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外為マーケットコラム

1ドル=120.39円を目指すチャートに、株安が落ち着くかがカギ

 8月17日からの週のドル・円は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録公表後に早期の米利上げ観測が後退した後、世界的な株安を背景に1ドル=121円台後半まで急落となり、7月10日以来、約1カ月半ぶりの安値をつけた。世界的な株安でリスク回避の動きが強まり、ドルは対ユーロでも急落し、商品市場では原油が約6年半ぶりの安値をつけるなど、投資家心理は急速に悪化し、波乱の展開となった。ニューヨークダウは1週間で約1,000ドルの下げとなり、昨年10月以来の安値に沈んだ。終値で1万6,500ドル割れとなり、ほぼ安値引けで、なお先安感が強いチャートである。

 中国の経済指標が弱気となり、中国の景気不安が一段と強まったことが、世界的な株安を招き、金融市場は混乱し、ドル売りが進んだ。中国株の代表的指数である上海総合指数は21日に3,500割れとなり、7月9日以来、約1カ月半ぶりの安値をつけた。

 テクニカルからは19日に支持線とみていた123.76円を割り込み、123.65円まで下落したことが基調転換の始まりのサインとなり、21日には123円、122円の節目を次々と下抜き、3日連続の陰線引けとなった。19日に25日移動平均線(24日の東京時間の午前10時現在、123.95円)を終値で割り込み、21日は長大陰線を引く下げとなり、ドル安、円高基調に転換した。週明け24日の東京時間に120.70円まで下落しており、7月8日の安値120.39円を目指すチャートになっている。

 今週は世界的な株安が落ち着くかがカギを握ろう。中国の景気不安が世界的な株安の引き金となり、ニューヨークダウが21日に1万6,500ドルを割り込む暴落となった。自律修正高の可能性はあるが、少なくとも月内は不安定な動きが続き、荒れた展開となる不安はある。ドル・円も荒れた展開が予想される。約3週間続いた123〜125円のもちあい相場を下放れした格好でドルの自律修正高局面はドル売り圧力が強い展開か。

 今週の予想レンジは1ドル=119円台後半〜123円台半ば。抵抗線は122円、21日の安値123.49円、25日移動平均線が通る123.90円台。支持線は7月8日の安値120.39円、120円の節目。

【ドル・円は急落、早期の米利上げ観測後退とNYダウ暴落で】

 ドル・円は急落。17日のドル・円は1ドル=124円台前半から半ばのレンジでしっかりと推移。この日は8月のニューヨーク連銀製造業景気指数が発表され、事前予想のプラス4.80に反してマイナス14.92となり、2009年4月以来の低水準となったことを受け、124.22円へ下落。しかし、その後、8月の米住宅市場指数が61となり、2005年11月以来の高水準となったことからニューヨークダウが堅調な値動きとなったことで一時124.40円台後半をつけるなど、しっかりと推移。

 18日も引き続き、124円台前半から半ばのレンジでの取引となった。この日は7月の米住宅着工件数が発表され、前月比+0.2%増の120万6,000件と2007年10月以来の高水準となった。過剰反応することはなく、124.50円の節目を突破することはなかったが、しっかり。市場の関心は19日に公表される7月28−29日開催のFOMC議事録へと移り、全体的に見送りムードが強かった。

 19日は中国経済の悪化懸念による世界経済の先行き不安の強まりからリスク回避の動きが強まったこと、米東部時間の午後2時前に公表された7月28−29日開催のFOMC議事録で「利上げが近づいている状況と判断」される一方で、「政策を引き締める状況には依然達していない」と記され、引き続き早期利上げに慎重な姿勢が示されたため一段と下落となり、123.80円水準で引け、終値ベースで25日移動平均線割れとなった。この日のニューヨークダウは162.61ドル安の1万7,348.73ドルで引け、終値ベースとしては今年2月2日以来の安値となった。

 20日は新興国通貨の急落を背景として、世界的な景気減速懸念から、リスク回避の動きが優勢となり、ドル全面安となった。ドル・円は123.30円水準に下落し、約3週間ぶりの安値をつけた。ニューヨークダウは358.04ドル安の1万6,990.69ドルとなり、大幅続落。この日発表された8月15日までの週間新規失業保険申請件数は27万7,000件となり、事前予想の27万1,000件を上回った。

 21日は世界的な株安が進むなか、ニューヨークダウが500ドル以上の暴落となり、ドル売りがさらに進み、ドル・円は121.80円台に急落となり、122円台前半で引けた。

 この日は財新から発表された中国の8月の製造業購買担当者景況感指数(PMI)速報値が47.1となり、事前予想の48.2を下回った。好況と不況の分岐点の50を3ポイント近く下回ったことで、中国の景気懸念が一層強まった。

【ユーロ・ドルは続伸、米早期利上げ観測後退で買い戻され3カ月ぶりの高値】

 ユーロ・ドルは続伸。17、18日は12日までの上昇に対する修正安局面となったが、19日から反騰となり、20日に12日の高値1ユーロ=1.1214ドルを突破し、1.1244ドルまで上昇した。21日には6月22日以来、約3カ月ぶりの高値となる1.1388ドルまで大幅続伸となった。ほぼ高値引けとなり、なお先高感が強いチャートを形成した。

 19日にFOMC議事録公表後、早期の米利上げ観測が後退したことや、世界的な株安でリスク回避の動きが強まり、ユーロが買い戻されたことが急騰の背景。21日にドイツの8月の製造業購買担当者景況感指数(PMI)速報が発表され、53.2となり、事前予想の51.6を大幅に上回ったこともユーロの支援材料になった。

【投機家は円・ユーロとも買い戻し先行=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は8月21日に8月18日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、9万0,130枚となり、8月11日現在の10万5,226枚売り越しから1万5,096枚の急減となった。19日以降、買い戻しの動きが加速する半面、円を買う動きが増えたとみられ、売り越し幅8万枚前後まで減少している可能性あり。欧米時間でも121円まで円高、ドル安が進むと、さらに円の買い戻しが加速し、120円の節目を目指すとみられる。

 シカゴユーロ(CME)市場は8月18日現在、大口投機家の売り越し幅は9万2,732枚となり、8月11日現在の11万5,210枚から2万2,478枚の急減。19日以降、さらにユーロの買い戻しが進んだとみられ、売り越し幅は8万5,000枚程度に減少か。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

25日 
   独第2四半期国内総生産(GDP)確報値
   独8月ifo景況感指数
   米6月住宅価格指数、米6月S&Pケースシラー住宅価格指数
   米7月新築住宅販売件数、米8月消費者信頼感指数
26日 
   NZ7月貿易収支
   米MBA住宅ローン申請件数
   米7月耐久財受注
27日 
   スイス第2四半期国内総生産(GDP)
   米第2四半期国内総生産(GDP)改定値、米新規失業保険申請件数
28日 
   日本7月雇用統計、日本7月有効求人倍率
   日本7月勤労者世帯家計調査、日本7月消費者物価指数
   日本7月小売業販売額
   英第2四半期国内総生産(GDP)改定値
   独8月消費者物価指数速報値
   米7月個人所得・個人支出
   カナダ7月鉱工業製品価格
   米8月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値

2015年8月24日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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