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外為マーケットコラム

年内の米金利引き上げのシナリオならドル高・円安に傾きやすい

 9月14日からの23日までドル・円は1ドル=120円を挟んでのもみあい。16、17日に米連邦公開市場(FOMC)が開催され、17日に発表された声明文で9月の米利上げ見送り決定が明らかになった。それを受け18日には119.01円までドル安、円高が進んだが、ドルは下値堅く推移した。21日以降は日本が大型連休となったこともあり、方向性を欠く展開となっている。

 サンフランシスコやセントルイス連銀総裁など複数の米当局者が年内の利上げを見込む一方で、インフレ鈍化、米国の景気回復力維持に対し不安があることや、世界経済のリスクの高まりなどを背景に日銀の追加緩和観測が広がっていることから、日米当局の金融政策の方向性の違いに下支えられた。

 24、25日は複数の米経済統計の発表があり、強気の数字が出ると年内の米利上げ観測の強まり、ドルが買われやすくなり、再度121円に接近する可能性がある。9月の米利上げ見送りは既に織り込まれ、今後は年内の米利上げがあるかないかが焦点となろう。年内の米金利引き上げのシナリオならドル高・円安に傾きやすいとみる。

 今週の予想レンジは1ドル=118円台後半から121円前後と予想。24日の午前11時現在、5日間、25日移動平均線が120.20円水準に通っているが、その水準で推移しており、現在は中立。抵抗線は今月17日の高値120.99円、8月31日の高値121.68円。支持線は今月18日の安値119.01円、今月4日の安値118.57円。

【ドル・円はしっかり、120円水準で推移し中立】

 ドル・円はしっかり。9月の米利上げが見送られ、18日に1ドル=119円の節目に接近するまで軟化した。19日以降も119円台に下落する場面が幾度もあったが、119円台半ばで買い拾われる展開が続いている。

 15日は8月の米小売売上高が発表され、前月比0.2%増加となった。大方の事前予想の同0.3%をわずかに下回ったものの、2カ月連続して前月比で増加となり、国内総生産(GDP)の約7割を占める消費が堅調に推移していることが確認されたことがドル買いにつながった。その一方、ニューヨーク連銀が発表した9月の同州製造業景気指数がマイナス14.67となり、2カ月連続して大幅なマイナスとなった。また8月の鉱工業生産指数は前月比0.4%低下となり、事前予想の0.2%低下を上回る低下となったが、ニューヨークダウが200ドル以上の上昇となったことに支援され、ドル・円は120.40円台に強含みとなり、ほぼ高値引けとなった。

 16日はニューヨークダウ続伸に支援され、120.70円台に続伸。17日は120.99円まで買い進まれ、今月10日以来の高値をつけたが、FOMCで9月の米金利引き上げ見送りの声明が発表されると、119.80円台に下落し、119.80円台で引けた。18日は119.01円まで続落後に週末を控えた買い戻しで120円台に反発もニューヨークダウが300ドル近い急落となり、ドルの上値は重く、119.90円台で、この週の取引を終えた。

 21日は日本が祝日となるなか、日米当局の方向性の違いやニューヨークダウの反発で一時120.60円台に上昇し、120.50円台で引けた。この日は8月の中古住宅販売件数が発表され、前月比4.8%減少の531万件となり、事前予想の550万件を下回った。22日はニューヨークダウの続落で一時119.70円台に反落した。安値を離れ、かろうじて120円台を維持して引けた。22日と23日は120円台前半から半ばでもみあい。23日に9月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値が発表され、大方の事前予想の52.8をわずかに上回る53となったが、前月と変わらずの53となり、インパクトは弱く、特に材料視されず。

【ユーロ・ドルは軟調、量的緩和の延長観測で】

 ユーロ・ドルは軟調。9月の米利上げ見送りが決定したことで、18日に1ユーロ=1.1460ドルまで下落し、8月26日以来のユーロ高、ドル安となったが、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和的な政策に変わりはないことが再認識され、その日のうちに1.1260ドル台に急落となり、長大陰線を引く下げとなった。

 21日以降もユーロ安、ドル高の流れが続き、23日には今月4日以来の安値となる1.1102ドルまで下落した。23日は9月のユーロ圏総合PMI速報値が発表され、53.9となり、市場予想の54.0を下回った。しかし7月からの3カ月平均は約4年ぶりの高水準となったことで、7−9月期・域内経済はプラス成長となる公算や、ECBの政策委員会メンバーでノボトニー・オーストリア中銀総裁が量的緩和(QE)拡大に慎重姿勢を示したことが支援材料となり、安値を離れて引けた。

 ゴールドマン・サックス・グループがECBはインフレ目標に見合うため資産購入プログラムを当初想定の2016年9月末まででなく同年末まで継続し、完全に停止するのは2017年半ばになるとの見方を示すなど、市場ではECBによる量的緩和の延長観測が広がっていることがユーロ売りの背景になっている。

【121円台では投機家からの円売り圧力が強い=CME】

 米商品先物取引委員会(CFTC)は9月18日に9月15日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、2万6,814枚となり、9月8日現在の6,662枚売り越しから2万152枚の急増となった。9、10日に121円台をつけた場面で円売りの動きが増えたもよう。ただし17日以降は円を買い戻す動きが強まったようだ。現在は円の売りポジションを維持し、次の方向性が出るのを待つ投機家が多いもよう。引き続き、121円台では円売り圧力が強い展開か。

 シカゴユーロ(CME)市場は9月15日現在、大口投機家の売り越し幅は8万4,202枚となり、9月8日現在の8万1,241枚から2,961枚の増加。1ユーロ=1.1000ドルの節目を割り込むと、ユーロ売りが増加することが予想される。

 今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。

24日 
   独9月ifo景況感指数
   米8月耐久財受注、米新規失業保険申請件数
   米8月新築住宅販売件数
25日 
   日本8月消費者物価指数
   米第2四半期国内総生産(GDP)確報値
   米9月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値

2015年9月24日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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