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外為マーケットコラム

投機家はドル売り仕掛けのタイミング待つ

 10月12日の週のドル・円は14日に9月の米小売売上高が事前予想を下回ったことをきっかけに1ドル=118.60円台に急落。翌15日には118.07円まで続落となり、8月24日以来の安値をつけた。米雇用統計に続き、米景気が減速していることを裏付ける経済指標の発表で年内の米利上げ観測がさらに後退し、ドル安が進みやすい環境となった。ただし16日は10月のミシガン大消費者信頼感指数が改善を示したこと、ニューヨークダウが8月20日以来の高値を更新したことに支援され、119.60円台まで反発し、119.40円台で取引を終えた。安値から切り返した格好となったが、終値ベースで25日移動平均線が通る120円水準をわずかに割り込み、14日間の相対力指数(RSI)は43.5と強気と弱気の分岐点の50を大きく下回っている。週足は陰線引けとなり、再度ドル売りが強まりやすいチャートだ。

 2日に米労働省から発表された9月の米雇用統計は失業率が前月から横ばいの5.1%、非農業部門の就業者の増加数は8月に続き、米労働市場の活況を示す分岐点の目安とされる20万人増を大幅に下回った。

 ユーロ・ドルは年内の米利上げ観測の後退で14日に1ユーロ=1.4890台後半に上伸し、8月26日以来の高値をつけた。しかし15日に欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバーのノボトニー氏が「コアインフレは目標を下回っている。追加の政策手段が必要」との発言したことを受け、急落となった。16日は強気の米経済指標の発表を受け、ドル買い、ユーロ売りが進み、1.1330ドル台に下落し、12日の終値をわずかに下回って引ける波乱の展開となった。

【主要経済指標・イベントレビュー】
10月13日 
     独ZEW独景況感指数(10月)は1.9に大幅低下、1年ぶり低水準
10月14日 
     米小売売上高(9月):総合は前月比+0.1%(事前予想は+0.2%)
                自動車除くは前月比−0.3%(事前予想は−0.1%)
     米生産者物価指数(9月):総合は前月比−0.5%(−0.2%)
                  コアは前月比−0.3%(+0.1%)
10月15日 
     10月10日までの週間新規失業保険申請件数は25万5,000件。
     (事前予想は27万人)
     米消費者物価指数(9月):総合は前月比−0.2%(事前予想−0.2%)
                  コアは前月比+0.2%(+0.1%)
10月16日 
     米鉱工業生産(9月):前月比−0.2%(事前予想は−0.2%)
     米ミシガン大消費者信頼感指数(10月、速報値):92.1(事前予想は89.0)

【10月19日からの週の注目ポイント】
10月20日 
     米住宅着工件数・建設許可件数(9月)  ☆☆☆
10月21日 
     日本貿易収支(9月)  ☆☆
     米MBA住宅ローン申請件数  ☆☆
10月22日 
     欧州中央銀行(ECB)政策金利   ☆☆☆
     ドラギ総裁記者会見  ☆☆☆
     米週間新規失業保険申請件数  ☆☆
     米中古住宅販売件数(9月)  ☆☆
     米景気先行指数(9月)  ☆☆
10月23日 
     日本景気動向指数(8月)  ☆
*重要度を3段階で表示

【ドル・円の予想レンジ】
 今週の予想レンジは1ドル=117円台半ば〜120円後半。安値を離れたが、心理的な節目である120円割れで16日の取引終えており、なおドル売り仕掛けのタイミングを待つ投資家が多いとみる。米経済指標が弱気の数字になると、ドル売り圧力が強まろう。22日にECBの政策金利の発表があり、ECBドラギ総裁からさらなる金融緩和を示唆する発言があると、ドル買い、ユーロ売りの動きが強まる可能性がある。20日に発表される9月の米住宅着工件数・建設許可件数に注目。住宅は自動車と並ぶ大型消費財であり、米国の消費動向を示す重要指標だ。9月の日本の貿易収支の発表があるが、円は為替市場の主役から外れており、材料視されにくいと予想。19日には米利上げ支持派とされる米リッチモンド連銀のラッカー総裁の講演がある。米当局者の金融政策に対する発言に注意が必要だ。
 日本時間19日の午前11時に中国の第3四半期・国内総生産が発表され、前年比6.9%となり、大方の事前予想の同6.8%を上回った。6年半ぶりの低水準であり、欧米市場での株式、為替市場での反応を確認したい。

【円と日経平均株価】
 日経平均株価は1万8,000円割れとなり、15日に今月2日以来の安値となる1万7,758.12円まで下落したが、底堅く推移。9日の高値1万8,438.67円が抵抗線。円高の進行が気掛かりではあるが、ニューヨークダウが堅調に推移なら大きな崩れはなく、1万8,000円割れは買い支えられる展開か。

【米株】
 米株式市場は堅調に推移した。ニューヨークダウは14日に1万6,887.67ドルまで下落し、今月8日以来の安値をつけたが、15日に1万7,000ドル台を回復し、16日には8月20日以来の高値となる1万7,220.02ドルまで上昇し、高値圏で引けた。今週は米企業の第3四半期の企業決算が活発化し、米経済指標とともに注目要因。

【円の売り越し幅が減少=CME】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は10月16日に10月13日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円(CME)市場で大口投機家の円の売り越し幅は、1万3,832枚となり、同月月6日現在の1万7,599枚売り越しから3,767枚の減少となった。14、15日の2日間は買い戻しが進んだもよう。買いに転じた投機家もおり、売り越し幅は1万枚前後まで減少の可能性あり。

 シカゴ・円建て日経平均株価の大口投機家は10月13日現在、3万3,994枚の買い越し。同月6日現在、3万4,628枚の買い越しから634枚の減少。14日以降は売買が交錯し、3万4,000枚程度の買い越しか。

2015年10月19日

(インベステック/森 成俊)

株式会社インベステック 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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