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外為マーケットコラム

米利上げ観測後退、FRB議長の講演に注目

 5月30日の週のドル・円相場は30日に4月28日以来の高値となる1ドル=111.45円まで上昇したが、1日に安倍首相が消費増税延期表明をしたことで109.01円まで下落し、110円台での取引は長く続かなかった。3日に米労働省から発表された5月の雇用統計で非農業者部門の就業者数が前月比3万8,000人増加にとどまった。事前予想の15万5,000〜16万人増を大幅に下回ったことで今月の利上げ観測が後退し、ドル売りが殺到し、5月6日以来の安値となる106.40円台まで急落となった。ドルは対ユーロでも急落となり、5月後半から終盤にかけてのドル高ムードから一転し、ドル安ムードとなった。

【ドル・円の予想レンジ】
 今週の予想レンジは、1ドル=105円前後〜108円台半ば。5月の米雇用統計が米労働市場の回復力が鈍化を示したことで、今月14、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りの可能性が高くなり、ドルが売られやすい環境になった。6日にイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が米フィラデルフィアで講演を予定しており、急速に鈍化した米雇用情勢を受け、今後の金融政策に関してどのような見解を示すかが注目される。5月3日の安値105.51円が当面の安値のメドだが、投機家のドル売りが加速すると、105円の節目を目指して下落か。
 テクニカル指標から抵抗線は107円の節目、5日間移動平均線が通る108.40円、25日移動平均線が通る108.90円。支持線は105.51円、2014年5月15日の安値105.18円、104円。2014年9月5日の安値104.66円。

【主要経済指標・イベントレビュー】
5月31日 米個人所得(4月):前月比+0.4%、支出は前月比+1.0%
     シカゴ購買部協会景気指数(5月):49.3(事前予想50.5)
     独失業者数は前月比1万1,000人減、(事前予想5,000人減)
     独失業率は6.1%に低下、過去最低更新
6月1日 米ISM製造業景況指数(5月):51.3(事前予想50.3)
     米建設支出(4月):前月比−1.8%(事前予想+06%)
     米地区連銀経済報告:多くの地区で景気は緩やかに拡大
     インフレ圧力が若干強まる
     労働市場はひっ迫、緩やかな伸びにもかかわらず
  2日 ECB理事会:政策金利を0.00%に据え置く
     米ADP雇用統計(5月):17万3,000人増(事前予想17万3,000人増)
     米週間新規失業保険申請件数:26万7,000件(事前予想26万件)
     米雇用統計(5月):失業率は4.7%(事前予想4.9%)
           非農業部門雇用者数は3万8.000人増加(事前予想16万人増)
     米ISM非製造業景況指数(5月):52.9(事前予想55.3)

【6月6日からの週の注目ポイント】
6日 独製造業受注指数(4月)               ☆
   イエレンFRB議長講演               ☆☆☆
7日 日本景気動向指数速報値(4月)           ☆☆
   独鉱工業生産指数(4月)               ☆
8日 日本国内総生産(GDP)第1半期2次速報      ☆☆
   中国貿易収支(5月)                ☆☆
9日 日本機械受注高(4月)               ☆☆
   中国消費者物価指数・生産者物価指数(5月)     ☆☆
   米新規失業保険申請件数               ☆☆
10日 独消費者物価指数(5月)               ☆
   米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(6月)   ☆☆☆
   米財政収支(5月)                 ☆☆
12日 中国鉱工業生産指数・小売売上高(5月)      ☆☆☆
*重要度を3段階で表示


【6月に入り米国は夏休みシーズンで消費拡大の季節到来】

【日経平均株価】
 5日30日の週は30日に1ドル=111円台半ばまで円安が進行したことを好感し、1万7,000円台を回復した。31日には4月28日以来の高値となる1万7,251.36円まで上昇し、1万7,200円台で引けたが、今月1日に1万7,000円割れとなり、高値修正局面入り。2日は円相場が108円台半ばまで円高の進行を受け、チャート上にギャップ(窓)を空け、1万6,500円台に急落。
 5月のレンジ内での取引が続くと予想。1万6,000円水準では安値を買い拾う動きが強まることを期待。3日の引け時点で日経平均株価の採用銘柄の株価純資産倍率(PBR)は1.14倍。1倍、または1倍割れまで低下すると割安感が強まり、打診買いの動きが強まる展開か。配当利回り(3日現在、平均利回り1.81%)、株価収益率(PER)(同13.94倍)にも注目したい。

【米株】
 米株式市場は下値堅く推移。ニューヨークダウは5月31日に同月11日以来の高値となる1万7,899.24ドルまで上昇したが、1万8,000ドル台を回復する上伸力はなく推移。原油高が支援材料となった日があったが、原油相場が高値調整局面となったことや5月の米雇用統計が大幅な鈍化を示したことが圧迫要因となった。1日の安値1万7,664.79ドルが支持線となり、下値は堅い商状だった。米利上げ観測が後退したことは強材料ではあるが、足元の米労働市場の弱さが示され、夏場の個人消費に不安があり、上値は重い展開か。50ドル台で定着できなかった原油相場の動向もカギを握ろう。今月1日の安値1万7,644.79ドルを下抜くと、1万7,500ドルを目指す下げになると予想。5月19日の安値1万7,331.07ドルが強い支持線になるとみる。

【大口投機家】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は3日に5月31日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円の大口投機家の買い越し幅が1万4,837枚まで減少。円の買いポジションの整理が目立つ。同月24日現在の2万2,059枚から7,222枚の減少。4月19日現在の7万1,870枚をピークに減少傾向続く。ただし今月に入り、買いポジションが急増か。1カ月半続いた円の買い越し幅減少から新規買い方針に転換か。

2016年6月6日

(みんかぶ/森 成俊)

株式会社みんかぶ 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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