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外為マーケットコラム

ドル高・円安基調だが、NYダウ一段安ならドル売りにつながる可能性あり

 8月3日からの週のドル・円は二度、1ドル=125円台を試したが、125円台は定着できず、124.20円台前半で7日の取引を終えた。7日に米労働省から発表された7月の米雇用統計は非農業部門就業者数が前月比21万5,000人の増加となり、大方の事前予想である同22万人を下回ったが、労働市場の改善を示す20万人増を3カ月連続で上回ったことで、125.07円までドル高・円安が進んだが、欧米株式相場の下落や、米国債利回りの低下からドルの利食い売りが出て、124円台前半に反落した。ニューヨークダウが一時1万7,200ドル台に下落し、今年2月2日以来、約半年ぶりの安値をつけたことからリスク回避の動きが強まった。

 テクニカルからは7月29日以降、25日移動平均線(10日の日本時間の午前10時半現在、1ドル=123.60円水準)を一度も下回っておらず、週足は2週連続で陽線引け。14日間の相対力指数(RSI)は7月28日以降、強気と弱気の分岐点である50以上を上回る状態が続いており、強気を維持。

 今週も引き続き、米経済指標を見極めながら、ドル主導で方向性を探る展開か。13日に発表される7月の米小売売上高に注目したい。ニューヨークダウが1万7,000ドルに接近する下げとなると、リスク回避の動きが一段と強まり、ドル売りにつながる可能性あり。ユーロ絡みでは11日に発表の8月の独ZEW景況指数、14日発表のドイツ、およびユーロ圏の第2四半期の国内総生産(GDP)速報値が注目される。日本絡みでは12日に発表される先月14、15日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨に注目したい。

 今週の予想レンジは1ドル=122円台後半〜125円台半ば。先週と同じレンジ。抵抗線は1ドル=125.07円、6月5日につけた高値125.85円。支持線は25日移動平均線水準の123.60円水準、123円、122円の節目。

【ドル・円は1ドル=125円試すも株安で124円台前半に反落】

 ドル・円は堅調。3日は7月の米ISM製造業景況指数が52.7となり、事前予想53.5を下回ったことや商品相場の下げなどに圧迫され、123.90円台で引けた。4日は5日から米労働市場に関する米経済指標の発表を控え米利上げ観測が強まり、一時1ドル=124.40円まで上昇し、堅調に推移。

 5日は7月の米ADP雇用統計が発表され、前月比18万5,000人増にとどまり、大方の事前予想の21万5,000人増を大幅に下回った。それを受け、朝方に124.02円に小安くなった。しかし、その後、米供給管理協会(ISM)から発表された7月の非製造業景況指数が60.3となり、事前予想の56.2を大幅に上回り、10年ぶりの高水準となったことであっさりと反転し、125円の節目を試し、125.01円まで上昇し、6月8日以来、約2カ月ぶりに125円台を試した。125円水準ではドル売り圧力が強かったが、米利上げ観測は強く、124.80円台で引けた。

 6日は7日の米労働省発表の7月の米雇用統計発表待ちムードが強いなか、一時124.50円台に小反落となったが、124.70円前半での引けとなった。この日発表された、7月25日までの週間新規失業保険申請件数は27万件となり、前週の26万7,000件を上回った。事前予想は27万2,000件。4週間平均の失業保険申請件数は26万8,250件と前週の27万4,750件から減少した。

 7日は米労働省から7月の米雇用統計が発表され、失業率は前月比変わらずの5.3%となり、引き続き7年ぶりの低水準。非農業部門雇用者数は前述のように前月比21万5,000人の増加となり、大方の事前予想である同22万人を下回ったが、前月の数値が23万1,000人増と速報値の22万3,000人増から上方修正され、雇用状態は回復傾向を維持しているとの判断となった。それを受け、5日に続き、125円台を試し、5日の高値125.01円台をわずかに上回り、125.07円をつけたが、125円水準から124円台後半での取引は米東部時間の午前9時半頃までで終了した。その後は株安などから反落となり、一時124円の節目に接近するまでドル安・円高となった。しかし124円の節目が支持線となり、124.20円台で引けた。

【ユーロ・ドルは米利上げ観測にも下値堅い展開】

 ユーロ・ドルは引き続き、下値堅く推移。ただし1ユーロ=1.1000ドルの節目を超える上伸力はなく、方向性を欠いた。

 3日は7月のユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)改定値が52.4となり、速報値の52.2から上方修正された。しかし反応は鈍く、1.0900ドル台半ば中心にもみ合いとなった。

 4日は9月の米利上げ観測が強まり、一時1.0883ドルと7月22日以来の水準まで切り下がり、1.0899ドルで引け、長めの陰線を引く下げとなった。

 5日は米利上げ観測やテクニカルな動きなどから続落し、一時、1.0848ドルと7月21日以来の水準まで下押された。しかし安値から戻し、1.0900ドル台で引けた。

 6日は6月の独製造業受注指数が前月比2%上昇となり、事前予想の0.3%上昇を上回った。この数字に対する強い反応はなかったが、一時1.0943ドルまで上昇し、しっかり。

 7日は7月の米雇用統計での雇用拡大ペースの継続などを背景にした動きに圧迫されると、序盤に1.0856ドルまで下押されたが、9月の米利上げ開始に対する懐疑的な見方などもあり、一転して買い戻され、1.0978ドルまで切り返した。

【再度125円台への円安・ドル高なら円売りの動き増加か=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は8月7日に8月4日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、7万9,716枚となり、7月28日現在の6万3,538枚売り越しから1万6,178枚の増加。5日以降も円売り、ドル買いが優勢となったとみられ、売り越し幅は8万枚を超えていると予想。再度、125円台を試すと、円売り、ドル買いの動きが増加か。逆に123円台半ばへの円高、ドル安となると、円の買い戻しが進むとみる。

 シカゴユーロ(CME)市場は8月4日現在、大口投機家の売り越し幅は11万3,394枚となり、7月28日現在の10万4,008枚から9,386枚の増加。1ユーロ=1.1000ドルの節目を試すかがポイントとみる。1.1000ドルの節目を試すとユーロの買い戻しが進む可能性ありとみる。

今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

11日 
   独8月ZEW景況感指数
   米第2四半期非農業部門労働生産性指数
12日 
   日銀金融政策決定会合議事要旨(7月14・15日分)
   日本6月鉱工業生産指数
   中国7月小売売上高、中国7月鉱工業生産指数
   英7月雇用統計
   ユーロ圏6月鉱工業生産指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   米7月財政収支
13日 
   日本6月機械受注高
   独7月消費者物価指数
   スイス7月生産者・輸入価格
   米7月小売売上高、米7月輸入価格指数、米新規失業保険申請件数
14日 
   NZ第2四半期小売売上高
   独第2四半期国内総生産(GDP)速報値
   ユーロ圏第2四半期国内総生産(GDP)速報値
   ユーロ圏7月消費者物価指数確報値
   カナダ6月製造業出荷
   米7月生産者物価指数
   米7月鉱工業生産・設備稼働率
   米8月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値

2015年8月10日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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