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外為マーケットコラム

ドルは下値堅いが、波乱要因もありリスク管理必要

 8月24日からの週のドル・円は世界的な株安を背景にリスク回避の動きが強まるなか、比較的安全な通貨である円が買い戻され、ドル・円は24日に1月16日以来の安値となる1ドル=116円台前半まで急落となった。しかし週半ばから世界的に株価が反発となると反騰となり、121円台半ばまで戻した。21日の終値122.06円まで戻すことはできなかったが、安値から5円以上の急反発となって引けた。

 中国の景気不安から上海株が急落したことが世界的な株安を招き、為替市場も大パニック状態となったが、ここまではドルの安値拾いに妙味があった格好だ。

 米金利引き上げ観測は強いが、9月の引き上げはないとの見方が支配的になりつつある。8月の米雇用統計が強気の数字となると、10月利上げ観測が強まり、ドルの支援材料となろう。ドルの下値は堅いとみるが、中国経済統計など波乱要因も多リスク管理が必要とされる場面。

 テクニカル指標は長期波動を示す200日移動平均線が通る120.76円(日本時間31日午前11時現在)を回復したが、25日移動平均線が通る123.17円を割り込んだままの状態。また14日間の相対力指数(RSI)は41.80で強気と弱気の分岐点の50を大きく割り込んでおり、テクニカル指標は弱気。

 今週は月替わりとなり、9月2日から米労働市場に関する米経済統計の発表が続く。米利上げの時期に関しての思惑が交錯し、値動きが荒くなる可能性がある。

 9月1日に中国物流購買連合会から8月の製造業、非製造業の購買担当者景況指数(PMI)が発表されるなど複数の中国の経済統計の発表がある。弱気の数字が出ると、一次産品需要の減少不安から商品相場が下落、株式市場では原油など商品関連銘柄中心に売られ、ドル・円は再度120円割れの不安がある。その一方、9月4、5日にトルコのアンカラで開催される20カ国・地域(G20)財務相、中央銀行総裁会議で金融市場を安定させるための声明が発表される期待から株式市場が堅調に推移すると、ドルも安定した値動きとなると予想。

 今週の予想レンジは1ドル=118円台半ばから123円台前半と広めにとった。先週は24日の取引レンジが1日だけでも約4円と値動きが荒かった。ボラティリティ(変動率)が高い相場であり、今週も3円超の値動きは十分にありえよう。抵抗線は122円、25日移動平均線が通る123.25円台。支持線は120円、8月26日の安値118.43円、8月24日の安値116.14円。

【ドル・円は乱高下の後、121円台に反発】

 ドル・円は24日に世界的な株安から金融市場が混乱となり、為替市場もその影響を受け、暴落商状となり、1ドル=116円台前半に急落となった。

 24日は世界的な株安で116円台前半に急落。ニューヨーク時間の午前8時40分(日本時間の午後9時40分)に120円割れとなると、ニューヨーク時間の午前9時15分には116.14円まで急落となり、35分で4円近い値動きとなり、暴落気味の下げとなった。116円台前半から118円台での取引は12時半頃までで116円台前半〜118円台後半での取引は約4時間の短命相場だった。この日は朝方からニューヨークダウが急落し、序盤に1,000ドルを超える下げとなった。二ューヨークダウが下げ幅を縮小したのに合わせ、ドル・円も下値を切り上げ、午後は118円台での取引となり、118.51円で引けた。

 25日は反発。欧州の株価が反発したことを好感し、一時120円台に上昇。ロンドン市場では120.40円まで上昇したが、120円台では売り圧力が強く、ニューヨーク市場では120.10円で頭打ちとなり、118円台後半に値を削り、118.70円台で引けた。この日は中国人民銀行が利下げに踏み切ったが、世界経済の先行き不安感がすぐに払拭されるような状況になく、ニューヨークダウが大幅続落となったことがドルの戻り圧迫要因となった。この日は7月の新築住宅販売件数が発表され、前月比5.4%増加の50万7,000件となり、事前予想の51万件を下回った。6月は48万1,000件と速報値の48万2,000件から下方修正された。

 26日は120円の節目が抵抗線になったが、119.90円台で堅調に引けた。日経平均株価が大幅高になったのに続き、ニューヨークダウも大幅高となり、リスクオンの動きが強まった。この日は7月の米耐久財受注高が発表され、前月比+2.0%(総合)となり、事前予想の+0.4%を大幅に上回った。また6月は4.1%増と速報値の3.4%増から上方修正されたこともドル買いにつながった。

 27日は続伸。第2四半期・米国内総生産(GDP)改定値が予想以上の上方修正となったことや、世界的な株価回復などが好感され、一時、121.40円まで大幅続伸となった。この日、米商務省から発表された第2四半期の米国内総生産(GDP)伸び率改定値は前期比3.7%増加と、速報値の2.3%増から上方修正され、事前予想は3.2%増も上回った。

 28日は続伸。7月の米個人所得・支出の増加など足元の米景気拡大や、日米当局の金融政策の方向性の違いなどを背景に、一時、121.55円まで上昇し、121.50円水準で引けた。この日発表された7月の個人所得は前月比0.4%増。前月は0.4%増。事前予想は0.4%増。個人支出は前月比0.3%増。前月は0.3%増と速報値の0.2%増から上方修正され、事前予想0.4%増も上回った。

【ユーロ・ドルは7カ月ぶり高値つけるも強気の米経済指標で反落】

 ユーロ・ドルは反落。第2四半期の米GDP改定値が上方修正されたのに対して、25日に発表された第2四半期の独GDP改定値は前期比0.4%増にとどまり、速報値と変わらずとなるなど、改めて米国とユーロ圏の景気回復力の差が示されたことでユーロ高は続かず。

 24日に世界的な株安が進み、ニューヨークダウが一時1,000ドルを超える下げとなったことで1ユーロ=1.1714ドルまでユーロ高、ドル安が進み、1月15日以来の高値をつけた。しかし25日からニューヨークダウが持ち直したことで反落となった。25日以降も強気の米経済指標が続出したことでドル買いが優勢となり、軟調な展開となり、28日には1.1154ドルまで下落し、今月20日以来の安値をつけ、1.1182ドルで引け、前週末比値下がりして引けた。

【投機家は円・ユーロとも24日に大量に買い戻し先行=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は8月28日に8月25日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、3万9,059枚となり、8月18日現在の9万130枚売り越しから5万1,071枚の急減となった。24日に120円水準から116円台に円高、ドル安が進んだ局面で大量の買い戻しがあったもよう。投機家の円の買い戻しが円急騰の一因になった。26日以降は再度、円売りの動きが強まったとみられるが、121円前後では円を買い戻す動きも強いとみられる。

 シカゴユーロ(CME)市場は8月25日現在、大口投機家の売り越し幅は6万6,078枚となり、8月18日現在の9万2,732枚から2万6,654枚の減少となり、2週連続での大幅減。24日に1ユーロ=1.1500ドル超えから1.1714ドルまでユーロ・ドルが進んだ局面で大量のユーロ買い戻しが進んだもよう。26日以降は再度ユーロ売りが強まる展開となったとみられる。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

31日 
   スイス8月KOFスイス先行指数
   ユーロ圏8月消費者物価指数
   カナダ第2四半期経常収支
   米8月シカゴ購買部協会景気指数
1日 
   豪8月AiG製造業指数
   中国8月製造業購買担当景気指数
   豪第2四半期経常収支
   豪7月住宅建設許可件数
   中国8月財新製造業購買担当景気指数
   豪中銀(RBA)政策金利
   独8月雇用統計
   ユーロ圏7月雇用統計
   米7月建設支出
   米8月ISM製造業景況指数
2日 
   豪第2四半期国内総生産(GDP)
   ユーロ圏7月生産者物価指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   米8月ADP雇用統計
   米第2四半期非農業部門労働生産性指数
   米7月製造業受注指数
   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
3日 
   豪8月AiGサービス業指数
   豪7月貿易収支、豪7月小売売上高
   ユーロ圏7月小売売上高指数
   欧州中央銀行(ECB)政策金利
   ドラギ総裁記者会見
   カナダ7月貿易収支
   米新規失業保険申請件数、米7月貿易収支
   米8月ISM非製造業景況指数
4日 
   独7月製造業受注指数
   スイス8月消費者物価指数
   ユーロ圏第2四半期域内総生産(GDP)改定値
   米8月雇用統計
   カナダ8月雇用統計
   カナダ8月Ivey購買部協会指数

2015年8月31日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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