク回避ムードが後退し、123円台半ばから後半へ上昇し、123.50円台で引けた。この日は全米20都市部を対象にした5月の米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数が発表され、前年同月比4.94%上昇となり、事前予想の5.60%を下回った。前月は4.95%上昇と速報値の4.91%上昇から上方修正された。また米民間調査機関のコンファレンス・ボード(CB)が発表した7月の消費者信頼感指数は90.9となり、事前予想の100をわずかに下回った。前月は99.8となり、速報値の101.4から下方修正された。複数の弱気の米経済統計が発表されたが、市場の関心は29日のFOMC後に発表される声明文の内容に移行しており、ドル売りにつながらなかった。

 29日は米東部時間の午後2時過ぎからFOMCの声明文の発表があり、上記のように労働市場の改善が示唆され年内の利上げ観測が強まり、124円台を試した。FOMCの声明文では米経済はここ数カ月で緩やかに拡大しているとの見解も示され、ニューヨークダウは1万7,700ドル台を回復するまで上昇した。

 30日は第2四半期・米国内総生産(GDP)速報値が発表され、前期比2.3%増となり、事前予想の2.5%を下回った。第1四半期は0.6%増と前回発表の0.2%減から上方修正された。第1四半期の数字が上方修正されたことでドル買いが優勢となり、一時124.50円台に上昇した。この日は米労働省から7月25日までの週間新規失業保険申請件数が発表され26万7,000件となり、前週の25万5,000件から増加したが、事前予想の27万件を下回った。また、4週間平均の失業保険申請件数は27万4,750件と前週の27万8,500件から減少した。

 31日は朝方に124.30円台まで持ち直したが、第2四半期・米雇用コスト指数の低下を受け、123.50円台へ急落。しかしシカゴ地区購買部協会発表の7月の同地区景気指数が54.7となり、前月の49.4、事前予想は50.8を上回った。また8月第1週目に発表される米労働市場に関する経済指標に対する期待も強く、123.90円台に再上昇して引けた。

【ユーロ・ドルは米利上げ観測にも下値堅い展開】

 ユーロ・ドルは下値堅い展開。7月27日は世界的な株安からリスク回避の動きが圧迫要因ながら7月の独Ifo景況感指数が108に上昇し、予想107.2を上回ったことが好感され、7月13日以来の高値となる1ユーロ=1.1129ドルまで上昇。しかし28日はFOMC前のポジション調整の動きが中心となるなか、反落となったが、1.1000ドルの節目が支持線となり、下値堅く推移した。

 29日はギリシャ・チプラス首相が総選挙の可能性に言及するなどギリシャ情勢への先行き不安感が再び浮上するなか、FOMC声明発表後には米利上げ期待の強まりもあり、一時、1.0960ドル台まで下落した。

 30日は7月の独失業者数が前月比事前予想の5,000人減に反して、同9,000人増となる反面、同月の7月のユーロ圏景況感指数が104に上昇し、事前予想103.2を上回った。この日はドイツ、ユーロ圏の経済統計に対しての関心は薄く、米利上げ観測を背景にしたドル買いの動きが先行し、一時、1.0890ドル台に下落し、7月22日以来の水準まで下押され、軟調に推移した。

 31日は第2四半期の米賃金・給与の伸びが過去最低となったことから、前日に1週間ぶりの水準へと下落した動きに対する修正の動きが進んだ。週末と月末が重なったこともあり、ユーロを買い戻す動きに支援され、一時1.1110ドル台まで急反発した。1.1000ドルの節目を維持できなかったが、堅調に引けた。

 ギリシャ情勢やユーロの経済指標より、米経済統計に左右されやすい相場になっている。今週は米労働市場に関する統計発表が続き、強気の数字が出ると、ユーロ安、ドル高が進みやすい。

【123円台前半では円の買い戻しを警戒=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は7月31日に7月28日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、6万3,538枚となり、21日現在の6万2,314枚売り越しから1,224枚の増加。29日以降、円売り、ドル買いの動きが優勢となり、売り越し幅は6万7,000枚程度まで増加と予想。27日は円の買い戻しが進んだとみられるが、円売りの動きは根強く、円高、ドル安基調に転換するには至らず。引き続き、123円台前半では円の買い戻しの動きを警戒したい。

 シカゴユーロ(CME)市場は7月28日現在、大口投機家の売り越し幅は10万4,008枚となり、7月21日現在の11万2,976枚から8,968枚の減少。29、30日とユーロ安、ドル高となり、ユーロ売りの動きが強まったが、31日は急反発となり、ユーロは買い戻されたとみられ、1ユーロ=1.1000ドル台に再上昇すると、さらに買い戻しが進むとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

3日 
   米6月個人所得・個人支出
   米7月ISM製造業景況指数、米6月建設支出
4日 
   豪6月貿易収支、豪6月小売売上高
   豪中銀(RBA)政策金利
   ユーロ圏6月生産者物価指数
   米6月製造業受注指数
5日 
   NZ第2四半期雇用統計
   スイス7月消費者物価指数
   ユーロ圏6月小売売上高指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   米7月ADP雇用統計
   カナダ6月貿易収支
   米6月貿易収支
   米7月ISM非製造業景況指数
6日 
   豪7月雇用統計
   日本6月景気動向指数
   独6月製造業受注指数
   英6月鉱工業生産指数、英6月製造業生産指数
   英中銀(BOE)政策金利
   英中銀四半期インフレ報告
   米新規失業保険申請件数
7日 
   豪6月住宅ローン許可件数
   日銀金融政策決定会合(6〜7日)金融政策発表
   スイス7月雇用統計
   独6月鉱工業生産指数、独6月貿易収支、独6月経常収支
   英6月貿易収支
   カナダ7月雇用統計
   米7月雇用統計
   カナダ7月Ivey購買部協会指数
8日 中国7月貿易収支

2015年8月3日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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