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外為マーケットコラム

ドル・円は100円前後で下げきれず

 先週のドル・円相場は1ドル=100円水準での攻防が続いた。しかし26日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長がワイオミング州ジャクソンホールで講演し、景気動向に楽観的な見通しを示し、雇用の改善から追加利上げの条件は整ってきたと年内の利上げの可能性に言及し、フィッシャーFRB副議長が経済専門局CNBCとのインタビューで、9月を含む年内2回の利上げの可能性を示唆したため、102円近辺と2週間ぶりの水準まで上昇した。
 複数の米当局者から利上げを支持する発言が続くも、雇用指標以外に利上げを正当化できるものが見受けられず、引き続き9月の利上げの可能性は極めて低いと思われる。
 9月は2日に8月の米雇用統計の発表、8日に欧州中央銀行(ECB)理事会、20〜21日には日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)など注目イベントが目白押し。ドル・円相場はその都度、上下に振れる可能性があるが、日銀とFOMCが終了するまでは方向感が出にくく、下げリスクが残るも、100円前後では下げきれない展開が続くのではないか。

【利上げは12月】
 先週は、イエレンFRB議長の講演を前に、複数の金融当局者から利上げを支持するコメントが相次いだ。FOMCの副議長で、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は16日、来月の会合での利上げが決定される可能性があると発言。労働市場がひっ迫し、賃金上昇ペースが加速する兆しがみられることを理由に挙げた。アトランタ連銀のロックハート総裁は同日、自身の経済見通しが正当化されるのであれば、年内に少なくとも1回の利上げが適切になるかもしれないとし、9月利上げの可能性を排除しないと述べた。18日にはサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が、国内経済の力強さや勢い、賃金上昇やインフレ圧力増大などに触れ、できれば割合早い時期に緩やかな利上げを実施することを支持。25日にはカンザスシティー連銀のジョージ総裁が段階的に利上げする時期を迎えているとし、ダラス連銀のカプラン総裁もさほど遠くない将来に利上げできるとの認識を示した。
 利上げを示唆する発言が続いた背景には、FOMCの2016年の失業率やコア個人消費支出(PCE)デフレーターなどの見通しがほぼ一致しており、利上げの下地が整っていることが挙げられる。また、先行きの不確実性が高まるなか、多少でも利上げのできる時期にしておけば、後々の利下げ余地を確保することが可能になるとの見方もあるようだ。ただし、8月の米雇用統計が予想以上に強い内容となったとしても、その他の経済指標で利上げを正当化するものが見当たらない。29日にはFRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつの7月のコアPCEデフレーターの発表を控えているが、6月までは4カ月連続して前年同月比1.6%の上昇にとどまっており、FRBの2%前後の目標には届いておらず、インフレを警戒するような状況にはない。
 従って引き続き発表される最新の経済指標を見極める段階に変わりはなく、11月8日の米大統領選挙前に金融市場や景気動向に影響を与えないためにも、利上げは早くて12月となる可能性が高いだろう。また、現時点では、12月に利上げに踏み切ったとしても、来年に利上げペースが加速するような状況も考えにくいところ。

【主要経済指標・イベントレビュー】
23日 独総合購買担当者指数(PMI)速報値(8月):54.4
   独製造業PMI速報値(8月):53.6
   ユーロ圏総合PMI速報値(8月):53.3
   ユーロ圏製造業PMI速報値(8月):51.8
   米新築住宅販売件数(7月):前月比+12.4%の65万4000件
24日 日本景気動向指数改定値(8月):99.2
   4−6月期・独国内総生産(GDP)改定値:前期比+0.4%
   米中古住宅販売件数(7月):前月比-3.2%の539万戸
25日 日本対外中長期債(週次):4,331億円
   独Ifo企業景況感指数(8月):106.2
   米耐久財受注(7月):前月比+4.4%
              輸送用機器除くは前月比+1.5%
              コア資本財は前月比+1.6%
   米週間新規失業保険申請件数:26万1,000件
26日 日本全国CPI(7月):前年比-0.4%、コアは前年比-0.5%
   東京都区コアCPI(8月):前年比-0.4%
   4−6月期・英GDP改定値:前期比+0.6%
   4−6月期・米GDP改定値:前期比+1.1%
   ミシガン大消費者信頼感指数確報値(8月):89.8

【8月29日からの週の注目ポイント】
29日 米個人所得・消費支出(7月)               ☆☆
   米PCEコアデフレーター(7月)             ☆☆☆
30日 日本失業率(7月)                    ☆☆
   日本有効求人倍率(7月)                 ☆☆
   ユーロ圏消費者信頼感確定値(8月)            ☆☆
   独CPI速報値(8月)                   ☆☆
   米S&P/ケースシラー住宅価格指数(6月)         ☆☆
   米消費者信頼感指数(8月)                ☆☆
31日 日本鉱工業生産速報値(7月)               ☆☆
   独雇用統計(8月)                    ☆☆
   ユーロ圏CPI速報値(8月)               ☆☆☆
   ユーロ圏失業率(7月)                   ☆
   米ADP雇用統計(8月)                 ☆☆☆
   米シカゴ購買部協会景気指数(8月)            ☆☆
1日 中国製造業PMI(8月)                  ☆☆
   独製造業PMI改定値(8月)                ☆☆
   ユーロ圏製造業PMI改定値(8月)             ☆☆
   英製造業PMI(8月)                   ☆☆
   米週間新規失業保険申請件数                ☆☆
   米ISM製造業景況指数(8月)              ☆☆☆
   米建設支出(7月)                     ☆
2日 英建設業PMI(8月)                   ☆☆
   ユーロ圏生産者物価指数(PPI、7月)           ☆☆
   米雇用統計(8月)                   ☆☆☆
   米製造業受注(7月)                   ☆☆
*重要度を3段階で表示


【NYマンハッタンにあるドナルド・トランプ氏の所有するホテル】

【第2四半期・米GDP改定値は下方修正】
 米商務省から26日発表された4−6月期・GDP改定値は前期比1.1%増加と速報値の1.2%増から下方修正された。個人消費支出改定値は4.4%増と速報値4.2%増から上方修正され、2014年10-12月期以来の大幅なもの。一方、政府支出改定値は1.5%減と速報値0.9%減から下方修正され、州・自治体の支出も2.2%減と速報値1.3%減から引き下げられた。企業の税引き前利益は前期比1.2%減と1−3月期の3.4%増加から転じ、前年同期比で4.9%減少。在庫投資は124億ドルの減少と、GDPを1.26ポイント引き下げた。
 住宅指標は新築と中古で強弱まちまち。7月の新築住宅販売件数は前月比12.4%増の65万4,000戸と、5カ月連続して増加し、2007年10月以来の高水準となった。超低金利や雇用拡大が続いていることなどが好調の背景にあり、前年同月比では31.3%も増加。販売ペースから計算した在庫消化に必要な期間は4.3カ月と前月の4.9カ月から縮小し、2013年6月以来の小幅なものとなった。一方、7月の中古住宅販売件数は前月比3.2%減の539万戸と、5カ月ぶりに減少。前月は9年ぶりの高水準だった。在庫は14カ月連続して減少し供給ひっ迫が続くなか、販売平均価格が前年同月比5.3%も上昇しており、手に入りやすい価格帯の物件不足が影響したもよう。
 7月の耐久財受注は前月比4.4%増加し、設備投資の先行指標と注目される航空機除く非国防資本財(コア資本財)受注も1.6%増加と1月以来の高い伸びとなった。ただし、GDPの算出に使用されるコア資本財出荷は前月比0.4%減少し、予想に反して3カ月連続して縮小。発表される足元の経済指標からは早期利上げが難しい状況に変わりはないようだ。

2016年8月29日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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