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外為マーケットコラム

世界経済不安からリスク回避ムードでドルの戻りは限定的か

 8月31日から9月4日のドル・円は引き続き、世界的に株価が不安定な展開から軟調な値動きとなった。4日に8月26日以来の安値となる1ドル=118.60円水準に下落し、119円水準で引けた。

 4日に米労働省から発表された8月の米雇用統計は失業率が7月の5.3%から5.1%に低下したが、非農業部門の就業者数が前月比17万3,000人増にとどまり、事前予想を大幅に下回った。その数字を受け、ニューヨークダウが大幅安となり、リスク回避の動きが優勢となった。中国は3、4日と休日となったが、中国経済に対しての不安から上海株の下値に対して警戒感が強く、日経平均株価が4日に二番底を取りに行く展開となった。ニューヨークダウは1日に1万6,000ドル割れとなった後、底堅さを示したが、弱気ムードは払拭できないまま、9月第1週の取引を終えた。

 9月7日からの週は7日の米国がレーバーデーで祝日となる。16、17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、引き続き米金利の引き上げの時期に関しての思惑が広がりそうだ。ユーロ圏、中国の経済統計の発表もあり、ユーロ圏、中国の経済統計にも敏感に反応するとみられる。全体的に世界経済に対しての不安は強く、リスク回避ムードは強く、ドルの戻りは限定的か。

 テクニカル指標は長期波動を示す200日移動平均線が日本時間7日午前11時現在、120.80円水準に通っているが、今月2日以降、200日移動平均線を割り込んだままで推移。また8月20日以降、25日移動平均線割れ状態が続き、14日間の相対力指数(RSI)は38%水準で推移し、テクニカル指標は弱気を継続。

 今週の予想レンジは1ドル=117円台後半から121円台後半と予想。先週1週間の値動き幅は約3円。引き続きボラティリティ(変動率)の高さが示されたが、ボラティリティは高く、3円前後の値動きの可能性はあるとみる。抵抗線は120円、200日移動平均線が通る120.80円、25日移動平均線が通る122.50円。支持線は8月25日の安値118.21円、117円、8月24日の安値116.14円。

【ドル・円は軟調、米雇用統計発表後に118.60円水準に下落】

 ドル・円は軟調。8月31日に1ドル=121.60円で取引を開始した後、今月1日に中国経済の先行き不安が再燃し、120円の節目を割り込み、119.20円台に下落、2、3日は120円を挟んでの取引となったが、4日は118.50円台に下落し、軟調な展開を強いられた。

 8月31日は8月のシカゴ購買部協会景気指数が事前予想を下回ったことや株式相場の下げなどに対する強い反応は見受けられず、121円台前半で小動きとなった。シカゴ地区購買部協会から発表された8月の同地区景気指数は54.4となり、事前予想の54.5をわずかに下回った。前月は54.7と6カ月ぶりの高水準だったが、引き続き、高水準な状態を維持。

 9月1日は8月26日以来の安値となる119.20円台に急落。この日は中国国家統計局と物流購買連合会が8月の中国製造業購買担当者指数(PMI)を発表し、49.7となり、前月の50.0から急低下となり、3年ぶりの低水準となったことを受け、同国経済の先行きに対する不安が再燃した。この日、米供給管理協会(ISM)から発表された8月の製造業景況指数は51.1となり、前月の52.7、事前予想52.5とも下回り、ドルの支援材料にならず、長大陰線を引く下げとなり、120円割れで引け。

 2日は反発。東京市場で日経平均が急落後にいったん上げに転じると、リスク回避ムードが後退し、一時120.40円台に上昇した。しかし8月の米ADP雇用統計で民間雇用者数の増加数が予想を下回ったこと、7月の米製造業受注指数が予想を下回ったことが戻り圧迫要因となり、120.30円台で引けた。この日、発表された8月の米ADP雇用統計は前月比19万人増にとどまり、大方の事前予想の同20万人増を下回った。また7月の米製造業受注は前月比+0.4%で大方の事前予想の同+0.9%を下回った。

 3日はドラギ欧州銀行(ECB)総裁の会見を受けてユーロ・円が急落すると、ドル・円はつれ安となり、一時119.60円台に下落。120円台に戻し、120円水準で引けた。この日発表された8月29日までの週の米週間新規失業保険申請件数は28万2,000件となり、大方の事前予想の27万5,000件を上回った。また8月の米ISM非製造業景況指数が発表され、59.0となり、大方の事前予想の58.2を上回ったが、4日に米雇用統計の発表を控え、反応は限定的だった。

 4日は米労働省から8月の米雇用統計が発表され、失業率が5.1%となり、7月の5.3%から低下。事前予想の5.2%も下回ったが、非農業部門雇用者数が前月比17万3,000人増にとどまり、大方の事前予想の21万7,000人増を4万人以上下回った。一時118.60円水準に下落したが、失業率の低下、過去の非農業部門雇用者の伸びが上方修正されたことで119円台前半に下値を切り上げ、かろうじて119円台を維持して引けた。この日のニューヨークダウは大幅安となった。1万6,000ドルの節目が支持線となったものの、今後の動向に不安を残した。

【ユーロ・ドルは続落、追加金融緩和の思惑で約2週間ぶり安値に下落】

 ユーロ・ドルは続落。1日に8月の独製造業PMI改定値の上方修正などを背景に、一時、

 1 ユーロ=1.1313ドルへ切り上がったが、3日の欧州中央銀行(ECB)理事会でドラギ総裁が追加緩和の可能性を示唆するのではとの思惑が上値圧迫要因となり、1日は1.13ドル水準で引けた。またこの日は7月のユーロ圏失業率が10.9%に低下し、2012年2月以来の低水準となったと発表された。2日はドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が翌3日のECB理事会後の会見で追加緩和の可能性を示唆するとの思惑から下値を切り下げ、1.12台前半に下落。その翌3日にはドラギ総裁ECB総裁の会見を受けてECBの追加金融緩和の思惑が一段と強まり、下値を試す動きとなり、8月19日以来の1.11ドル割れに沈み、1.1080ドル台まで下落。4日は8月の米雇用統計で非農業部門就業者数の伸びが鈍化したことを受け、1.1190ドル近くまで反発したが、1.1150ドル水準で引けた。

【投機家は118円台前半の円高となると買い戻しか=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は9月4日に9月1日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、1万5,555枚となり、8月25日現在の3万9,059枚売り越しから2万3,504枚の急減となった。売り越しがピークとなった8月11日現在の10万5,226枚から3週間で8万枚以上の急減。2日以降も買い戻しが先行し、4日現在、売り越し幅は1万枚以下となっているもよう。118円台前半まで円高、ドル安が進むとさらに円の買い戻しが進むと予想される。

 シカゴユーロ(CME)市場は9月1日現在、大口投機家の売り越し幅は6万7,857枚となり、8月25日現在の6万6,078枚から1,779枚の微増。ただし2日以降、ユーロ売り、ドル買いの動きが強まったとみられ、7万枚超の売り越しか。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

7日 
   日本7月景気動向指数速報値
   独7月鉱工業生産指数
8日 
   日本7月経常収支
   日本第2四半期国内総生産(GDP)2次速報
   中国8月貿易収支
   スイス8月雇用統計
   独7月貿易収支、独7月経常収支
   ユーロ圏第2四半期域内総生産(GDP)改定値
9日 
   豪7月住宅ローン許可件数
   英7月鉱工業生産指数、英7月製造業生産指数、英7月貿易収支
   米MBA住宅ローン申請件数
   カナダ銀行(BOC)政策金利
10日 
   NZ準備銀行(RBNZ)政策金利
   日本7月機械受注高
   中国8月消費者物価指数、中国8月生産者物価指数
   豪8月雇用統計
   英中銀(BOE)政策金利、英金融政策委員会(MPC)議事録
   米新規失業保険申請件数、米8月輸入価格指数
11日 
   独8月消費者物価指数
   米8月生産者物価指数
   米9月ミシガン大学消費者信頼感指数
   米8月財政収支
13日 
   中国8月小売売上高、中国8月鉱工業生産指数

2015年9月7日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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