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外為マーケットコラム

下げリスク残るも100円近辺での推移か

 ドル・円は先月27日に1ドル=100.09円と1カ月ぶりの水準へ下落。日銀の追加緩和見送りと米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りを受け、ドル安・円高が進みやすいムードが高まるも、引き続き100円の壁は厚く割り込むまでには至らず。29日には石油輸出国機構(OPEC)の減産を受けた原油・株高から101.84円と1週間ぶりの水準まで切り返すも、ドイツ銀行の経営不安の高まりなどから株式相場が下げに転じて押し戻されるなど、先週は101円前後と極めて狭いレンジ内で方向感のない推移となった。
 市場の関心は、米大統領選挙と米金融政策の行方に集まっている。26日の第1回大統領選挙・討論会ではクリントン民主党候補が優勢だったと大手メディアは報じたが、巷の見方は五分五分。4日の副大統領候補の討論会に続き、9日には2回目の大統領候補・討論会が予定され、クリントン候補がトランプ候補を突き放せばドル買い安心感が広がろうが、逆にトランプ候補が巻き返すようだと、先行き不透明感の高まりからリスク回避のドル売りの動きが強まる可能性があり、来月8日の開票日までは大統領選挙の行方に注目せざるを得ない。おそらく市場は、トランプ候補の大統領選出の可能性を織り込んでいないだろう。また、米利上げの判断に関しても、発表される経済指標に一喜一憂する状況が続きそうだ。
 依然としてドル・円は100円を割り込めば、2011年安値から2015年高値までの上昇幅に対する3分の2押し水準(94.79円)まで下げてしまうリスクはあろうが、決め手が見当たらず、100円近辺で方向性を欠く動きが続くかもしれない。目先は米国からの材料に振られやすい展開が見込まれるところ。

【米利上げは指標次第】
 9月20-21日開催のFOMCで利上げが見送られた要因として、足元の経済指標の弱さが挙げられ、連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は利上げの判断は引き続き経済指標動向次第との見方を示すなか、先週発表された一連の経済指標は強弱まちまちだった。
 9月の消費者信頼感指数は104.1と2007年8月以来の高水準となり、現況指数や雇用状況も2007年夏以来の高水準と、消費者は現状に満足しているようだ。24日までの週の新規失業保険申請件数は25万4,000件と前週(25万1,000件)を上回るも、1970年以降で最長となる82週連続して30万件を下回り、引き続き4月に付けた1973年以来の低水準(24万8,000件)近辺で推移している。4週間移動平均は25万6,000件と4月以来の低水準、17日までの継続受給者数は前週比4万6,000人減の206万2,000人と2000年7月以来の水準に落ち込み、雇用情勢は良好そのもの。
 4−6月期・国内総生産(GDP)確報値は前期比1.4%増と改定値(1.1%増)から上方修正され、予想(1.3%増)を上回った。GDPの約7割を占める個人消費支出確報値は前期比4.3%増と改定値(4.4%増)から下方修正され、総合的な物価変動を示すGDPデフレーター確報値は前期比2.3%上昇と据え置かれた。個人消費の堅調さが引っ張るなか、輸出が上方修正され、企業の設備投資がマイナスからプラスへと修正されたことから、GDPは3四半期ぶりの大きな伸びとなった。ただし、リセッション(景気後退)から脱した2009年半ば以降の平均(年約2%成長)を下回り、低成長から抜け出せずにいる。
 一方、8月の耐久財受注は前月比変わらずと予想(1.4%減)を上回るも、航空機除く非国防資本財(コア資本財)出荷は0.4%減少し、4カ月連続してマイナスとなった。コア資本財はGDPに算出されるだけに、企業の設備投資の弱さによる経済成長の押し下げが懸念される。また、8月の米個人所得は6カ月連続して増加したが、個人消費支出(PCE)は前月から鈍化し、市場予想を下回った。PCEコアデフレーターは前月比0.2%上昇、前年同月比1.7%上昇となったが、FRBの2%の物価目標に近づくも、インフレ圧力の高まりを警戒するまでには至っていない。
 今週は注目される指標の発表が相次ぎ、中でも7日発表の9月の雇用統計が最も注目される。市場は、失業率が4.9%と前月と変わらず、非農業部門雇用者数は17万6,000人増と前月(15万1,000人増)を上回ると見込んでいる。8月は予想(18万人増)に届かなかったが、当時は複数の当局者から早期利上げを支持する発言が続いていたため、ドル・円相場の反応は限られた。イエレン議長は、FOMC内部で意見が一致していない点は利上げのタイミングで、利上げ実行の是非ではないと指摘しており、力強い雇用拡大ペースが示されれば、12月の利上げの可能性が一段と高まりそうだ。ただし、今年1−8月の雇用者数増加平均は18万人台後半と、昨年の同時期22万人台半ばや一昨年の20万人台前半を下回っている。失業率は5.0%を下回る完全雇用に近い状態だが、過去2年と比べ雇用拡大ペースの勢いは欠いており、賃金の伸びは低く、力強い景気回復が期待できそうもないのが現状だ。

【将来的なインフレ懸念も】
 OPECは28日、アルジェリアでの非公式会合で8年ぶりに減産することで合意。サウジアラビアとイランの対立、ロシアが直前になって不参加を表明し、今回も生産調整は見送られるとみられていただけに、市場へのインパクトは大きく、ニューヨーク原油先物期近は1か月ぶりの水準へと上放れている。OPECの減産実施に対する懐疑的な見方は根強く残るも、これまで市場シェア確保を優先する政策を推し進めてきたサウジアラビアが減産を提案し、政策の転換が示された意義は大きく、世界石油市場の供給過剰が解消に向かうようだと、原油価格のさらなる上昇が見込まれる。原油高が物価へと波及することが見込まれ、将来的なインフレを警戒するムードが強まる可能性が出てきそうだ。
 債券市場ではすでにインフレ圧力が高まり始めているとの見方を示す向きが多いようだ。ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏はメディアとのインタビューで、「米国が完全雇用にかなり近いことを示唆するデータは数多い。インフレ上昇圧力が生じ始めている」と語った。FOMCメンバーのなかにも同様の見方がある。足元のインフレ圧力が強まっているわけではなく、現時点で原油先物相場の行方は判断し難いものの、インフレ関連指標には注意が必要だ。


【2008年9月に破たんしたタイムズスクエアのリーマン・ブラザーズ(08年6月撮)】

【主要経済指標・イベントレビュー】
26日 黒田日銀総会講演・会見:追加緩和はマイナス金利と長期金利下げで
   独IFO業況指数(9月):109.5
   米新築1戸建て住宅販売件数(8月):前月比-7.6%の60万9000戸
27日 S&P/ケースシラー米住宅価格指数(7月):前年同月比+5.0%
   米消費者信頼感指数(9月):104.1
28日 ドラギECB総裁:ユーロ圏に低金利必要、各国政府も責任果たすべき
   米耐久財受注(8月):前月比変わらず
29日 独雇用統計(9月):失業者数は1000人増、失業率は6.1%
   独消費者物価指数(CPI)速報値(9月):前月比+0.1%
   米新規失業保険申請件数:25万4000件
   4−6月期・米国内総生産(GDP)確報値:前期比+1.4%
   米中古住宅販売仮契約指数(8月):前月比-2.4%
30日 日本雇用統計(8月):失業率は3.1%、有効求人倍率は1.37
   全国コアCPI(8月):前年比-0.5%
   鉱工業生産指数速報(8月):前月比+1.5%
   4−6月期・英GDP確報値:前期比+0.7%
   ユーロ圏CPI速報値(9月):前年比+0.4%
   米個人所得(8月):前月比+0.2%
   米個人消費支出(PCE、8月):前月比変わらず
   米コアPCEデフレーター:前月比+0.2%
   シカゴ購買部協会景気指数(9月):54.2
   ミシガン大消費者信頼感指数確報値(9月):91.2

【10月3日からの週の注目ポイント】
3日 7−9月期・日銀短観                  ☆☆☆
   米ISM製造業景況指数(9月)              ☆☆☆
4日 豪中銀、政策金利発表                  ☆☆☆
   ユーロ圏卸売物価指数(PPI、8月)            ☆☆
5日 米ADP雇用統計(9月)                 ☆☆☆
   米貿易収支(8月)                    ☆☆
   米ISM非製造業景況指数(9月)             ☆☆☆
   米製造業新規受注(8月)                 ☆☆
6日 独製造業新規受注(8月)                 ☆☆
   ECB理事会議事要旨                   ☆☆☆
   米週間新規失業保険申請件数                ☆☆
7日 独鉱工業生産(8月)                   ☆☆
   英鉱工業生産(8月)                   ☆☆
   米雇用統計(9月)                   ☆☆☆
*重要度を3段階で表示

2016年10月3日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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