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外為マーケットコラム

円を安全通貨として買う動きが根強い

 7月4日の週のドル・円相場は8日に1ドル=100円の節目を試す下落となり、99.99円をつけ、100.50円台で引けた。強気の米雇用統計からニューヨークダウが1万8,000ドル超えとなったことがドルの支援材料となったが、円は対ユーロでも上昇し、円高の勢いは止まらなかった。ユーロ・ドルは8日に1ユーロ=1.100ドルの節目を試すまで軟化し、6月27日以来の安値をつけ、軟調な展開となった。

【ドル・円の予想レンジ】
 今週は自律修正高から1ドル=101円台に反発する可能性はあるが、円を安全通貨として押し目を買う動きは根強いとみる。ニューヨークダウが1万8,000ドル台から一段高となるかに注目したい。予想レンジは1ドル=98円台半ば〜102円台前半。英国のEU離脱に伴う世界景気の減速リスク、米国、中国の経済指標が注目されよう。日本の政府当局者から円売り介入発言が出ると、一時的に円安に向かう可能性はあるが、円安は修正安の域にとどまり、円安の流れへと劇的に変わるとは考えにくい。
 テクニカル指標から抵抗線は8日の高値101.26円、102円の節目、5日の高値102.58円、支持線は8日の安値99.99円、6月24日の安値98.98円。

【主要経済指標・イベントレビュー】
5日 米製造業受注指数(5月):前月比−1.0%
6日 米ISM非製造業景況指数(6月):56.5
   FOMC議事録公表:雇用統計は不安定さが高まる可能性も
           利上げは適切、成長加速なら
           さらなるデータを待つのが賢明
7日 米ADP雇用統計(6月):17万2,000人増
   米週間新規失業保険申請件数:25万4,000件
8日 米雇用統計(6月):失業率は4.9%
            非農業部門雇用者数は前月比28万7,000人増(事前予想17万人増)
            5月は速報値の3万8,000人増から1万1,000人増に下方修正

【7月11日からの週の注目ポイント】
12日 独消費者物価指数(6月)               ☆
13日 中国貿易収支(6月)                ☆☆
   ユーロ圏鉱工業生産指数(5月)           ☆☆
   米財政収支(6月)                 ☆☆
   米地区連銀経済報告(ベージュブック)         ☆☆
14日 米新規失業保険申請件数               ☆☆
   米生産者物価指数(6月)              ☆☆
15日 中国鉱工業生産指数・小売売上高(6月)       ☆☆
   中国第2四半期国内総生産(GDP)           ☆☆☆
   米小売売上高(6月)               ☆☆☆
   米消費者物価指数(6月)              ☆☆
   米NY連銀製造業景気指数(7月)          ☆☆
   米鉱工業生産・設備稼働率(6月)          ☆☆
   米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(7月)    ☆☆
*重要度を3段階で表示


【ウォール街のシンボル・雄牛のオブジェ。チャージングブル!】

【日経平均株価】
 7月4日の週は軟調に推移した。6日にニューヨークダウの下落を受け、チャート上にギャップ(窓)を空け、安寄りした後、円高から下げ幅を拡大し、1万5,167.98円まで下落した。7、8日も続落となり、8日には6月28日以来の安値となる1万5,106.52円まで下げ幅を拡大した。
 1万5,000円の節目、6月24日の安値1万4,864.01円が支持線。円高進行による輸出型企業の業績の悪化、英国のEU離脱による世界経済への不安、中国の景気減速から戻り売り圧力が強い展開か。ニューヨークダウが8日に4日20日の高値1万8,167.63ドルにほぼ顔合わせとなる1万8,166.77ドルまで上昇したが、一段高となると、買い戻し要因になる。11日の上昇で6日にチャート上で空けたギャップ(窓)をほぼ上に埋める展開だが、今月4日の高値1万5,805.31円、1万6,000円の節目が抵抗線。

【米株】
 米株式市場は堅調な展開となった。ニューヨークダウは6日に1万7,713.45ドルまで下落し、6月30日の安値1万7,711.80ドルに顔合わせしたが、6月の米ISM非製造業景況指数が7か月ぶりの高水準となったことや原油高に支援され、その日のうちに反発した。7日は1万8,000ドルが抵抗線となり、小安くなったが、8日は米労働市場の拡大を好感し、1万8,000ドル超えとなった。4月20日の高値1万8,167.63ドルが抵抗線ながら、終値では昨年5月27日以来の高値となった。
 引き続き原油相場の動向が材料視されるとともに、6月の米小売り売上高など、米経済指標が材料視されよう。また米企業の第2四半期の企業業績の発表が本格化し、注目されるとみる。

【大口投機家】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は8日に5日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円の大口投機家の買い越し幅が6月28日現在の5万9,750枚から6万3,568枚まで増加した。安全通貨である円の買い意欲の強さが示された。6日以降も円買いの動きは継続されているとみられ、買い越し幅は8日現在、6万5,000枚以上に増加か。ニューヨークダウが上値を追う展開となるなど、ドルの支援材料が出ると、利食い売りが出るが、投資家の円の押し目買いは強く、下値は堅いとみる。

2016年7月11日

(みんかぶ/森 成俊)

株式会社みんかぶ 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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