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外為マーケットコラム

トランプリスクはこれからか

 ドル・円は10日に一時、1ドル=106.95円と7月21日以来の水準へ上昇。8日の米大統領選挙でトランプ共和党候補が勝利したことを受け、初めはリスク回避の動きから9月30日以来となる101円台前半まで急落したが、その後は一変した。トランプ氏勝利の場合は、100円割れ局面を見込んでいたが、実際にはドル高が進行。予想外の動きとなっている背景として、トランプ氏が行った勝利演説が融和的な雰囲気のあるものとなり、大統領らしく振る舞ったことが好印象や安心感につながったとの指摘がある。インフラ整備など積極的な財政出動を促す経済政策や巨額減税への期待感が広がり、ダウ工業株30種平均が過去最高値を更新した。また財政悪化や将来的なインフレ圧力の高まりを嫌気し債券相場が売られ、長期金利の指標となる10年債利回りが1月以来となる2%台に乗せたことなども一因だ。
 ドル・円は、200日移動平均(106円台半ば)を挟んで推移し、テクニカル面からの転換点を迎えている。市場を覆っているトランプ氏への期待感がこの先も続けば、110円を視野に入れた展開が続くのかもしれない。金融大手ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は「トランプ氏の政策は市場を下支えする」と述べ、アクティビスト(物言う投資家)として知られヘッジファンド運営会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントを率いるビル・アックマン氏は「信じようがしまいが、トランプ氏(の政策)に関して極めて強気だ」と述べており、市場は歓迎ムードが広がっている。トランプ氏は来年1月の大統領就任後100日で選挙中の公約を実行に移す見込みのなか、市場はすでに同氏がどのような政策を打ち出すのか、国務・財務長官など主要閣僚の人選や、議会の過半数を占めた共和党の執行部との関係修復、各国との経済・外交などでどう振る舞っていくのかなどに関心が集まっている。
 トランプ氏の勝利で不確実性が高まったことだけは確かで、今後、世界のリスク要因となる可能性を払しょくできず、ドルの独歩高がいつまでも続くことは考えにくい。しばらくは市場の状況を見極める必要があろうが、ひとたびトランプリスクが高まれば、ドル安の流れがはっきりとしてくるのではないか。

【来年もFRBの利上げ政策に変更なし】
 トランプ氏の米大統領戦勝利を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げシナリオに変化が出てくるのではとの思惑が台頭している。同氏はかねてから、オバマ大統領を支えるためにFRBは低金利を維持していると批判しており、2018年1月に任期の切れるイエレンFRB議長の再任を認めないと発言しているため、FRBの金融政策に直接的な影響を与えるようなことや、中央銀行の独立性が脅かされる事態となるようなことは起こらないだろうが、トランプ氏の予測不能な行動には警戒が必要なところでもある。
 トランプ大統領の誕生は来年1月ということを考慮するまでもなく、12月13〜14日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性は高そうだ。10月の雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったが、雇用拡大ペースは当局の見込みに沿うものとなり、平均時給が7年超ぶりの高い伸びとなった。失業率は再び5%を割り込み、フィッシャーFRB副議長は4日、「労働市場は完全雇用に近く、利上げの条件はさらに整ってきた」と述べた。12月2日に発表される11月の雇用統計が市場の失望を招くようなものとならない限りは、利上げに踏み切るものとみる。
 雇用拡大による賃金の伸びが続き、原油価格の回復が続けば、先行きのインフレ期待が高まる可能性がある。第3四半期の米経済成長ペースは2.9%増と第2四半期の1.4%増から加速し、2年ぶりの高水準となった。個人消費支出の伸びが前四半期から半減したことは気になるものの、トランプ氏の政策期待などもあり、経済成長が2%台の巡航速度から急減速するような要素は見当たらない。積極的な財政出動などでインフレが加速するかもしれず、FRBが利上げを進める方向にあることは間違いないだろう。

【黒字続く日本への圧力を警戒】
 財務省から9日発表された9月の国際収支状況(速報値)によると、貿易収支は6,424億円の黒字。前月は2,432億円の黒字。前年同月比では5,215億円の黒字拡大となり、8カ月連続して黒字となった。原油価格の下落により鉱物性燃料の輸入額が減少したことが背景。輸出は5兆8,386億円と前年同月を8.3%下回り、13カ月連続の減少。商品別では自動車輸出が7.2%、鉄鋼が20.9%、半導体電子部品が11.8%とそれぞれ減少し、中国向けは10.6%減少した。輸入も5兆1,962億円と前年同月を17.5%下回り、21カ月連続の減少となった。商品別では、原粗油が28.6%、液化天然ガスが40.1%とともに大幅減少したのが目立ち、国別では対中国が16.6%減少した。また、9月の経常収支は1兆8,210億円の黒字となり、前年同月比で3,688億円の黒字拡大。市場予想(2兆200億円)を下回ったが、27か月連続して黒字となった。来年1月に発足するトランプ政権の顔ぶれ次第では、貿易黒字が続く日本への風当たりが強まることが警戒される。

【中国も経済指標は強弱まちまち】
 中国の10月の貿易統計(ドル建てベース)によると、輸出は前年同月比7.3%減少。減少ペースは前月(10.0%減)から縮小も、7カ月連続の減少となった。人民元の下落も輸出を押し上げるまでには至っておらず、引き続き外需の低迷が明らかになった。輸入も1.4%減少したため、貿易黒字は490億6,000万ドルと前月の419億9,000万ドルから拡大した。
 一方、10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月2.1%上昇。前月の1.9%上昇から加速し、4月以来の大幅な伸びとなった。購入価格は0.9%上昇と2012年3月以降で初めて上昇に転じ、食品が3.7%上昇、非食品、消費財とサービスも上昇した。10月の生産者物価指数(PPI)も前年同月比1.2%上昇。前月の0.1%上昇から急加速し、2011年12月以来の大幅な伸びとなった。需給ひっ迫や景気回復を背景とした石炭など原材料価格の上昇が要因。世界的なデフレが懸念される状況のなか、中国の物価上昇が続くことは世界経済に好ましい影響を与える可能性があるかもしれない。


【新しいアメリカの始まりに自由の女神は何を思うのか】

【主要経済指標・イベントレビュー】
7日 独製造業新規受注(9月):前月比-0.6%
   ユーロ圏小売売上高(9月):前月比-0.2%、前年比+1.1%
8日 中国貿易収支(10月):490.6億ドル、3252.5億元
   独鉱工業生産(9月):前月比-1.8%
9日 日本貿易収支(9月):6,424億円の黒字
   日本経常収支(9月):1兆8,210億円の黒字
   中国消費者物価指数(CPI、10月):前年比+2.1%
   中国生産者物価指数(PPI、10月):前年比+1.2%
10日 米週間新規失業保険申請件数:25万4000件
11日 独CPI改定値(10月):前年比+0.8%、EU基準は+0.7%
   米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(11月):91.6

【11月14日からの週の注目ポイント】
14日 第3四半期・日本国内総生産(GDP)速報値         ☆☆☆
   中国鉱工業生産、小売売上高(10月)             ☆☆
   ユーロ圏鉱工業生産(9月)                 ☆☆
15日 第3四半期・独GDP速報値                 ☆☆☆
   英CPI、PPI(10月)                     ☆☆
   第3四半期・ユーロ域内GDP速報値             ☆☆☆
   独ZEW景況感指数(11月)                  ☆☆
   米小売売上高(10月)                   ☆☆☆
   ニューヨーク連銀製造業景気指数(10月)            ☆☆
16日 英雇用統計(10月)                      ☆☆
   米PPI(10月)                        ☆☆
   米鉱工業生産(10月)                     ☆☆
17日 ユーロ圏消費者物価指数改定値(10月)            ☆☆☆
   米CPI(10月)                       ☆☆☆
   米住宅着工件数(10月)                   ☆☆
   米週間新規失業保険申請件数                 ☆☆
   フィラデルフィア地区連銀景況指数(11月)           ☆☆
18日 米景気先行指数(10月)                    ☆☆
*重要度を3段階で表示

2016年11月14日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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