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外為マーケットコラム

日米の金融政策の違いが再認識されるとドル高・円安に傾きやすい

 9月7日からの週のドル・円は7日と8日に1ドル=118円台後半をつける場面があったが、下値を切り上げ、10日に8月31日以来の高値となる121.30円台に上昇し、120円台を維持し、堅調に引けた。

 10日は米利上げ開始観測から121円台に上昇したが、8月の米輸入物価指数の大幅低下などに圧迫され、その日のうちに121円台から120.60円台に反落した。11日は16、17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)待ちムードが強まるなか、120.50円台で取引を終えた。1週間の値動き幅は約3.1円と幾分落ち着いてきた。ニューヨークダウが1万6,000ドル台前半から下値を切り上げ、堅調な値動きとなり、9日に1万6,600ドル台に上昇したことがドルの支援材料となった。ドルは対ユーロでは下落し、全面高ではなかったが、ブラジル通貨のレアルに対し、2002年10月以来の高値をつけるなど、堅調ムードとなった。

 9月14日からの週は16、17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、17日に発表される声明文の内容に注目が集まろう。円サイドからは14〜15日に開催される日銀金融政策決定会合、金融政策が注目されよう。株式市場が安定した値動きとなることが条件ではあるが、追加金融緩和期待が強い日本と、金利引き上げ観測が強い米国との金融政策の違いが再認識されると、ドルは堅調に推移する展開が予想される。

 テクニカル指標は長期波動を示す200日移動平均線が日本時間14日午前11時現在、120.80円水準に通っている。9日から3日連続で200日移動平均線超えとなったが、11日は終値で200日移動平均線をわずかに割り込み、取引を終えている。8月20日以降、25日移動平均線割れ状態ではあるが、徐々に25日移動平均線(14日の午前11時現在121.50円台)に接近している。14日間の相対力指数(RSI)は45水準で推移し、テクニカル指標は弱気ではあるが、中立ムードに転換しつつある。

 今週の予想レンジは1ドル=118円台前半から122円前後と予想。日本で金融政策会合、米国でFOMCのイベント開催があり、値動きが荒くなる可能性はある。日銀の黒田総裁やFRBイエレン議長の発言に敏感に反応する場面もあろう。抵抗線は8月28日の高値121.60円(25日移動平均線とほぼ同値)、122円の節目。支持線は120円、今月4日の安値118.57円、118円。

【ドル・円は堅調、120円台での値固め局面】

 ドル・円は堅調。9日に世界的な株高からリスクオンの動きが強まり、1ドル=120円の節目を突破し、その日に121.20円台に上昇する展開となった。10日に121.30円台で戻り売りにあったが、120円台を維持して、週末を迎える取引となった。

 7日は米国がレイバーデーで祝日となり、模様眺め気分が強いなか、一時119.50円台に上昇し、119.20円台で小高く引けた。

 8日は中国の株価下支えによる世界的な株高などを背景に、東京市場から欧州市場では一時120.20円台に上昇した。世界的な株価の上昇が支援材料となったが、120円台ではドル売り圧力が強く、119.90円台で引けた。

 10日は米利上げ観測の強まりから121.30円台に上昇したが、121円台は維持できず、120.60円台で小高く引けた。5日までの週の米週間新規失業保険申請件数が27万5,000件となり、前週の28万1,000件(修正件数)を下回ったが、事前予想の27万5,000件と同じでインパクト薄。8月の米輸入物価指数が1月以来の大幅なマイナスとなり、前年同月比では11.4%低下と2009年以来の大幅な落ち込みとなったことで米利上げ観測がやや後退したことがドル売りにつながった。

 11日は120円台半ば〜後半の極めて狭いレンジ内でのもみあい。120.90円台で戻り売りにあい、上値は重い展開ながら3日連続、120円台で推移し、値固め局面となった。この日は9月の米ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)が発表され、85.7となり、1年ぶりの低水準となり、前月からの下げ幅が2012年末以来で最大となったが、特にドル売り圧力は強まらなかった。

【ユーロ・ドルは堅調、V字形の急反発】

 ユーロ・ドルは堅調。今月4日に8月20日以来の安値となる1ユーロ=1.1119ドルまで下落したが、V字形の急反発となり、11日には今月1日以来の高値となる1.1340ドル台まで上昇し、1.1330ドル台で11日の取引を終えた。8日に発表された4−6月期のユーロ圏域内総生産(GDP)改定値が前期比0.4%増となり、速報値0.3%増から上方修正されたことが支援材料。また8日はドイツの7月の輸出が発表され、前月比2.4%増となり、事前予想の1.0%増を上回り、輸出の好調さが裏付けられたこともユーロにとっては支援材料となった。9日以降はテクニカル要因主導となるなか、10日は8月の米輸入物価指数が1月以来の大幅なマイナスとなったことが、ユーロ買いにつながった。テクニカル要因は25日移動平均線(1.1229ドル水準)、200日移動平均線(1.1243ドル水準)を突破、14日間の相対力指数(RSI)は10日に50超え、11日には56.55まで上昇し、強気転換を示唆した。

 今週は14日に7月のユーロ圏鉱工業生産指数、15日に7月のユーロ圏貿易収支、9月の独ZEW景況感指数、16日に8月ユーロ圏の消費者物価指数の発表がある。

【投機家は121.50円より円安が進むと投機家は円売りか=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は9月11日に9月8日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、6,652枚となり、9月1日現在の1万5,555枚売り越しから8,893枚の急減となった。ただし9日以降は1ドル=120円台中心の取引となり、円売りが増加したもよう。121.50円より、さらに円安、ドル高が進むと、円売りが増加か。

 シカゴユーロ(CME)市場は9月8日現在、大口投機家の売り越し幅は8万1,241枚となり、9月1日現在の6万7,857枚から1万3,384枚の急増。ただし9日以降は買い戻しが進んだもよう。売り越し幅は7万枚前後に減少か。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

14日 
   日本7月鉱工業生産指数確報値
   スイス8月生産者・輸入価格、スイス7月小売売上高
   ユーロ圏7月鉱工業生産指数
15日 
   豪中銀(RBA)理事会議事録
   日銀金融政策決定会合(14〜15日)・金融政策発表
   黒田日銀総裁記者会見
   英8月消費者物価指数、英8月小売物価指数、英8月生産者物価指数
   ユーロ圏7月貿易収支
   独9月ZEW景況感指数
   米8月小売売上高、米9月NY連銀製造業景気指数
   米8月鉱工業生産・設備稼働率
16日 
   NZ第2四半期経常収支
   豪8月ウェストパック先行指数
   英8月雇用統計
   ユーロ圏8月消費者物価指数
   米MBA住宅ローン申請件数
   カナダ7月製造業出荷
   米8月消費者物価指数
   米7月対米証券投資
17日 
   NZ第2四半期国内総生産(GDP)
   日本8月貿易収支
   スイス銀行政策金利
   英8月小売売上高指数
   米第2四半期経常収支、米8月住宅着工・建設許可件数
   米新規失業保険申請件数
   米9月フィラデルフィア連銀景況指数
   米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表
   イエレン議長記者会見
18日 
   日銀金融政策決定会合議事要旨(8月6・7日分)
   ユーロ圏7月経常収支
   カナダ8月消費者物価指数
   米8月景気先行指数

2015年9月14日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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