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外為マーケットコラム

8月の米雇用統計弱気もドル買いの流れ変わらず

 8月29日から9月2日の週のドル・円相場は1ドル=102円水準で取引を開始した後、上昇基調となり、2日には7月29日以来の高値となる104.32円まで上昇し、104円水準で引けた。2日に発表された8月の米雇用統計は事前予想より弱気の数字となり、一時ドルが売られ、102円台後半に下落したが、年内の米利上げ観測からドル買い意欲は強く、直近の高値を更新する動きとなった。ドルは対ユーロでも2日に一時売りが先行したが、切り返し、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.1155ドルと前週末より小幅なドル高・ユーロ安で2日の取引を終えた。
 8月26日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が米ワイオミング州のジャクソンホールでの講演で「この数ヵ月で追加利上げ実施への説得力が増した」との発言をきっかけに米利上げ観測が強まり、ドル買い意欲が高まった。8月の米雇用統計が弱気の数字となったが、その流れが変わることはなかった。

【ドル・円の予想レンジ】
 今週の予想レンジは1ドル=102円台前半〜105円。8月の米雇用統計は事前予想より弱い数字となったが、7月の雇用統計の非農業部門の就業者数が前月比25万5000人増から27万5,000人増に上方修正されており、米雇用情勢は改善が続いている。個人消費も好調でドルは堅調に推移か。1日に発表された8月のISM製造業景況指数が今年2月以来の50割れとなっており、6日発表のISM非製造業景況指数には注意したい。105円が抵抗線だが、2日の安値102.79円前後に反落場面では押し目買い優勢か。5日に日銀の黒田総裁の講演、8日に欧州中央銀行(ECB)理事会、ドラギ総裁の会見があり、日米、欧米の金融政策の違いが再認識されるかにも注目したい。
 テクニカルから抵抗線は105円の節目、7月29日の高値105.62円、同月27日の高値106.54円。支持線は103円の節目、2日の安値102.79円、25日移動平均線が通る101.50円。

【主要経済指標・イベントレビュー】
8月29日 米個人所得(7月)前月比+0.4%、事前予想+0.4% 前回+0.3%
  30日 フィッシャーFRB副議長「利上げは1回で終わったとは言えない。米国は強いドルにもかかわらず完全雇用に近い」と発言
  31日 米ADP雇用者数(8月)前月比17万7,000人増
                事前予想17万5,000人増、前回19万4,000人増
9月1日 米ISM製造業景気指数(8月)49.4 事前予想52.0 前回52.6
  2日 米非農業部門雇用者数(8月)前月比15万1,000人増、事前予想18万人
                 失業率4.9% 事前予想4.8% 前回4.9%
     米製造業新規受注(7月) 前月比1.9% 事前予想 2.0%

【9月5日からの週の注目ポイント】
5日 米国はレーバーデーで祝日    ユーロ圏小売売上高(7月)              ☆☆
6日 独7月製造業受注指数                 ☆☆
   ユーロ圏第2四半期域内総生産(GDP)確報値       ☆☆
   米ISM非製造業景況指数(8月)           ☆☆☆
7日 日本景気動向指数(7月)               ☆☆
   独鉱工業生産指数(7月)               ☆☆
   英鉱工業生産指数・製造業生産指数(7月)       ☆☆
   米地区連銀経済報告(ベージュブック)        ☆☆☆
8日 日本第2四半期国内総生産(GDP)2次速報       ☆☆☆
   中国貿易収支(8月)                 ☆☆
   欧州中央銀行(ECB)政策金利、ドラギ総裁記者会見   ☆☆☆
   米新規失業保険申請件数                ☆☆
9日 中国消費者物価指数・生産者物価指数(8月)      ☆☆
   独貿易収支・経常収支(7月)             ☆☆
   英貿易収支(7月)                  ☆☆
*重要度を3段階で表示


【NYマンハッタンを行き交うイエローキャブ】

【日経平均株価】
 8月29日の週は上昇。29、31日の2日間、チャート上にギャップ(窓)を開ける上昇となり、8月31日から3日連続で1万6,900円台に上昇。1万7,000円が抵抗線になったが、過去3カ月間の高値水準で引けた。ニューヨークダウが高値調整局面となったが、円安の進行が支援材料。日経平均株価採用銘柄の株価収益率は2日現在、14.34倍と前期基準の15.02と比べ割高感はない。5日の午前中の取引で1万7,100円台まで上昇し、約3カ月ぶりの高値を更新している。円安の進行が105円まで進行すると、5月31日の高値1万7,251.36円を上抜き、一段高期待あり。

【米株】
 米株式市場は高値調整局面入りしたが、2日に反発した。ニューヨークダウは1日に8月4日以来の安値となる1万8,295.48ドルまで下落したが、2日に8月の米雇用統計が事前予想より、弱気の数字となり、9月の利上げ観測が後退したことを好感し、1万8,544.76ドルまで反発して1カ月ぶりの高値をつけた。
 2日の反発で調整局面が終了した期待はあるが、3連休明けの6日の動向がカギ。原油相場の反発が続くかにも注目。2日の終値1万8,491.96ドルに25日移動平均線が通っており、この水準で値固めが必要だ。年内の利上げ観測が上値圧迫要因だが、テクニカルからは8月15日につけた史上最高値である1万8,688.44ドルをいずれ更新できる値位置にある。

【大口投機家】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は9月2日に8月30日現在の建玉明細を発表した。シカゴ円の大口投機家の買い越し幅が6万3,661枚となり、5週連続で増加。ただし31日以降は円の買い建て玉を手じまう動きが強まり、2日現在、買い越し幅は6万枚以下に減少しているとみられる。円売り増加ならば105円近くまで円安・ドル高の進行の可能性ありとみる。

2016年9月5日

(みんかぶ/森 成俊)

株式会社みんかぶ 森 成俊

担当
為替、先物市場
経歴
1992年より商品先物業界でアナリスト業務に従事。1997−99年まで商品、為替調査会社のNY現地法人勤務。1999年に帰国後は商品相場に加え、為替情報もメディアを通して発信。現在、ラジオNIKKEIマーケットトレンドにて商品、為替市場に関してのコメンテーターを務める。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けている。

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