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外為マーケットコラム

年内の米利上げ観測もドル高・円安進みにくい

 先週のドル・円相場は8日に一時、102.66円とほぼ1週間ぶりの水準を回復。5日発表の7月の米雇用統計が予想以上に強い結果となり、年内の米利上げ観測が強まったことや、米株式相場が再び高値を更新したことなどが背景となった。ただし、年内の米利上げに関する市場の予想は五分五分のようで、引き続き8月の米雇用統計など今後発表される経済指標を見極める必要がある。11月には米大統領選挙を控え、利上げを正当化する強い数字が出てこない限り、早期利上げは難しいだろう。12日には、複数の米経済指標の予想外の弱さから、ドル・円は一時、100円台に再び下落した。市場の関心は、26日に予定されている米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の講演へと移りつつあるなか、年内1度の米利上げの可能性だけでは、ドル高・円安の進行は期待できない。

【100円割れを意識】
 ドル・円相場の戻りが鈍いだけに、100円割れが意識される状況に変わりはない。足元の米雇用拡大ペースが続いていることや、超低金利を活かした米住宅市場の強さなども、その他の米指標の弱さや、インフレが2%の目標に及ばない状況、FRBが利上げを急がない姿勢に変わりもなく、ドルが買い進まれていくような決め手となる要因は見当たらない。
 市場では、日本銀行が9月20-21日の金融政策決定会合で行う「総括的検証」をめぐり、大規模な緩和を期待する向きが多いようだ。ただし、日銀の国債保有額は、今年3月末時点の対名目国内総生産(GDP)の70%近くと、FRBや欧州中央銀行(ECB)の10%前後に比べると突出しており、さらに増やし続けることにはいくぶん懐疑的だ。金融緩和を続けても物価が上昇せず、国民のデフレマインドの強さとインフレ期待の低さ、量的緩和政策の手詰まり感も強く、追加緩和でも円安が進まない状況に陥っているように思われる。現状では100円の壁は厚そうだが、同水準を割り込むリスクが警戒される。

【主要経済指標・イベントレビュー】
8日 日本貿易収支(6月):7,636億円の黒字
   日本経常収支(6月):9,744億円の黒字
9日 中国生産者物価指数(PPI、7月):前年比-1.7%
   中国消費者物価指数(CPI、7月):前年比+1.8%
   独貿易収支(6月):249億ユーロの黒字
   英小売連合小売売上高調査(7月):前年比+1.1%
   英貿易収支(6月):124億900万ポンドの赤字
   米非農業部門労働生産性速報(第2四半期):前期比-0.5%
10日 日本機械受注(6月):前月比+8.3%
11日 ニュージーランド中銀:政策金利を2.00%に引き下げる
12日 独国内総生産(GDP)速報(第2四半期):前期比+0.4%
   独CPI改定(7月):前月比+0.3%
   ユーロ域内・GDP改定(第2四半期):前期比+0.3%
   米小売売上高(7月):総合は前月比変わらず
             自動車除くは前月比-0.3%
   米PPI(7月):総合は前月比-0.4%
          コアは前月比-0.3%
   ミシガン大消費者信頼感指数速報(8月):90.4

【8月15日からの週の注目ポイント】
15日 日本実質GDP速報(第2四半期)               ☆☆☆
   NY連銀製造業景気指数(8月)                ☆☆
   対米中・長期証券投資(6月)                 ☆☆
16日 英CPI、PPI(7月)                      ☆☆
   独ZEW景況感指数(8月)                   ☆☆
   米CPI(7月)                       ☆☆☆
   米住宅着工件数(7月)                    ☆☆
   米鉱工業生産(7月)                     ☆☆
17日 英失業率(7月)                       ☆☆
   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表(7月26-27日開催)  ☆☆☆
18日 日本貿易統計(7月)                     ☆☆
   英小売売上高指数(7月)                   ☆☆
   ユーロ圏CPI(7月)                    ☆☆☆
   ECB理事会議事録公表                    ☆☆☆
   米週間新規失業保険申請件数                 ☆☆
   米フィラデルフィア地区連銀景況指数(8月)         ☆☆
   米景気先行指数(7月)                   ☆☆
*重要度を3段階で表示


【緑が多いNYセントラルパーク内のジョギングコース】

【上期の経常収支は9年ぶりの高水準】
 財務省発表の6月の国際収支(速報)によると、貿易収支は7,636億円の黒字と前年同月(1,227億円の黒字)から急増。原油などエネルギー価格の下落により輸入額が20%減少したことが主因。1−6月期の貿易収支は2兆3,540億円の黒字と、東日本大震災が発生した2011年同期(1,668億円の黒字)以来の黒字に転換した。6月の経常収支は9,744億円の黒字となり、黒字は24カ月連続。海外から日本を訪れる外国人旅行者による旅行収支は7,758億円の黒字と、同月として1996年以降の最高を更新。1−6月期の経常収支は10兆6,256億円の黒字と、9年ぶりの高水準となった。高水準な経常黒字が続くなか、日本当局による円安を誘導するような動きに対する海外勢からの目は厳しさを増すだろう。

【英指標弱く先行き懸念強い】
 英政府統計局(ONS)発表の6月の鉱工業生産指数は前月比0.1%上昇と、前月(0.6%低下)から改善し、4−6月期は前期比2.1%上昇と1999年7−9月期以来の大幅な伸びとなった。ただし、4月がほぼ4年ぶりの大幅な伸びとなったことによる部分が大きく、6月の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票に近づくにつれ、企業は慎重姿勢を強めたものとみられる。6月の製造業生産指数は前月比0.3%低下と2カ月連続でマイナスとなった。
 6月の貿易収支も124億900万ポンドの赤字と、昨年3月以来の高水準。4−6月期は125億ポンドの赤字と、1−3月期の120億ポンドから拡大し、4四半期連続で赤字額が広がり、2013年10-12月期以来の大幅なものとなった。英国からEUへの輸出は、EUから英国の輸出を大きく上回るもので、ポンド安が輸出拡大に寄与するとしても、EU離脱の影響は計り知れないのではないか。
 英国小売協会発表の7月の既存店売上高は前年同月比1.1%増と、1月以降で最大の伸びとなった。前月のマイナスから急回復し、ひとまずEU離脱選択が消費動向に与えた負の影響は緩和されたが、気温上昇の影響が大きいため、先行きの不透明さに変わりはない。

【米利上げできる環境になく】
 4−6月期・米非農業部門労働生産性速報は前期比0.5%低下と、予想(0.4%上昇)に反して3四半期連続して落ち込んだ。緩やかな景気回復や雇用拡大ペースが続いているにもかかわらず、労働生産性の落ち込みが続いていることは謎でしかないとの指摘があるが、企業活動への影響が懸念される状況に変わりはない。
 7月の米小売売上高は前月比変わらずと、予想(0.4%増)を下回った。前月は0.8%増と速報値0.6%増から上方修正された。自動車を除く小売売上高は前月比0.3%減と、1月以降で最大の落ち込み。GDPの算出に使用される自動車、ガソリンや建築資材などを除くコア売上高は前月比変わらずと、予想(0.3%増)を下回った。4−6月期・GDPの個人消費は前期比4.2%増と2014年10-12月期以来の高水準となったが、7月に入って急速に冷え込んだようだ。
 7月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%低下と、予想(0.1%上昇)に反して3月以来のマイナスとなり、昨年9月以来の大幅な落ち込みとなった。ドル高やエネルギー安が影響。エネルギー価格は前月比1.0%低下(前月は4.1%上昇)、サービス価格は0.3%低下(同0.4%上昇)、食品価格は1.1%低下した。7月までの過去12カ月のPPIは0.2%低下と、前月までの12カ月間の0.3%上昇から転じた。消費の低迷やインフレ低下など一部ではあるが、FRBが利上げを正当化できるような環境にはないようだ。

2016年8月15日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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