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外為マーケットコラム

ドル・円は100円前後の円高も

 先週のドル・円相場は7月29日に101.97円と11日以来の水準へ下落し、6月7日以来の高値(107.49円)を付けた1週前の流れから一変。米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場の予想通り利上げが見送られる一方、日銀金融政策決定会合では追加緩和が決定されたものの、市場の期待に応えることができず。政府がまとめる大規模な経済対策と日銀追加緩和のパッケージでドル高・円安が進行するというもくろみは不発となり、それほど強まっていなかった円安期待も急速にしぼんでしまった。過去15年間、8月は前月からドル安・円高に振れる傾向が見受けられる。チャート上では、一目均衡表の雲の中に入れそうで入れない状態が続いた後、下放れてしまい、戻りの重さがうかがえる。目先は失望感からのドル売り・円買いの動きに押されやすく、100円前後まで切り下げるかもしれないが、政府・当局の動きが警戒されることなどから、100円を大きく割り込むようなことにはならないのでは。下値のめどとして、一目均衡表の雲の上限96円台前半や節目95円、2011年安値から2015年高値の上昇幅に対する3分の2押し水準(92.34円)などが挙げられるかもしれないが、極端なドル安・円高が進行していくような状況ではないだろう。

【経済対策への期待感なく】
 安倍首相は7月27日、経済対策について「財政措置の規模で13兆円、事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策を来週取りまとめたい」と発言。ただし、市場には歓迎ムードはない。経済対策の規模と効果に懐疑的な見方が多いためで、事業規模の真水の部分は5〜6兆円、期間は単年ではなく複数年にわたるとの声が多く聞かれる。震災の復旧・復興やリニア中央新幹線の全線開業の8年間の前倒しなど即効性に疑問があり、むしろ先行きの財政悪化などへ懸念が強い。企業は先行き不安から内部留保を増やしに増やし、なかなか賃金が上昇しないなかで消費が盛り上がる気配もない。将来への明るい兆しが見えず、2012年のアベノミクス発表後のような日本経済への期待感はない。

【日銀はETF購入額を6兆円に拡大、マイナス金利は据え置く】
 日銀は28〜29日開催の金融政策決定会合で、マイナス金利導入を決定した1月以来となる追加緩和に踏み切った。指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ額を従来の年間3.3兆円から6兆円に拡大することを決めるも、長期国債保有残高の買い入れ増加ペースや、0.1%のマイナス金利は据え置いた。また、経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2016年度の物価見通しを従来の0.5%から0.1%に引き下げ、2017年度、2018年度の見通しは据え置いた。黒田総裁は会合後の記者会見で、2%の物価安定目標実現の約束を変更する考えはないと強調する一方、さらなる金融政策について「必要なら措置を取る」と語った。市場の反応を見てもわかるように、今回の決定は最低限のもので、失望感は否めない。また、日銀の政策に対する出し尽くし感や手詰まり感も強く、デフレ克服に向けた道のりは遠のいてしまったかのようだ。

【米利上げは12月か】
 先週26-27日開催のFOMCでは、主要政策金利のフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標水準が0.25〜0.50%に据え置かれ、引き続き緩やかなペースでの利上げスタンスが維持された。声明文によると、労働市場が力強さを増し、経済活動が緩やかなペースで拡大する一方、インフレは2%の目標を下回り続けており、引き続き世界経済・金融の動向を注意深く監視していくとのこと。短期的な米経済見通しへのリスクが後退したとの認識が示されたが、ドル指数が低下しているのを見る限り、市場はハト派的な内容と受け止めたようだ。7月と8月の米雇用統計次第では、次回9月の会合での利上げの可能性が高まるかもしれないが、11月には米大統領選挙を控えている。民主党候補のクリントン氏、共和党候補のトランプ氏と嫌われ者同士の戦いは先行きが読めないうえに、トランプ氏が選ばれたらと考えるだけでぞっとするところ。引き続き英国の欧州連合(EU)離脱選択を受けた不確実性の高まり、各地で相次ぐテロ関連の事件など、先行きの経済に悪影響をもたらす恐れのある材料に事欠かないのが現状だ。何も問題が出てこなくても、大統領選挙後の12月の利上げが妥当ではないか。

【主要経済指標・イベントレビュー】
26日 S&P/ケースシラー米住宅価格指数(5月):前年比+5.2%
   米新築住宅販売件数(6月):前月比+3.5%の59万2,000件
   米消費者信頼感指数(7月):97.3
27日 英GDP速報(第2四半期):前期比+0.6%
   米耐久財受注(6月):総合は前月比-4.0%
              輸送用機器除くは前月比-0.5%
              コア資本財は前月比+0.2%
28日 独雇用統計(7月):失業者数は7,000人減
   独消費者物価指数速報(7月):前月比+0.3%
   米週間新規失業保険申請件数:26万6,000件
29日 日本全国消費者物価(6月):総合前年比-0.4%、コア前年比-0.5%
   東京都区部消費者物価(7月):コア前年比-0.4%
   日本家計調査・消費支出(6月):前年比-2.2%
   ユーロ圏消費者物価指数速報(7月):前年比+0.2%
   米GDP速報(第2四半期):前期比+1.2%
   シカゴ購買部協会景気指数(7月):55.8
   ミシガン大消費者信頼感指数確報(7月):90.0

【8月1日からの週の注目ポイント】
1日 中国製造業購買担当者景気指数(PMI、7月)    ☆☆
   独製造業PMI改定(7月)             ☆☆
   ユーロ圏製造業PMI改定(7月)          ☆☆
   英製造業PMI改定(7月)             ☆☆
   米ISM製造業景況指数(7月)          ☆☆☆
   米建設支出(6月)                 ☆
2日 豪準備銀行、政策金利発表            ☆☆☆
   英建設業PMI(7月)               ☆☆
   米個人所得・消費支出(6月)          ☆☆☆
3日 米ADP雇用統計(7月)             ☆☆☆
   米ISM非製造業景況指数(7月)         ☆☆☆
4日 欧州中央銀行(ECB)月報               ☆
   英中銀、金融政策発表              ☆☆☆
   米週間新規失業保険申請件数            ☆☆
   米製造業受注(6月)               ☆☆
5日 独製造業受注(6月)               ☆☆
   米雇用統計(7月)               ☆☆☆
   米貿易収支(6月)                ☆☆
*重要度を3段階で表示


【NYクィーンズの住宅街。近年はクィーンズの住宅価格、家賃も上昇傾向】

【米経済指標は強弱まちまち】
 先週発表された複数の米経済指標は強弱まちまちで、早期の米利上げが高まるようなムードは強まらず。6月の新築住宅販売件数は2008年2月以来の高水準となり、歴史的な低金利を背景にした住宅取得意欲に衰えは見られない。23日までの週の新規失業保険申請件数は前週から増加も、よりブレの少ない4週間平均は前週比1,000件減の25万6,500件と、1973年以来の低水準となった4月以来の低いものとなり、5日に発表される7月の雇用統計での非農業部門雇用者数が注目されるところ。
 一方、6月の耐久財受注は前月比4.0%減と2014年8月以来の大幅な落ち込み。市場が注目する設備投資の先行指標となるコア資本財(航空機を除く非国防資本財)は3カ月ぶりに改善も、世界経済の先行き不透明さや米大統領選挙を控え、企業の投資活動が慎重になっていることがうかがえる。また、4−6月(第2四半期)・米実質国内総生産(GDP)伸び率速報値は年率換算で前期比1.2%増と市場予想(2.6%増)を大きく下回り、第1四半期は1.1%増から0.8%増へ下方修正された。個人消費の高い伸びも、企業が設備投資の慎重さが足かせとなった。GDPは3四半期連続して2%成長を下回り、景気回復力の弱さが明らかになった。

2016年8月1日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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